- Shinbyou_A
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「新メニューを開発したよ」 「只のランチでは?」 「客の空腹度合いに応じて外見も味も変わるんだ。友人は一日絶食した状態で食べてあまりのうまさに泣いたよ。腹が空くほど豪華になると言ったら、そいつ何もない地下室にこもっちゃって……、え、一週間前だよ? 君、どうしたの地下の鍵を持って」
2012-05-06 19:44:24「叔父が危篤で」
私はある若者の架空の叔父だ。甥が休みたい時に危篤になるのが仕事。こういう叔父叔母は沢山いて、私は年甲斐もなくある物静かな叔母に恋をした。次の仕事が済んだら告白すると決意した私は、甥がこんなずる休みは次で最後にしようと考えていることを知らない。次の「叔父の葬式」で最後にしよう、と。
2012-05-06 19:44:42「怖い上司」
ぴしゃーんごろごろ、とありがちなオノマトペ。夕空に光が走る――再び、そしてまた。酷い天気だと見あげると、重く垂れ込めた雲の合間に人影が見えた。轟音とともに広がった稲妻であみだくじをしている。……おいおい。天神様の部下か何かか? 勝手なことすると怨霊モードの上司にぶっ飛ばされるぞ。
2012-05-07 21:41:33「絵具」
砂漠に突如現れた団体客は、陽射しを防ぐものを何も持っていない。カラフルなドレスや原色のジャージ、色とりどりのTシャツで炎天下をさまよい、次々に倒れていく。……赤服はそこ、青服はあっち。狙った場所で倒れさせるのが難しい。上空で、宇宙人の少年が宿題の絵を急いで完成させようとしていた。
2012-05-07 21:41:50「ブージャム」
ジャバーウォックとスナークが一本の木の前にいると、オドラデクが糸を引きずりながら転げ落ちてきた。何をしているのかと聞かれたので、ゴドーを待っているんだと答える。今夜こそやっこさんの屋敷でトチメンボーを腹一杯食べられる筈だ。それにてれすこも。……ふぅん。オドラデクは藪の中に消えた。
2012-05-07 21:42:06---------------100話-------------------