司法試験で求められる能力

司法試験で求められる能力
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shoya @sho_ya

【受験生・ロー生の方へ】当てはめが苦手,という方は京野哲也先生(元民弁教官)の『クロスレファレンス民事実務講義』(ぎょうせい,2011)177頁以下が参考になるかもしれません。最判昭和39年11月19日民集18巻9号1900頁の一部を取り上げて具体的に説明されています。

2012-02-18 16:02:19
shoya @sho_ya

【余談】新旧を問わず,司法試験は実務家登用試験です。実務家となる基礎があるか否かを判断する試験に過ぎません。学者採用試験ではありません。 ――では,司法試験で問われている「実務家となる基礎」とは何でしょうか? それは,(1)知識と,(2)判断能力と,(3)書面作成能力です。

2012-02-18 22:21:58
shoya @sho_ya

第1の「知識」を具体化すれば,司法試験で問われている知識は条文,判例,通説です。合格という観点からすれば,これで必要十分です。最先端の議論や高度な議論,少数説は不要です。なぜならば,それらの議論は一般的な実務を遂行する為には「差し当たり」不要だからです。

2012-02-18 22:22:28
shoya @sho_ya

換言すれば,高度な議論あるいは少数説が必要であれば,現場で学べば足りる以上,司法試験という国家試験制度で問う必要はありません。むしろ,国家試験制度で問う必要があるのは,そのような応用力の有無です。

2012-02-18 22:22:46
shoya @sho_ya

そして,応用力とは,非常に地味な能力です。即ち,応用力とは,条文の文理解釈,制度趣旨の理解,各法律の基本原理の理解に基づく堅実な推論です。これは,民事系であれば民法の実力とほぼ同旨ですし,刑事系では刑法と刑訴の理解とほぼ同旨です。ここは少し語弊があるかもしれません。

2012-02-18 22:23:16
shoya @sho_ya

第2の「判断能力」を具体化すれば,問題文に書かれている事実の意味(紛争の本質)を理解する能力です。当該問題では何が問題になっているのか,なぜ条文の直接適用による処理が妥当ではないのかを見極め,条文解釈によって規範を定立し,当てはめる能力です。

2012-02-18 22:23:46
shoya @sho_ya

第3の「書面作成能力」は文字通りの能力です。司法試験は時間内に答案という書面を完成させる試験です。「時間があったら書けたのに」という言い訳は自分の能力欠如の証左以外の何物でもありません。

2012-02-18 22:24:17
shoya @sho_ya

司法試験では試験時間が10分であれば10分なりの,3時間であれば3時間なりの答案を作成することが求められています。これは実務家でも同じです。 

2012-02-18 22:26:06