アディクション支援における本人支援について(随伴性マネージメント/動機付け面接)
アディクション研修のまとめが出来たので連続ツイートします。今回は本人への支援、家族への支援の二本立てです。今日は本人への支援について行ってみたいと思います。応用行動分析やCBTは専門の心理屋さん達に補足して貰うことにしたいと思います!
2012-02-16 23:11:47◆支援を始める以前の基本的な姿勢:支援者は、依存症と聞くと、「やめさせなければならない」という先入観が働く。支援者はCl.がよい生活を送れるようになるために居るのであり、物質依存をやめさせるために居るのではない。そもそも、やめさせる権限など持っていないことを知ること。
2012-02-16 23:13:151、薬物やアルコールを使っている人のすべてが依存症ではない。依存症の問題があるけれど、それが第一義的に優先するべきことなのか、それは背景因子であるのか、ということを見極める。
2012-02-16 23:13:462、物質依存であっても、必ずしもそれを止めるために相談に来るわけではない。(不眠、抑うつ、うるさい家族とのいざこざで相談に来ることもある)
2012-02-16 23:14:053、必ずしもすぐに物質依存に介入しなければならない訳ではない(ただし違法薬物の場合は状況により異なる)。依存がどのように自分を助けて来たのか、ということに気付く前に依存する行動のみをやめてしまうと、洞察が滞ることになる。
2012-02-16 23:14:27◆専門機関につなぐまえに:2、ケースでの、Cl.の生活の歴史絵巻が想像出来て、これから先の着地点がイメージできること。そのためには、しっかり聞き込みすること。イメージも出来ないのに、専門機関に作業的につなぐことはダメ。そんなの上手くいく訳が無い。
2012-02-16 23:15:31◆専門機関につなぐまえに:3、最初に相談に来た場、支援者を基地として、他の相談機関、専門機関につながって行けるような関係を作ること。いきなり紹介するとCl.は「見捨てられた」と感じてしまう。つなげた先がダメだったとしても戻って来れるような関係にしておくことが大切。
2012-02-16 23:16:19◆依存症治療、支援の変遷:古くは、病院(Dr.の治療)、抗酒剤(Alの場合)、自助G(各種)の三本柱で取り組むと言うのが主流であったが、最近は自助G+底つき体験ありきではなくなっている(そのやり方も間違いではない)。底つきする前に、自分で変わっていけるならば底つきは必要ない。
2012-02-16 23:17:30◆依存症治療、支援の変遷:ここ10年で、取り入れられた方法→CBT系:マトリックスプログラム、条件付け理論、随伴性マネージメント、リラプスプリベンション 動機付け面接など。認知や行動に働きかけるタイプの手法が増えてきている。利点としては誰でもできる、1回でも出来るという所。
2012-02-16 23:18:12では、何故ヒトはその行動(アルコールや薬物など各種嗜癖)を繰り返すのか、ということを応用行動分析の視点から考えてみよう。ということで、三項随伴性の話。平たく言うと、いいことがあるので、その行動を繰り返すという仕組み。
2012-02-16 23:18:54三項随伴性:手がかり(弁別刺激/antecedent)→行動(反応/behavior)→結果事象(反応結果/conequence)という形。例:引き金(駅のトイレ)、確立操作の対象(親との喧嘩)→物質の摂取(飲酒)、嗜癖行動(パチンコ)→短いけれど強い報酬(快感、イライラが減る)
2012-02-16 23:19:33三項随伴性の仕組みから、プロセスを起こさないようにするために、1:引き金を引かないようにする→引き金の特定 2:罰を与える 3:望ましい行動をした時に報酬を与え、その行動を増やして、問題行動を間接的に減らす(随伴性マネージメント) がある。2は難しいため、1と3を組み合わせる。
2012-02-16 23:20:32その人にとっての引き金、報酬についてよく知ること(機能分析)。報酬とはつまり、嗜癖行動がどのようにその人に役立っているのかと言うことを知ることである。「依存はよくない、すぐやめさせないと!」視点ではここは見えてこないので、ここはしっかり聴き取りする。
2012-02-16 23:21:07引き金は、引き金→(自動思考)→渇望(デカくて抗えない)→行動となるプロセスのはじまりである。引き金とは、自動的に嗜癖物質を使った時の気持ち良さが浮かんで身体が反応してしまう(ここは意思の力ではどうにもならない)。それは、Alの人であれば、飲み屋の赤提灯だったり、人により異なる。
2012-02-16 23:21:44随伴性マネージメントの例:治療プログラムに参加する行動を増やすためには、プログラムに来たら報酬をあげる(ほめる、ねぎらう、好きな活動をするなど)→プログラムに来るようになる→プログラムに来ている時間は嗜癖行動がなくなる…の繰り返し。
2012-02-16 23:22:02関わる支援者全てがそのような対応をすると強化されていく。プログラムを実施している機関以外の支援者も「プログラム行ってきたんだ?がんばったじゃん、どうだった?」など、興味関心を持って接していくと、更に強化される。ここが手配師にならないコツ。
2012-02-16 23:22:15リラプスプリベンション:ある程度、状態が落ち着いてくると、再発を予防していくことが重要となる。使わないでいる時期⇔再使用(一回きり)⇔再発(連続使用)、というサイクルの中で、再発まで行く前に使わないでいる時期に戻れるようにする介入のこと。
2012-02-16 23:22:29これは、スリップ(再使用)すると、本人の自己評価が一気に落ちてしまう(「スリップするなんて俺はダメなやつだ」等)ので、それが次の引き金になり、再発しやすくなる。この段階で支援者が支持することで、再発の手前で戻って来れる。そのうち自分で持ちあげる方法を学ぶことが可能となる。
2012-02-16 23:22:41再使用についてのCBT的介入:使っていない時期があったからこそ、再使用が起きたのであり、ずっと使っていたならば、再使用なんてことはそもそも起きない(だからそれは前に進んでいることなのだ)という支持の方法もある。「誰でもあるよそういうのは」だとあまり説得力が無かったりする。
2012-02-16 23:22:55決断分析:行動を変える時に生じている4要素。現状維持の利点/現状維持の不利益/変化の利点/変化の不利益の4つ。現状維持の利点・変化の不利益と現状維持の不利益・変化の利益は対立する。現状維持の不利益・変化の利益>>>現状維持の利点・変化の不利益、という構図になると行動が変容する。
2012-02-16 23:23:07決断分析の4要素が、ひとめで見渡せるようにすると比較して考えやすいが、支援者には「現状維持の利点」が見えにくく、Cl.には「現状維持の不利益」が見えにくい。見えにくいとは、そこはCl.にとって痛く恐い部分であり、その部分は丁寧に扱わなければならない。そしてCl.と一緒に扱うこと。
2012-02-16 23:23:48動機付け面接:相手が自分から行動を変えられる方向に働きかける技法のこと。強制ではなく、操作するためのものでもない。コミュニケーションの1スタイルである。
2012-02-16 23:24:08動機とはある/なしの二項対立ではなく、「変化の必要を感じていない」~「新しい行動を摂りはじめてそれが継続している」までを行き来しているものである。動機とは無いモノではなく、深い井戸から水を汲み上げるようなもの。相手の関係性によっても変化する。
2012-02-16 23:24:32