厚生労働省の木村盛世医務技官が言うとおりに口蹄疫と共存した場合の簡単な試算
木村盛世氏の知名度が高いため、この分野に詳しくない人々が彼女の言をうのみにしてしまうと、あんまりだ。だからこの記事を支援します。http://d.hatena.ne.jp/plecostomus1/20100602/1275491182 #kouteieki
2010-06-03 21:37:35さくっとまとめ直しますと、木村氏のおっしゃる通り口蹄疫を野放しにして共存した場合に、肉牛で1kgで1902円、牛乳はなんと1ℓ2225.5円お高くしないと、農家はこれまで通りの収入を維持できなくなります。試算のやり方はtogetterを見てね。
2010-06-05 12:16:26① 厚生労働省の医務技官、木村盛世氏の仰る通り、仮に、口蹄疫ウイルスと共存するという選択をした場合、農家および我々の生活に、どのような経済問題が出てくるか、考えてみたいと思います。思い違い等ありましたら、どしどしご指摘ください。ごめん、これからしばらくうるさいよ。
2010-06-03 23:03:10② まずは、子牛の生産農家から見てみましょう。子牛の生産農家は、日本の平均がどのくらいかわからないので、ま、1戸あたり10頭の雌牛を飼っている、ということにします。(意外と1戸あたりの飼養頭数は少ない)さて、この雌牛が産む子牛、口蹄疫に懸ると、一定の割合で死んでしまいます。
2010-06-03 23:04:46③ 被害小さめの、それほど毒性の強くないウイルスであったとしましょう。この農場では、生まれた子牛の2割が死んでしまいました。和牛子牛の平均価格がだいたい30~40万として、この時点で2頭×30万で、60万円の損失ですね。
2010-06-03 23:06:25④ 子牛だけではありません。母牛だって、餌を食べます。1か月の餌代を、今回、霧島市が出荷不能のためとして農家に補助している1万5千円としましょうか。(実際もうちょっとかかるだろうけど)牛の妊娠期間はほぼ1年として、2頭の雌牛が子牛を生産できず、まる1年、36万円が無駄になりました
2010-06-03 23:10:58⑤ 実際には、子牛は生まれてすぐに死ぬわけではないし、母牛だって、産んですぐ次を妊娠できるわけではないので、もうちょっと無駄が出ますね。子牛60万、雌牛餌代36万、その他併せて100万円、ということにしましょうか。乱暴ですけど。
2010-06-03 23:12:23⑥ さて、農家が今まで通りの収入を維持するためには、100万円の損失は、残り8頭の子牛にかかってきますね。1頭当たり、12万5千円ほど高くなる計算です。
2010-06-03 23:13:56⑦ 子牛は売られて、肥育農家(育てて肉として出荷する農場)にやってきます。約8カ月ほどの子牛は、ここで2歳ないし3歳まで育てられ、肉になります。短い方を取って、2年間この農場にいるとしましょう。16か月ですね。
2010-06-03 23:16:03⑧ 100頭の牛を肥育している農家があったとします。この農家では、出荷まで16か月の間、牛は口蹄疫では死ななかったとしましょう。しかし、口蹄疫に懸ったので、4か月出荷が遅れます。180万円、餌代にむだが出ますね。1頭当たり、なんと18万円です。
2010-06-03 23:19:03⑨ ⑥と⑧の合計から、1頭の牛が出荷できるまでに、今までと比べて30万5千円もの損失が出ることがわかりました。さて、和牛は体重が平均450㌔から550㌔、このうち、骨などを取り除き、食べられる肉だけに搾ると、だいたい150~160㌔といったところです。160㌔取れたとしましょう。
2010-06-03 23:24:37⑩ 30万5千円/160㌔で、なんと1㌔あたり、牛肉の値段は約1906円も高くなる計算です。 …一般家庭で食べるにはちょっとあんまりにもぜいたくな気がしますね、このお値段は。
2010-06-03 23:27:471 本日は乳牛について。ここに、ホルスタインの牝牛を100頭飼っている農家があると仮定します。この牛たちは、とりあえず妊娠させねばなりません。子供を産まないと乳が出ないのは、人間も牛も同じですね。妊娠し、子牛が産まれました。50頭は牝牛、50頭は雄牛が生まれたとしましょう。
2010-06-05 00:30:572;生まれた50頭の雄の子牛に関しては、2割が口蹄疫で亡くなるという状況は、昨日の肉牛の場合と同じ。で、雄のホルスタインはお肉にされてしまうので、昨日の「肉牛1頭あたり30万5千円」の損と同じことが起きます。でも、ホルスは和牛に比べ出荷が早いので、損失は…22万5千円、くらいで。
2010-06-05 00:36:471頭あたり22万5千円損失を出している、ということは、農家としては、900万円の損失がここで発生したことになります。雄牛はこれでいいとして、雌の子牛に話を移しましょう。牝牛は成長すると、年間7000㎏以上の乳を産生します。2歳から乳を出し始め8歳まで生きたとします。
2010-06-05 00:42:514;この間、妊娠出産に失敗することなく産み続け、牛乳を出し続けたとして、生涯に49000kgの牛乳を作ったことになりますが、口蹄疫に罹ると、生産は25%ダウンで36750kgです。1ℓ13円の原価で計算して、1頭あたり159250円の損失です。
2010-06-05 00:47:125;当然ながら牝牛も2割は口蹄疫で死にそうな目にあったり死んだりします。仮に死ななかったとしても、乳がまったく出なくなったとしますと、50頭中2割の10頭は、49000kg、637000円の損失を出したということになります。
2010-06-05 00:48:576;4と5から考えて、農家は、牝牛だけで12740000円の損失を出しました。雄牛の9000000と併せて21740000円の損害です。自分で計算してて大変びっくりしました…。これが牛乳の値段に被ってきたら、牛乳はすごい高級食材ですね!
2010-06-05 00:52:11追記。初期条件について指摘をいただいたので、搾乳農家から出荷されるホルスタインは1頭あたり3万5千円(子牛のまま肥育農場へ)乳の値段は1ℓあたり83.1円として計算しなおしました。すると、農家の損失は10年で81788000円、牛乳1ℓあたり2225.5円!
2010-06-05 12:11:17乳牛に関しては、全ての牛がホルスタインの純血種を産まされるというわけではなく、リスク分散の意味もあって、まず初産は和牛雄との間に子牛をつくるとか、和牛の子牛を人工授精で孕むとか、色々あるのですが、そのへんはまったく計算に入れませんでした。
2010-06-05 00:58:36いかがでしょうか。口蹄疫と共存した場合、これだけのリスクを我々はかぶる結果になるわけです。この価格で、アメリカやオーストラリアの肉や乳と、勝負になると思いますか。私は思いません。日本の畜産は、だめになってしまうと考えます。
2010-06-05 00:59:48