【告知.2】哲学塾カントhttp://t.co/Ed3wS0Emでの塩谷さんの講義は、受講者が10人以下になったら次回から休止とのこと(中島先生は「講義をやめる」ことがないので、実質上の消滅)。
2012-02-11 23:52:01塩谷さんに『トリスタンとイゾルデ』劇評の原稿をいただく。茂木さんのクオリア日記に載っているの(http://t.co/fCGODgVF)とほぼ同じ。塩谷さんwiki(http://t.co/X2Xvh7n8)にリンクを貼れるようにしておいたので、注釈など、我こそはと思う方は是非!
2012-02-12 03:21:31だが、塩谷さんの原稿をこういうふうに塊でアップすると、むしろ、圧倒的な壁感、というか、massiveがあって、正直なところ、紹介の仕方としては難がある。ことはわかっている。植田さんみたいに、ほぼ日刊イトイ新聞風にアップすればいいのかもしれないけれど、そういうデザインができぬ。
2012-02-12 03:26:02植田さんの「塩谷賢とヨタばなし」http://t.co/1P2D96mMも更新が滞っていることに気づく。いや、わかります。たぶん植田さんがテープ起こしされているのだと思うのですが、途中、ものすごい無力感、というか、鉄人兵団を前にしたのび太みたいな絶望感がわいてくるのです。自分への
2012-02-12 03:36:31塩谷さんの言ってることがぜんぜんわからない自分の能力への無力感・絶望感、というわけではなく(それもあるけれど)、塩谷さんの言葉を通じて垣間見える世界の豊穣さを前にした自分への。ふつう、「豊穣さ」は人の活力を与えるものだと思われているけれど、あまりに豊かなものに人は耐えられない。
2012-02-12 03:44:18加えて、テープ起こしの場合はイントラ・フェストゥムのあとのポスト・フェストゥムが来る期間に作業をやるわけで(木村敏的に考えて)、もうぜんぜん上がらないわけですよ。
2012-02-12 03:48:43…「日清のラーメン屋さん(味噌味)」をゆでて食べたら、少しだけポスト・フェストゥムな沈鬱が和らいだので、今日、塩谷さんが話されていたことを備忘ツイート。もうほとんど忘れかけているけれど。
2012-02-12 03:57:26福「環境倫理学ってどんな感じなの?」私「ざっとマッピングすると、アメリカ系、ドイツ系、日本系に分かれてます。自然の内在的価値、森林管理、公害問題をそれぞれルーツにもっていて…」福「生態系の価値とは?」私「そもそもその価値付けの基準が、それぞれ違っていて…」塩「君はどう思うの?」
2012-02-12 04:05:48私「強いて言えば、〈風景〉を通じて、生態系を価値づける立場です。生態系の価値、といったとき、一般的に多様性の議論と結びつくのでそちらにシフトすると、①種の多様性、②遺伝子の多様性、③生態系の多様性に分かれますが、文化的な側面も含めないと…」塩「生物学は、文化じゃないの?」
2012-02-12 04:14:40私「生物学、というか自然科学はもちろん文化の一種ですが、自分が生態系を〈風景〉として価値付ける基準として採用するのは、例えば里山の生活文化、というか、日常生活を送るうえでの“常識”に近くて、」塩「例えば、種の概念って、現代日本の里山の生活では“常識”ではないの?」私「…常識です」
2012-02-12 04:20:59塩「なぜ君は今、生物学を、里山の生活文化から除外したのだろう?」私「里山の、という場所的な限定が、生物学にはないからです」塩「自然科学の一般性を、個別性を“削る”ことと見ているわけだね」私「そうです」塩「ジェイムズの議論が有名だけど、“足す”ことによる一般性もあるんだよ。」
2012-02-12 04:29:30私「いや、問題なのは一般性そのもので」塩「なぜ一般性が問題なの?」私「一般性は、ハイデッガーが言うところの道具連関における適所性(Bewandtnis)を言い落とすからです。環境思想のルーツはいろいろありますが、わりと共通するのは資本主義の失敗の一形態が環境問題だというところで」
2012-02-12 04:33:36私「資本主義批判のコンテクストを、環境思想は少なからず共有します。資本主義が言い落とすひとつが適所性、ものへの配慮Besorgenという気遣いSorgeであり、この気遣いは連関を、私達に親密なものとして…」塩「ハイデッガーは“適所性だけではない領域”について語ってる?」私「いえ」
2012-02-12 04:43:07塩「『存在と時間』の前期ハイデッガーが忘れているのが、“適所性だけではないところ”。例えばこの財布は、財布であり、レシートの重しであり、“それ以上”だ。アリストテレスを経由しつつ、詩学に向かうのはそのため」私「“それ以上”を忘れないようにするには」塩「無理だよ。だから文化がある」
2012-02-12 04:54:09塩「文化は忘れていることを思い出させる。別に文化ではなくていい。君はミミズを土を耕すものとしてしか見ていないかもしれない。一方、ミミズが“それ以上”であることをミミズは忘れていない。多様性の本質は、生物機能間の“忘れ方”が違うことにある。見えている(覚えている)ところにではなく」
2012-02-12 05:00:43塩「“それ以上”を忘れさせてくれないことが、多様性のポイント。ここで種の話に戻ろう。種概念とは、生物学的な文化の産物だ。さらに種とは、単なる個体の集まりではなく、機能の集まりである」私「逆が、遺伝的多様性ですね」塩「そう」私「でも、COP10での焦点は遺伝的多様性だったのです…」
2012-02-12 05:09:36塩「理念的にも受け入れやすいからね。マルクス的な意味で、貨幣のように扱えるから、遺伝子は」私「むしろ“それ以上を忘れさせる”バイアスをかける」塩「物象化の極地だと思うよ」
2012-02-12 05:12:35今回の塩谷さんの講義録は、全面的にリライトされていて、非常に読みやすいものになっています(起こしたのも、校正したのも、私ではないのですが…)。
2012-02-16 00:11:54