生誕百年・探偵小説作家「大阪圭吉」の戦後未刊行作品紹介

2012年3月20日は、戦前に活躍した探偵小説作家・大阪圭吉の生誕百年の誕生日に当ります。 生誕百年を記念し、大阪圭吉の戦後未刊行の作品を紹介したツイートと、生誕百年関連の「私の」ツイートを、ログとして纏めました。
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小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

未紹介作の内訳は、長編1、短編31、掌編8作。それとは別に未見の作品が16作。未見の作品は無理では確定としても、残り40作でも厳しいなぁ。 #keikichi

2011-09-25 19:53:36
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

ちなみに未見の作品の内訳は、「戦線文庫」3、「にっぽん」10、「近代生活」「満洲良男」「新天地」各1。初出誌未確認の作品は他にも一杯有ります。 #keikichi

2011-09-25 20:11:10
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉22:「自若夫人」(「新青年」昭和17年3月)省線の駅に近いアパート薫風荘。新婚の金田君が、住宅難の中やっと見つけることの出来たアパートだ。花嫁の松枝さんは、大柄な気も心も自若とした性格だった。 #keikichi

2011-10-02 13:50:47
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)おおらかな女性と結婚して幸せな金田君だが、彼女に話していない一つの憂鬱があった。薫風荘では出産すると部屋を出なければならないのだ。ところが、ある日松枝さんは金田君が父親になったことを知らせてきた。 #keikichi

2011-10-02 13:51:03
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続3)大家には知らせないまま、出産間近となったある日、「薫風荘アパートを震撼させた驚くべき大事件が勃発した。」…。初出誌の惹句は「明朗小説」。昭和17年発表発表にしては時局の影の無い明るいユーモア小説です。 #keikichi

2011-10-02 13:51:25
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(止)「自若夫人」は改題されて、大都書房発行の『ほがらか夫人』(昭和18年1月)の表題作となりました。 #keikichi http://t.co/OX6mMVYx

2011-10-02 14:03:21
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小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉23:「恐しき時計店」(「キング」昭和15年7月)「とても大事なお願いがありますの。今夜店のお向かいの喫茶店で待っていて下さい。」岡田君は従姉妹のミドリさんから呼び出された。ミドリさんは、横浜のポンスン商会という時計店に勤めている。 keikichi

2011-10-09 18:27:17
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)ミドリさんは店主から信頼されていたが、一つだけ任せてもらえない仕事があった。「それが、とんでもない怪事件なの、あたし大発見をしてまったの、そして今日思い切って冒険をしてしまったの。」ミドリさんの冒険とは、その顛末は、そしてミドリさんのお願いとは…。 #keikichi

2011-10-09 18:27:35
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続3)圭吉得意のトリックを使った探偵小説と、横川禎介シリーズの先駆け的防諜小説との中間作品。防諜小説としてお約束の展開も有るが主眼はそこには無く、探偵小説的興味とお転婆なミドリさんの描写と相まって好感の持てる作品です。 #keikichi

2011-10-09 18:27:57
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉24:「花嫁と假髪(かつら)」(「週刊朝日」昭和15年3月3日~全4回連載)有坂伯爵の次男二郎君と新興実業家濱田社長の三女絢子さんの結婚式の当日。披露宴前の休憩中に外した鬘(かつら)が、何者かに盗まれた。鬘の置き台もボール箱も一緒に消えた。 #keikichi

2011-10-16 14:22:11
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)有坂伯爵は断髪やパーマネント嫌いで知られていた。実は絢子さんは断髪にパーマネントのハイカラ娘だった。新郎の二郎君はもちろん、仲人も新婦の両親も絢子さんの髪型の事は知った上、鬘を使って伯爵を騙していたのだ。断髪のことが伯爵に知れたら、結婚は破談になる。 #keikichi

2011-10-16 14:22:50
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続3)花嫁急病と偽り、披露宴を延期しその場を繕った。絢子さんの友人の、お嬢さん探偵小島アザミさんと助手のツントクこと織田恒夫君が解決に乗り出した。「仕事は事実の調査から行かなければいけない」と聞き込みにあたるが…。 #keikichi

2011-10-16 14:23:20
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続4)充分な枚数が与えられ、謎の設定、探偵の設定と(現代から見ても)本格探偵小説の傑作になり得た可能性を持ちながら、ユーモア探偵小説の枠内に着地した、(現代基準では)惜しい作品。掲載誌の読者層、昭和15年という時代からは仕方の無いところかでしょうか?。 #keikichi

2011-10-16 14:23:56
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(止)お嬢さん探偵小島アザミさんの父は、丸の内の八紘ビルに事務所を持つ有名な弁護士。八紘ビルには、青年探偵・横川禎介の事務所「国民防諜会」もある。二人はどこかで交差しているかもしれないと考えると楽しい。 #keikichi

2011-10-16 14:24:16
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉25:「案山子探偵」(「月刊探偵」昭和11年5月)果菜園経営の大手鴨十氏は、長円形のカボチャに「流線型カボチャ」と名付けて売り出そうと計画した。これがそもそも間違いの起きるもとであろうとは知る由も無かった。 #keikichi

2011-10-23 19:41:30
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)ようやく収穫の時期になった折も折、カボチャ畑が怪しげな夜盗に襲われた。鴨十氏は看板やマネキン案山子を立てるなど対策したが…。残された足跡や行動から、犯人は足が不自由で近眼と推理された。 #keikichi

2011-10-23 19:41:45
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続3)特徴に一致し疑わしいのは近所に住む3人の人物。3人のうち誰かが犯人なのか…。「なかうど名探偵」の大手鴨十氏が再登場。探偵小説専門誌に発表された「ドタバタ本格ミステリー」。ドタバタ形式の陰に本格ミステリーの魂が隠された作品です。 #keikichi

2011-10-23 19:42:00
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続4)犯人の独白で動機は明かされるが、犯人が誰かは最後まで明かされずに終わる、アクロバチックな作品。圭吉の作品中でも「本格」な作品の一つか?なお、シリーズで大手鴨十氏は探偵役ではなく、狂言回し役。 #keikichi

2011-10-23 19:42:28
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(止)戦前のドタバタ小説で、現在では差別用語とされる言葉が多用されているため、現代の読者にはどうしても気になる点が残念。 #keikichi

2011-10-23 19:42:43
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉26:「氷河婆さん」(「にっぽん」昭和17年9月)アラスカの<氷河婆さん>の話をしよう。こいつは私の取っておきの実見談でね、ちょっと信じられないような恐ろしい話なんだが、まだ誰も知らない事実譚なんだ。 #keikichi

2011-10-30 17:34:20
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)私はサンフランシスコの地理学協会の招待を受けて、アラスカの旅に出た。まだ支那事変も始まらない前の事だ。汽船でアラスカの奥地まで調査研究に向かったのだが、氷河の麓で一人で暮らす「氷河婆さん」と呼ばれるエスキモーの女と出会った。 #keikichi

2011-10-30 17:34:42
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続3)エスキモーと言えば海岸地方に居住する漁労民族で、こんな奥地には絶対に住んでいない。私は婆さんの口から、婆さんがこの物凄い氷河の末端近くの山の中で四十年も暮らしているという、恐ろしい身の上話を聞きだすことが出来たのだ。 #keikichi

2011-10-30 17:35:01
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続4)大阪圭吉後期に多い、異境譚、秘境譚の一つ。「氷河婆さん」語る身の上は恐ろしく、また切ない。佳作です。 #keikichi

2011-10-30 17:35:43
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉27:「寝言をいふ女」(「ユーモアクラブ」昭和15年7月)松野君は貧乏な小説家。乾坤一擲、一大長編を物にしようとアパート翡翠荘に引越し、外出も禁止し執筆していた。行き詰まり始めた頃、隣室に瓜実顔の美人が引っ越してきたが、 #keikichi

2011-11-13 18:09:13
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)彼女は夜になると毎晩大きな声で寝言を言い、執筆を妨害されるのだった。仕事をやめて新聞を見ると尋ね人広告に、「懸賞尋ね人賞金五百円 二十七歳瓜実顔、夜中激しき寝言の癖有り」。隣室の美女に間違いない。 #keikichi

2011-11-13 18:09:29
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