生誕百年・探偵小説作家「大阪圭吉」の戦後未刊行作品紹介

2012年3月20日は、戦前に活躍した探偵小説作家・大阪圭吉の生誕百年の誕生日に当ります。 生誕百年を記念し、大阪圭吉の戦後未刊行の作品を紹介したツイートと、生誕百年関連の「私の」ツイートを、ログとして纏めました。
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小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続3)松野君は賞金を手にしようと、それとなく彼女に声を掛け、有楽町で映画を見るところまで漕ぎ着けたが…。松野君は彼女を広告主の元に連れて行き、賞金を手に入れることが出来るのか?ユーモア探偵小説だが、この後の意外な展開に驚かされる。佳作です。 #keikichi

2011-11-13 18:09:48
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

「寝言をいふ女」を読んで驚いたこと。隣室の美女は「年の頃二十七八の、割に年増ではあるが…」27歳は年増だったのか?有楽町で映画を見るカップルについて「苦しいアベック」アベックは昭和15年の大衆小説誌で使うほど一般的だったのか? #keikichi

2011-11-13 18:52:06
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉28:「アラスカ狐」(「新青年」昭和17年8月)「じゃあひとつ、そのアラスカで、詳しくいえばアリューシャン諸島のラップ島で、私が昔出会ったという、恐ろしい話を申し上げましょう。この狐の毛皮が、その時の記念なんですがね。」 #keikichi

2011-11-20 14:32:21
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)今からかれこれ四十年前、私は千島のウルップで働いていた。濃霧と吹雪に覆われる毎日の中、ある晴れた日に氷原の上へ氷魚捕りに出かけたところ、天気の急変で流氷に乗ったまま沖に流されてしまった。私はどうやって助かることが出来たのか? #keikichi

2011-11-20 14:32:49
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続3)初出時は「北洋小説」とされた、数奇な物語。私が生還する過程で出会った、アリューシャン諸島に住むのアレウト族、そしてアラスカ狐の運命は?ロシア、アメリカ、日本による、エスキモー(イヌイット)の地への進出と虐殺の史実を背景にした物語です。 #keikichi

2011-11-20 14:33:13
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続4)当然のことながら、アラスカ狐は重要な役割を果しています。佳作ですが、背景にある戦時思想が気になる。 #keikichi

2011-11-20 14:33:31
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉29:「告知板の女」(「新青年」昭和14年10月)どこの停車場にも必ずある伝言板。少し注意して見れば、いくつかの微笑ましい人生の断面図を見られるに違いない。木谷龍太郎君は銀行員。同じビルに勤める女性とはじめての郊外散歩を約束した。 #keikichi

2011-11-27 14:10:19
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)かけがえの無い大事な日曜日にもかかわらず、突然の仕事が入り3時間半も遅刻してしまった。約束の駅に駆けつけると既に彼女の姿は見られなかったが、告知板にその人の言葉を見つけた。「九時までお待ちいたしました。ひと足お先に代々木駅でお待ちいたします」 #keikichi

2011-11-27 14:10:33
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続3)胸をときめかし代々木駅に向かうと、もう彼女はいなかった。告知板を見ると「都合で駒込駅でお待ちしています」。駒込駅に向かうとやはり彼女はいなかったが、また告知板に伝言が……。振り回された木谷君がたどり着いた先は? #keikichi

2011-11-27 14:10:50
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続4)大阪圭吉伝言の陰には、大変な犯罪が隠されていた。圭吉得意のトリックを使用したユーモア探偵小説です。 #keikichi

2011-11-27 14:11:04
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉30:「花嫁の病気」(「新青年」昭和14年8月)松野君の花嫁シナ子さんは、どう見たって平社員の松野君には、少々勿体ないくらいの、可愛い淑やかな細君だった。シナ子さんは容貌が美しいと同じように、心もまた優しく美しかった。全く出来すぎた女房だった。 #keikichi

2011-12-11 20:26:08
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)ところが、一年ばかりたった頃、シナ子さんに大変妙な癖のあるらしいのを知って、思わずギクンとなった。と言うのは――。時々松野君の身の回りのものがなくなることが有るのだった…。掌編と短編の中間くらいの短い作品。 #keikichi

2011-12-11 20:26:28
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続3)本作は「妻の四季」として曾我廼家五郎一座により、昭和14年11月に名古屋御園座で公演されました。曾我廼家五郎一座については良く知りませんが、ドタバタ+人情の関西喜劇の原作にはふさわしい、ユーモア小説です。 #keikichi

2011-12-11 20:26:58
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉31:「ポッケット婦人日記」(「ユーモアクラブ」昭和16年12月)片桐君は、朝晩家から駅まではバスに乗っていたが、最近は歩く事にした。歩き始めてみると、自分と同じように駅まで歩いて通う人が多い。しかも若い溌剌とした女性が多いのである。 #keikichi

2011-12-18 21:19:30
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)若い女性と前後して朝の道を歩いていると「失われた青春を拾ったようなものだナ」と清清しい心地になるのだった。ある朝、赤い小さな婦人用の手帳を拾った。何気なく読んでしまうと、女性らしい日常がコマゴマと書き続けられていた。何と言うケナゲな女性だろう。 #keikichi

2011-12-18 21:19:42
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続3)この素晴らしい女性と、自分の妻を比べて、片桐君はある行動をしたが……。「花嫁の病気」と同様、掌編と短編の中間くらいの短い作品。 テーマも夫婦間の機微と「花嫁の病気」と同様のユーモア小説です。 #keikichi

2011-12-18 21:19:52
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉32:「恋のお手柄」(「奇譚」昭和14年11月)理髪店の若主人の時さんは、この頃どうかしている。仕事中にしくじりを繰り返していた。時さんは、やるせない恋をしたのである。お相手は女理髪師のお澄ちゃん。重大決心をして恋文を書き始めた。 #keikichi

2011-12-30 12:35:48
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)徹夜して書き上げた手紙を、迷った末に近所のポストに入れた。後で切手を貼り忘れていた事に気付いた時さんは、翌朝ポストの前に張り込んで郵便屋さんに手紙を探してもらったが。「ありませんよ。そんな手紙は。」確かに昨夜入れた筈の大事な手紙が無い。 #keikichi

2011-12-30 12:35:54
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続3)手紙は何故、何処に消えたのか?どうも考えるほど奇怪な出来事である。「手紙を食うポスト」探偵小説にでも出て来そうな出来事ではないか。時さんは手紙を書き直してもう一度投函、郵便屋さんが来るまで見張りを始めたが・・・。 #keikichi

2011-12-30 12:36:09
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続4)ポストを見張った時さんの大活躍とお手柄は…。初出誌では「脱線恋の騒動」と銘打たれたがユーモア探偵小説。「冒険とユーモア」と角書された雑誌「奇譚」だが、ユーモア小説の掲載は少ない印象。 #keikichi

2011-12-30 12:36:36
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

大阪圭吉33:「身代り花嫁」(「ユーモアクラブ」昭和15年2月)「あなた…あの、折入ってご相談があるんですけど…」酒巻稲次郎氏の奥さん阿佐子夫人は重大な決心をして切り出した。「な、なに、大変もない相談?」 #keikichi

2011-12-31 15:51:56
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続2)夫人は熱心な国防婦人会の一人だった。婦人会で戦地に慰問袋を送る事になり、自分の名前で慰問文書いた。兵隊さんから返事が返り、何度か手紙のやり取りを重ねていると、最後の手紙がやってきた。「内地に帰還できることになったので、お目にかかってお礼を申し上げたい」 #keikichi

2011-12-31 15:54:01
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続3)実は、阿佐子夫人は自分の年齢も結婚していることも書かず、若返った気持ちで慰問文を書いていた。若い娘と勘違いさせた兵隊さんと会うような残酷なことは出来ない。相談を受けた酒巻氏と夫人の取った善後策は、身代わりの娘を立てること…。 #keikichi

2011-12-31 15:54:18
小林文庫オーナー @KOBAYASHI_bunko

(続4)兵隊さんと慰問文という背景だが、作品自体は戦意高揚とは無関係な、全うなユーモア小説。酒巻氏と夫人の思惑を裏切る、意外な結末も用意されています。 #keikichi

2011-12-31 15:54:37
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