第三次北伐~王経撃破にいたる過程について~
つまり、姜維の脅威から涼州を守るには、姜維の涼州侵入そのものを防がねばならず、それができるのが枹罕だったのである。王経は結構考えている
2012-03-07 19:05:10では、姜維は何を狙ったか?当然ながら涼州の陥落である。魏軍が虚報に引っ掛かればよし。引っ掛からなくとも、姜維は雍州軍が来る前に枹罕へ達し、涼州にて涼州軍と会戦する余裕はある。そうした判断のもと、彼は全軍を涼州へ進ませた
2012-03-07 19:09:15しかし、彼の目論みは外れ、彼が枹罕に着く頃には、王経が狄道に入り、姜維へ対応する態勢を整えていた。姜維は、魏軍の枹罕への道を遮断しつつ、北上して涼州へ出ることもできたが、彼はここで作戦を変更する
2012-03-07 19:13:35姜維は涼州軍との距離、王経の軍規模、陳泰の位置と推測し得る到達時期を勘案し、王経の撃破と雍州と涼州の遮断を行うことにした。
2012-03-07 19:19:22ここで、魏の動きについて言及する。王経は自身の提案を否決され、狄道への前進を命令されると、即座にそれに応じた。陳泰の命令で涼州軍を不用意に動かさなかったことも、姜維の涼州侵入を防いだ。
2012-03-07 19:24:09陳泰の意図は、第一段階として、姜維を狄道周辺に拘束することである。これにより、ひとまずは姜維と羌胡との合流を防ぎ、都督指揮下の軍で対応できる規模に姜維の戦力を抑えるためである。
2012-03-07 19:28:02そこから先は、陳泰の得意とする、機動による勝利を狙っていたと思われる。姜維を狄道に拘束し、時機を見計らい、涼州軍を枹罕に向かわせ、陳泰自身が臨トウ辺りへ向かえば、姜維は自軍を大きく上回る敵に包囲される形になり、彼を撤退に追い込むことができる
2012-03-07 19:33:08そして、陳泰の作戦の完遂には、姜維の動きを把握し続ける必要がある。当然、姜維が陳泰の予測に反し、枹罕を確保しながら涼州へ向かうことも懸念されたからだ。そうなれば、王経や涼州軍に与える指示も変わる
2012-03-07 19:37:29姜維は当然のことながら、王経が自身と接触を保とうとしていることは理解したし、彼が陳泰を待っていることも分かっていただろう。また、陳泰の意が自身を狄道近傍に拘束することにあると考えれば、王経を釣り出すのも容易であった。
2012-03-07 20:49:14ここから先が本来の趣旨、すなわち、王経の前衛を姜維が破砕するまでのシミュレートなわけであるから、真面目に考えるべきである。王経になりきり、姜維になりきらなくてはならない
2012-03-07 21:05:01枹罕に居る姜維に、狄道より最も接近しやすいルートは、大夏水を遡る道であり、姜維と接触することを目的とするなら、この経路をとるはずである。加えて、この動きは、姜維の連絡線を牽制する効果もある
2012-03-07 21:33:31姜維と王経前衛は、大夏の辺りで接触する。ここで姜維は彼の得手とする用兵を見せる。大夏より軍を北へと向け、涼州へ出る素振りを見せたのである。当然、これは陽動である
2012-03-07 21:42:59そして、陽動と気付かれぬよう、姜維は騎兵を中心とする後衛を残し、王経軍前衛が姜維を追えぬ態勢を作る。王経軍前衛は直ちに引き返し、トウ水に沿って姜維を追う。同時に、王経へも連絡を入れる。
2012-03-07 21:46:00王経軍前衛を十分引き付けた後、姜維は後衛に大夏水を下らせ、自らも引き返す。王経軍前衛は、自らの連絡により王経が狄道を出た可能性を考えると引き返さざるを得ない。
2012-03-07 21:50:40姜維に捕捉された王経軍前衛は、姜維軍本隊との戦闘を強いられることになる。魏の蜀討伐において諸葛緒に対して行われた機動は、この対王経戦で行われたもののコピーである。自身の動きに対する、敵の反応を利用する機動である
2012-03-07 22:44:36王経としても、姜維の真意が何であれ、前衛を救わないわけにはいかない。何故なら、機動力に富んだ前衛を失えば、王経は目を失ったのと同じであり、姜維の動向を掴めなくなるからである
2012-03-07 23:00:20こうして王経は、姜維の巧みな機動によって、前衛はおろか自身の本隊まで戦闘に引きずり込まれ、壊滅的な被害を出して狄道に逃げ込むことになった
2012-03-07 23:03:45