NHK「放射能と生きること~26年目のチェルノブイリ被災地~」 書き起こし・ほぼ完全版

3月8日夜に放送されたものを文字おこししています。
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とし @toshihiro36

<ナレーション> 国が効果的な対策をとる上で重視しているのが、国土の汚染を正しく把握することです。国の調査員が全国10000を超える全ての農場を調査。土壌のサンプルは10歩歩くごとに40cmの深さまで採取されます。

2012-03-09 08:54:12
とし @toshihiro36

<ナレーション> こうした調査をもとに5年ごとに作られるのが、国家プログラムです。充てられる資金は国家予算の2割に上ります。住民の健康管理から地元経済の立て直しまで。汚染された地域で生活するために必要な対策が記されています。

2012-03-09 08:59:02
とし @toshihiro36

副局長: 地域の人たちが普通に働き、学校に通い、健康に暮らす。そんなあたりまえのことを実現するために、膨大な労力とコストをかけているのです。

2012-03-09 09:01:52
とし @toshihiro36

<ナレーション> 国家プログラムでは、汚染された地域に住民を呼び戻すことにも力を入れています。国が住宅や仕事を提供することで、新たに移住してくる若い世代も増えています。マルタ・シャランコさん(26)も、9年前ホイニキに移ってきました。夫がこの地区の農場で仕事をみつけたからです。

2012-03-09 09:06:20
とし @toshihiro36

<ナレーション> 3人の子供はここで生まれました。マルタさんには習慣にしていることがあります。近所の農家からもらった牛乳と野菜。それらを持って向かったのは、息子が通う小学校の理科室です。

2012-03-09 09:09:26
とし @toshihiro36

マルタさん:先生、いいですか? 放射線の検査をお願いします。

2012-03-09 09:10:57
とし @toshihiro36

<ナレーション> ベラルーシでは汚染された地域にあるほぼ全ての学校に放射線の測定器が置かれています。訓練を受けた理科の教師が無料で食べ物の安全を確かめてくれます。ベラルーシの牛乳の基準値は1リットルあたり100ベクレルです。

2012-03-09 09:16:38
とし @toshihiro36

理科教師: 1リットルあたり25ベクレル。基準値の4分の1です。この牛乳は安心して飲むことができます。

2012-03-09 09:18:32
とし @toshihiro36

マルタさん: 学校は近くにあるので、いつでも来られます。自分の目で確かめられるのはいいですね。

2012-03-09 09:19:57
とし @toshihiro36

<ナレーション> 国は子供の教育にも力を入れています。

2012-03-09 09:20:58
とし @toshihiro36

教師: 私たちの国では、食品の基準値が定められています。リンゴはどうでしょう?果物のところを見て。(生徒「40ベクレルです」) そうです。40ベクレル以上は食べてはいけません。

2012-03-09 09:24:00
とし @toshihiro36

<ナレーション> この日は子供たちが測定器を使って食品の放射線量を調べていました。毎月1回、汚染された地域の全ての小学生がこうした授業を受けています。

2012-03-09 09:26:32
とし @toshihiro36

生徒: どれくらいの放射線量があるのかわかるので、とても面白いです。

2012-03-09 09:28:55
とし @toshihiro36

理科教師: ずっとこの場所で生きていくには、正しい知識が必要です。子供たちを通じて、大人にも情報を与えているのです。

2012-03-09 09:30:56
とし @toshihiro36

<ナレーション> 夕方、マルタさんの夫・ユーリさんが農場から帰ってきました。マルタさんはすぐシャワーを浴びさせます。土ぼこりを洗い落とし、家の中に持ち込まない。国が子供のいる家庭に薦めている対策です。市場に出回る食品は国の検査を通ったものです。

2012-03-09 09:36:22
とし @toshihiro36

<ナレーション> 全国500を超える施設で肉類や野菜など、1日平均30000のサンプルが検査されています。

2012-03-09 09:38:03
とし @toshihiro36

ユーリさん: 森で採れるキノコやベリーは避けて、検査された牛乳や肉を食べるようにしています。安全に暮らせる方法があるから、ここで住んでいけるのです。

2012-03-09 09:40:34
とし @toshihiro36

<ナレーション> 農業の再生を目指し、放射能と闘ってきたニコライさん。いま気がかりなことがあります。ホイニキ地区にある農地の汚染度マップの比較です。全体的には高い汚染度を示す赤やオレンジが減っています。しかし画面中央の区画に注目すると、2003年に黄色だった所が

2012-03-09 09:49:26
とし @toshihiro36

<ナレーション> 4年後、より汚染度の高いオレンジに悪化しています。下がっていた汚染度が再び上がる“再上昇現象”です。ホイニキではこれまで少なくとも10か所の区画で再上昇現象が確認されています。 専門家の間では、周辺から飛んでくる放射性物質や地下水の影響とみられていますが、

2012-03-09 09:54:04
とし @toshihiro36

<ナレーション> 原因は特定できていません。

2012-03-09 09:54:53
とし @toshihiro36

ニコライさん: 地区全体の汚染度は、20年以上かけてようやく40%ほど下がりました。再上昇現象が起きてしまうと、その区画はまた対策のやり直しになってしまうのです。

2012-03-09 09:57:37
とし @toshihiro36

<ナレーション> ニコライさんの元に最新の汚染度マップが届くのは、半年後の冬です。事故から26年、幼かったニコライさんの息子は結婚し、孫も生まれました。しかしその年、息子の家族は放射能の影響が残るこの町を出ていきました。

2012-03-09 10:01:22
とし @toshihiro36

<ナレーション> 孫のために用意した部屋。いつか一緒に暮らせることをニコライさんは願っています。

2012-03-09 10:02:48
とし @toshihiro36

ニコライさん: 時間が経てば、帰って来てくれると信じています。あの事故で、何もかもが変わってしまったのです。

2012-03-09 10:05:13