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<ナレーション> 水素爆発でむき出しになった4号機の燃料プール。原子炉という鉄の覆いがない状態でもし水を失ったら核反応を起こし、大量の放射性物質を撒き散らす恐れがあった。今回の事故は隙間なく詰め込まれた使用済み燃料プールの危険性を改めて浮き彫りにした。
2012-03-12 15:06:25<ナレーション> 原発事故の後、政府が真っ先に止めた浜岡原発。原発そのものは停止しているが、燃料プールには大量の使用済み燃料が溜まったままだ。原子炉が停止した浜岡原発で使用済み燃料プールを見せてもらった。原子力発電所の核燃料は、3年ほどで燃え尽きると燃料プールに移して冷やされる。
2012-03-12 15:11:28<ナレーション> 燃料プールが原子炉の上の方に置かれている原発は多く、浜岡も福島第一もこのタイプだ。使用済み燃料は日本では他の国に比べ、長い間プールに入れられる。増えていくとつめかえられ、より隙間をなくした状態で保管される。
2012-03-12 15:16:29<ナレーション> 浜岡原発全体ですでに6500体の使用済み燃料がプールに保管されている。使い終わった燃料がプールに溜まり続ける現状は、日本中どこの原発も同じだ。現在、全国に54基ある原子力発電所。原発の中の燃料プールなどに保管されている使用済み燃料を集計した。
2012-03-12 15:23:23<ナレーション> その数は6万1000体以上(6万1617体)。もし巨大な地震が襲った場合などには、福島第一原発4号機のように一気に深刻な状況に陥る危険性がある。
2012-03-12 15:27:33<ナレーション> 青森県の六ヶ所村にある再処理工場。ここには全国の原発から出た使用済み燃料が送られてくる。使用済み燃料は隙間なくびっしりと保管されていた。1万3000体余り(1万3328体)を入れる容量に対して、すでに9割(1万1626体)が埋まっている。
2012-03-12 15:32:31<ナレーション> 日本では使用済み燃料はゴミではなく資源、つまり再処理して再び使えるものだとされている。しかし六ヶ所の再処理事業はトラブル続きで本格稼働はできていない。アメリカ・プリンストン大学のフォンヒッペル教授、日本の使用済み燃料プールは深刻な事態を招きかねないと警告する。
2012-03-12 15:36:59フォンヒッペル教授: 福島第一4号機の写真で分かる通り、燃料集合体は箱に入っている。非常に間が狭いので、中性子吸収材を入れないと臨界に達するのを防げない。燃料棒が原子炉の炉心のように窮屈に詰め込んである。水がなくなれば、空気で冷やすことができなくなる。非常に危険だ。
2012-03-12 15:42:59<ナレーション> 使用済み燃料はアメリカをはじめ多くの国では、ゴミとしてそのまま処分される。一方、日本は使用済み燃料を再び使う再処理にこだわってきた。これによってプルトニウムと危険な高レベル放射性廃棄物が生み出される。高レベル廃棄物をガラスに閉じ込めたものがガラス固化体。
2012-03-12 15:48:15倉澤: 容器に入れて固めたもの、これがガラス固化体の模型です。もちろんほんものだったら放射線のレベルが高いので触ることはできません。数秒で死んでしまうほどの高レベルのものです。
2012-03-12 22:26:16<ナレーション> 危険がなくなるまで10万年以上かかるガラス固化体を鋼鉄と粘土の人工バリアで覆う。それを地下深くに埋めるのが最終処分だ。1体当たりのコストは1億円を超える。この原発ゴミをどこに埋めるか。北海道の幌延町はかつて高レベル廃棄物研究施設の誘致に名乗りを上げた。
2012-03-12 16:01:21<ナレーション> 1985年、過疎に悩む町は大きく揺れた。当時の町長が誘致を表明、反対派が激しく抵抗する中、建設に向けた調査が強行された。当時の成松町長は交付金や経済効果が見込めるとして、理解を求めた。しかし、町を支えてきた酪農はやめる人が相次ぎ衰退の一途をたどった。
2012-03-12 16:13:05<ナレーション> ほかに目立った産業も育たなかった。 北海道知事が強く反対したため、結局、放射性廃棄物を持ち込まない核抜きの研究施設とすることで決着した。幌延町・北海道・事業者の3者が結んだ協定書には「最終処分場にはしない」と明記された。
2012-03-12 16:18:56<ナレーション> 2001年、北海道・幌延町にできた核抜きの深地層研究センター。将来、国内のどこかに処分場をつくるため必要な研究を24時間体制で続けている。研究には20年間で1000億円つぎ込まれる。地下500mまで掘削する予定で、現在320mまで掘り進んでいる。
2012-03-12 16:24:25<ナレーション> これは国が作った最終処分のイメージ映像。ガラス固化体を一つ一つ無人運搬車で地下施設に運び入れる。その後、トンネル自体も埋めてしまう。こうした最終処分には3兆円かかるという。日本で処分場をつくる時に大きな課題になるのが地下水だ。
2012-03-12 16:33:43<ナレーション> このように塩分の多い地下水があるとガラス固化体やそれを覆う鉄は長い年月で腐食し、放射性物質が地下水に漏れ出してしまう。
2012-03-12 16:38:17青木・研究主席: 地下水に溶けるというのは前提として考えてまして…ただそれが人間環境に届くのにどれくらいかかるか…数万年後に届くというような設計をしなくてはいけないということなんですね。
2012-03-12 16:41:44<ナレーション> 国は安全に処分することは可能だとしているが、10万年もの間放射能を閉じ込めておけるのか。疑問の声も上がっている。
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