童話「くらげのみっちー」

作者:まるまる
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まるまる @h_mku

童話「くらげのみっちーさん」 即興で書いていきます。恐らく合計30ツイートくらいになるかと思います。 この物語を通して私が伝えたいことは、「現状の自分で十分幸せなのだ」ということです。

2012-03-15 00:15:08
まるまる @h_mku

① みっちーさんはくらげです 今日も沖縄の海の上をぷかぷかと浮いています 「いやあ,今日は実に良い天気だなぁ」 ぷーかぷか,ゆーらゆら,くーらくらげ

2012-03-15 00:19:14
まるまる @h_mku

② すると、遠くから人間の声が聞こえます。 女の子「待って-!」 男の子「待つもんかー!」 良く見ると、砂浜で女の子と男の子が走り回っています。 みっちーはそれを見て、うらやましく感じました。 みっちー「いいなあ、僕も陸の上を走ったりしてみたいなあ」

2012-03-15 00:21:29
まるまる @h_mku

③ すると、遠くからまた別の人間の声が聞こえます。 お父さん「ニクが焼けたぞー」 男の子&女の子「わーい!」 みっちーが視線を移すと、そこには何か煙を上げた怪しげな物体がありました。

2012-03-15 00:25:32
まるまる @h_mku

④ お父さん「沢山食えよ!」 男の子「わーい!」 女の子「おニク美味しい!」 今までに嗅いだことのないような美味しそうな匂いが、みっちーのもとにも流れてきます。 みっちー「いいなあ、僕もおニクというものを食べてみたいなあ」

2012-03-15 00:25:41
まるまる @h_mku

⑤ みっちー「人間っていいなあ」 みっちー「足があって陸の上を走れるし。」 みっちー「僕もプランクトン以外の食べ物を食べたい。ニクというものを食べてみたい。」 みっちー「僕も,人間になりたいなあ」

2012-03-15 00:25:58
まるまる @h_mku

⑥ その日の夜,みっちーはお父さんの元に相談に行きました. みっちー「パパー!」 クラゲ王「どうしましたか王子?」 みっちー「僕,人間になりたい!」 クラゲ王「何を言ってるのですか.みっちー,あなたはクラゲ王国の王子なのです.私の跡取りとなる者なのです.それは許されません.」

2012-03-15 23:06:58
まるまる @h_mku

⑦ みっちー「でも,僕だって走ったり,ニクを食べたりしたい!」 クラゲ王「いいですか.あなたはくらげなのです.そんな事言っても無理なものは無理です.」 みっちー「パパのバカ!」 クラゲ王「王子!」 みっちーは泣きながら走り去ってしまいました. クラゲ王「王子…」

2012-03-15 23:07:28
まるまる @h_mku

⑧ お父さんは悲しげな目で走り去るみっちーを見つめていました. しかし,同時にこう思いました. クラゲ王「(ついに気付いてしまったのか…)」 クラゲ王「(みっちーは元々,人間であるということに)」 なんと,みっちーは元々人間だったのです.

2012-03-15 23:19:44
まるまる @h_mku

⑨ 子供に恵まれなかったクラゲ王夫婦と,両親を失ったみっちーとの間を,カミサマという人が取り持ってくれたのです. みっちーはくらげとなり,クラゲ王夫婦に迎え入れられました. クラゲ王夫婦は,みっちーをまるで我が子のように大切に育ててきました.

2012-03-15 23:28:02
まるまる @h_mku

⑩ みっちーはすくすくと育ち,今や一人前のくらげになりました. クラゲ王「あいつにも人間の本能が残ってたんだな…」 お父さんはある決意をしました. クラゲ王「よし,明日の朝になったらカミサマの元へ相談に行ってみよう」

2012-03-15 23:28:29
まるまる @h_mku

⑪ 翌朝,クラゲ王はカミサマの元へお願いに行きました. クラゲ王「息子を,みっちーを人間に戻してやってくれないでしょうか」 クラゲ王「実はこういうことが…」 カミサマ「…それなら仕方無い」

2012-03-16 21:23:34
まるまる @h_mku

⑫ クラゲ王「王子!明日からあなたは人間になります!」 みっちー「!!!」 その日は一日中,みっちーは人間としての生き方の講習をみっちり受けました. だけどみっちーは嬉しさのあまり,お父さんの言うことを殆ど聞いていませんでした.

2012-03-16 21:25:02
まるまる @h_mku

⑬ 翌朝目を覚ますと,みっちーは人間になっていました. みっちー「わぁい人間だ!手もある!足もある!走れるんだー!」 みっちーはそこら中を駆け巡りました. みっちー「次はニクを食べてみたいな」

2012-03-16 21:26:47
まるまる @h_mku

⑭ みっちーはニクを求めて聞き込みを行いました. みっちー「ニクが食べたい!」 通行人A「なんだこいつ…」 みっちー「ニクが食べたい!」 通行人B「とっとと行こうぜ.」 みっちーは全く相手にされません.

2012-03-16 21:29:09
まるまる @h_mku

⑮ すると,みっちーの前に太ったおじさんが現れました. おじさん「ぼうや,ニクが…食べたいのかい?」 みっちー「うん!」 おじさん「ニクと言っても…色々ある,どういった種類のニクだ?」 みっちー「えっとね,四角い台が,もくもくしてて,とっても良い匂いのするニクのこと!」

2012-03-16 21:36:26
まるまる @h_mku

⑯ おじさん「それはな…ヤキニクと言うんだ」 みっちー「ヤキニク…?」 おじさん「いい所がある,付いてきなさい」 みっちー「うん!」

2012-03-16 21:36:47
まるまる @h_mku

⑰ おじさん「着いたぞ.ここがヤキニク店だ.」 みっちー「おじさん,ありがとう!」 おじさん「いいってことよ.じゃあ達者でな.」 みっちー「うん!ばいばい!」 早速みっちーはお店の中に駆け込みました

2012-03-19 21:58:23
まるまる @h_mku

⑱ 店員A「いらっしゃいませー!」 店員B「お一人さまでしょうか?」 みっちー「おニク下さい!」 店員A「こちらへどうぞ.」 みっちー「おニク下さい!!」 店員B「ご注文は?」 みっちー「おニク下さい!!!」

2012-03-19 22:00:57
まるまる @h_mku

⑲ 上手くコミュニケーションが取れず,店員さん達は困惑しましたが,なんとかみっちーはおニクにありつくことができました. 店員A「こちらがおニクになります.良く焼いてからお召し上がり下さい」 みっちー「やったー!!!」 みっちー「おいしい!!!」 みっちー「幸せ!!!!!」

2012-03-19 22:05:40
まるまる @h_mku

⑳ みっちーは初めてのおニクをお腹いっぱい食べることができました. みっちー「あー食べた食べた.」 みっちー「お腹いっぱいで,もう動けないよ…」 みっちー「人間って何て幸せなんだろう.人間になって本当良かった.」

2012-03-19 22:09:58
まるまる @h_mku

㉑ みっちーは全てに満足して,店を出ようとしました. その時です. 店員A「あのーお客様,お支払いの方は?」 みっちー「?」 店員B「おカネを払っていただけないでしょうか?」 みっちー「なんで?」 店員A「……」 店員B「ちょっとこちらに…来ていただけますか?」

2012-03-19 22:11:56
まるまる @h_mku

㉒ みっちーは店の裏へと連れていかれました。 店員A「おい、まさかタダで飲食できるなんて考えてないだろうな?」 店員B「カネ払えよ!」 みっちー「カネ…?」 店員A「おい、ふざけてんじゃねえぞ!」 店員B「警察呼ぶぞ!」 みっちー「…(グスン)」 みっちーは泣きそうになりました。

2012-03-20 21:47:41
まるまる @h_mku

㉓ みっちーは怖くてたまりませんでした。 そして、人間になったことを酷く後悔しました。 みっちー「(…人間ってこんな辛いものだったのか.ニクを食べるためにはこのような仕打ちを受けなければならないのか)」

2012-03-20 21:49:44
まるまる @h_mku

㉔ と、その時です。 ?「何やってんだ!」 みっちー「?」 店員B「あ,オーナー!」 店員A「こいつ、カネ払わずにニクだけ食って逃げようとしてるんっすよ。」 みっちー「お、おじさん…?」 オーナー「お前はあの時の… おい,ここは俺が出す,さっさと解放しろ」 店員B「は、はいっ!」

2012-03-20 21:55:44