茂木健一郎氏 @kenichiromogi 【ニュートリノは光速を超えないよ】連ツイまとめ
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「連続ツイート」第536回をお届けします。文章は、その場で組み立てながら即興的に書いています! 本日は、昨日入ってきたニュースについて。
2012-03-17 08:11:29にこ(1)「常識」(common sense)というものは面白いもので、それは、さまざまな小さな「パーツ」となる知識の組み合わせである。その分野における「常識」を持つためには、それなりの経験の積み重ねが必要である。逆に言えば、「常識」を持つくらいになることが勉強の目的であろう。
2012-03-17 08:13:40にこ(2)ニュートリノの速度について、CERNが再実験をした結果、光速を超えなかったと発表した。物理について「常識」を持っている人は、「まあ、そうだろうな」と思ったに違いない。ニュートリノが光速を超えたというニュースが流れて以来の「騒動」が、一応決着した。
2012-03-17 08:15:24にこ(3)ニュートリノの光速超えのニュースが流れたとき、ツイッター上では「アインシュタインの相対論が破れた」とか、「タイムマシンが可能」とか、さまざまな反応があった。科学ネタがそれだけの関心を惹くことに対して新鮮な驚きがあったと同時に、一般の人はその程度の感覚なのだと思った。
2012-03-17 08:26:08ニュートリノ
素粒子のうちの中性レプトンの名称。中性微子とも書く。電子ニュートリノ・ミューニュートリノ・タウニュートリノの3種類もしくはそれぞれの反粒子をあわせた6種類あると考えられている。ヴォルフガング・パウリが中性子のβ崩壊でエネルギー保存則と角運動量保存則が成り立つように、その存在仮説を提唱した。 http://p.tl/DH4Y 「ウィキペディア」より
相対性理論(相対論)
1905年に発表された特殊相対性理論と1916年に発表された一般相対性理論のことである。両者はいずれもアルベルト・アインシュタインの創始した理論で、互いに、等速運動する座標系の間では物理学の法則が不変な形を保つという原理(相対性原理)と、光速度不変の原理を仮定したときの物体の運動を記述する。前者は慣性系についてのみ記述し、後者は加速運動する系や重力場の効果を含めて一般化した理論である。 http://p.tl/weJh 「ウィキペディア」より
にこ(4)アインシュタインの相対性理論は、そもそもこの世界の事物がどのように変化していくかという因果性についてのきわめて精緻な体系であり、ニュートリノが光速を超えるということの意味が、まったくわからない。だからこそ、物理の常識を持つ人ほど、「そんなわけないだろう」と考えた。
2012-03-17 08:18:09にこ(5)極めつけは、益川敏英さんで、私はTokyo FMの番組のキャスターとして益川さんのお話をうかがっていたのだけれども、質問を受けて、一言「ガセネタです」と言い切った。ニュートリノが光速を超えるなんて、ガセネタです、と言い切れるところに、物理学の素養というものがある。
2012-03-17 08:19:25ニコ(6)もちろん、常識は永遠ではない。そもそも相対性理論を導いたマイケルソン・モーリーの実験は、光の速度が一定であることを示したわけだから、当時の「常識」には反していた。しかし、その結果生まれたアインシュタインの相対性理論は、あまりにも美しいものだった。
2012-03-17 08:20:36にこ(7)1905年のアインシュタインの論文以前に、ローレンツやポアンカレが、現象を説明するための奇妙な変換公式を導いていたが、その意味は誰もわからなかった。アインシュタインは、そもそも二つの事象が「同時」であるとはどういうことかという根本に立ち返って、相対論を構築したのである。
2012-03-17 08:22:13にこ(8)結果として生まれた相対性理論は、そもそも二つの物体が時空の中で相互作用をするとはどういうことか、その際の「時間」のパラメータはどのように構築されるかということについて、深い洞察を伴っていた。ニュートリノが光速を超えたからといって、揺らぐような体系ではないのである。
2012-03-17 08:23:15にこ(9)「常識」を破る結果といっても、「スジ」がいいものと、悪いものがある。そんなセンスを身につけるためにも、もっと科学を勉強した方がいいと思う。ニュートリノは、光速を超えない。世の中はそんなものだよ。でも、もっと他のサプライズだったら、いくらでも待っているかもしれないね。
2012-03-17 08:24:35