それが変わったのは『機甲天使ガブリエル』本の執筆でした。等身大のメカをいっぱい描くことになり、参考になったのが、同じように等身大の(しかも実在する)自転車だったのです。アルミやチタン、むき出しから塗装したものまで触ったり削ったりできる環境で、金属の質感をより深く理解できるように
2012-03-22 00:18:03つまり、コスモゼロは、戦闘機ではあるけど、現実には存在しておらず、最初に絵に描いたもの特権として、けっこう面の処理などの解釈を自分好みに変え、赤く塗られた機首部分と、後ろの軽合金むき出しの金属の質感で全体の存在感を表現できるという,けっこうオイシイ仕事になっているのであります。
2012-03-22 00:36:07石黒昇さんが・・・。ぼくは『ヤマト』で石黒さんとお近づきになれて、テレビシリーズで、連続するストーリーを演出する、その難しさと、素晴らしさを知りました。物語を語るためには、ときにはオープニングも取っ払ってしまうという仰天するような回がありましたね。
2012-03-22 01:02:42だからアニメの『銀河英雄伝説』では、石黒さんが監督をやる、ということで(アニメの仕事はしないことにしてたのです)メカデザインの仕事を引き受けました。ググってみたら、「自然」の描写が得意だったとか。雨をアニメで描くため、一日中ずうっと雨が降るのを見ていたというエピソードをご本人から
2012-03-22 01:05:49で、やっぱり『銀英伝』のアニメでも、オープニングを取っ払った回があって、さすが石黒さん! とか思ったものでした。
2012-03-22 01:10:15コスモゼロ、入稿は月曜日の早朝。先にレイアウト用のデータを送ることで、ぎりぎり土日いっぱいを描く作業に充てることができることになりました。
2012-03-23 10:22:48メカの金属の質感は、表面への移り込みで「決まり」ます。参考になったのは開田さんに誘われて見学した筑波の加速器の施設。金属で出来た巨大な装置の圧倒的な存在感。これ以降、僕の絵は大きく変わりました。参考→http://t.co/x1mSdl97
2012-03-24 01:32:22「ソフトブレンド擦」という筆がペインター12にあると寺田克也さんから教えてもらわなければ、諦めてフォトショップで絵を描いていたかも。MacOSが10になる前の時代、ペインター5.5(だったかな)にもあった筆で、それがバージョンアップで無くなってしまったとき、わざわざ5.5から移植
2012-03-24 01:39:11メカへの写り込みの見本はそこいら中に溢れています。近くは台所のシンク。少し大きなものはステンレスやアルミの電車。見る角度と距離で、反射像はくっきり見えたり、ボケたりする。例えば、ヤマトの主砲は大きな面の組み合わせ。反射像がボケれば、と奥にあることがわかり、大きさを演出できる
2012-03-24 01:46:14鏡のように、反射像がくっきり写り込んでいれば、それは小さいものであることがわかる。画面内の対象物の大きさは透視図法や空気遠近法で表現しますが、宇宙空間では、空気遠近法は使えない。大きな光源がないと周りの黒い宇宙空間が写り込む。
2012-03-24 01:48:17人の手がよく触れるところはてかてかしてて奇麗に反射するし、角度が浅ければ、たとえば戦車の上面は(水面のように)空の色をくっきり反射します。
2012-03-24 01:49:55そうやってメカを描写します。いろんな人が多くのそれぞれの絵柄やタッチでメカを描いてますが、存在しないものをリアルに見せるためには、ある程度、タッチというものを殺したほうがいい場合もあります。その場合はデザインや形状そのものが、自分を出す大事な要素。
2012-03-24 01:52:31というわけで、起きたとこ。今日は主にコスモゼロのカタパルトを描きます。ゆうべ、メカについて「熱く」語っちゃったのでw 今回は人物。とくに人の顔。ぼくは美女を描くのが好き。で、やっぱりリアルな美女を描きたい。しかし、決して美女の写真を見てただトレースするだけじゃツマラナイ
2012-03-24 10:18:28いや、トレースでもいいんですが。絵全体を引き立てることも出来るし、メカを纏った身体も,美しい顔が付いてるだけで、引き立ちますからね。でも「描きたい」は「創造」したい、「生みたい」ということで、真似ではその願望は叶えられないのです。
2012-03-24 10:20:27そこでぼくは、女性の顔を描くとき、頭の中だけで創造した顔を描く。もちろんその頭の中には、数多く見てきた絵画の中の美女、映画の美女、写真で見た美女が、記号や数字、比率として(情報の組み合わせ)として残っているので、それを、画面の上に再構成する作業になります。
2012-03-24 10:22:22ここでもリアルが僕の目標なので、メカと同じように「反射像」や「写り込み」は、「奥行き」の表現にとっても重要。顔を描くには、「形状」「陰と影」「色」「光源」などを考えますが、最終的に肌に「色つや」を与えるためには、この「光源」が効果的。唇や鼻のあたま、光の反射、ハイライト、ですね。
2012-03-24 10:25:36しかし、ハイライトだけだと、立体感は、手前側に出っ張ってくる、顔の手前側の表現しか生みません。半立体になってしまう。顔には顔の向こう側、背景があるのです。この背景を表現するのが、写真でいうと、逆光の表現です。顔より向こう側にも光がある。
2012-03-24 10:28:46顔より向こう側にある光は、時には頭部を纏う、髪の毛の一本いっぽんを美しく輝かせるし、顔の頬の輪郭を後ろから照らす。ショートヘアーなら、首筋を浮かび上がらせることが出来る。顔の角度によっては、鼻の形を、前からの光と、後ろからの光の両方で立体感を表現できる。
2012-03-24 10:31:33美女をモデルに使った写真を見ると、この補助光がとても効果的に使われていることに気付きます。つまり、「反射」はメカだけでなく,美女の顔の存在感を強調するための大事なテクニックなのです。
2012-03-24 10:33:12でも、やっぱり、頭の中の美女なので、まずは形をきちんと整えないとその先に進めません。僕の場合、描き始めていっぱつで美女が美女になることは少なくて、えんえんと描いたり削ったり、足したり、パーツをコピー・ペースとして整える作業が続くことがしばしばあり、やっぱり難しい。
2012-03-24 10:35:45