NHK:マイケル・サンデル究極の選択「許せる格差 許せない格差」 書き起こし・ほぼ完全版
- toshihiro36
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又吉: やっぱり人間ですから、あれ同じことをやっていてなぜ(給料が)ちがうんやろうというのは絶対に疑問に思うので…それを(その状態で)喜んで仕事するのは難しいから、仕事自体の効率が悪くなるかなあと思いますね。
2012-03-20 22:28:55サンデル「ユウタロウ」 ユウタロウ「同じ仕事内容なのに、給料に差があるのは不公平だと思います。たとえば、移民労働者が日本語を話すことができず、できる仕事も少ないのであれば、給料が低いのは仕方ないでしょう。でも数年経って日本語が話せるようになり同じ仕事ができれば同じ給料を払うべき」
2012-03-20 22:34:11サンデル「猪瀬さん」 猪瀬「新しく入ってくる人たちが、自分の国の賃金の2~3倍であれば、日本人の賃金の半分であっても、それはアンフェアではないと思うんですね。つまり、日本に定着してその中で時間が経って、機会をたくさん作ることによって給料を上げていくには時間がかかると思います」
2012-03-20 22:38:30サンデル:では自分が社長だったら、この方法を選ぶという人はどれくらいいるだろうか。正社員と同じ仕事をし、同じ成果を上げてくれる外国人労働者を低い賃金で雇うことができるのであれば、そうするべきだという賛成派の人は?上海ではたしか4人が賛成していた。クァン、このやり方をどう擁護する?
2012-03-20 22:43:52クァン: これがフェアかどうかという観点ではなく、必要性という点からこれに賛成です。心のどこかで私たちは外国人を低賃金で雇うことは、利益を上げるために仕方ないことだと納得しているはずです。
2012-03-20 22:47:17リチャード: 僕の出身地のテキサスでは、メキシコからの不法移民が大勢います。そして彼らを低賃金で雇う、巨大な労働市場があるんです。でも彼らがアメリカ人と違う賃金体系だからといって、差別的で不公平であると必ずしもいえないと思います。
2012-03-20 22:53:00リチャード: たとえば彼らがアメリカで子供を産めば、その子たちはアメリカ市民の権利を持ち、メキシコで生まれるよりも大きなチャンスを得ます。長い目で見れば、その移民労働者にはとてもメリットがあるのです。
2012-03-20 22:56:22サンデル「リョウイチ」 リョウイチ「意見を変えてもいいですか?みんなの議論を聞いて、自分の意見が変わりました。このやり方はフェアで、導入してもいいと思います。移民労働者は他の社員と同じ給料でなくてもいいと思います。同意の上で契約していますし、彼らにもメリットがあるはずです」
2012-03-20 23:06:09ケイ: 外国人社員を使えば安く使えるといって、それは契約だから、彼らが選んだという言い方をしましたけれど、それは足元を見ている契約で、僕はそもそもそれが有効な契約だと思わないし。そういう人たちが増えると、それにとってかわられる失業者も出てくると。
2012-03-20 23:12:37ケイ: もちろん利益を上げて会社を続けていくことは、すごく大事だということは分かっていますけれど、完全にアンフェアで認められるものではないと僕は思っています。
2012-03-20 23:15:36サンデル: では竹中さんにお聞きします。あなたはこのやり方に反対する方に手を挙げました。私にはそれが意外でした。なぜならあなたは基本的には自由市場を支持する経済学者だからです。ですからぜひ教えて欲しいのですが、もし自由市場を信じているのなら、
2012-03-20 23:19:28サンデル: 選択の自由や市場主義がもたらす効率性を信じているのなら、なぜこうしたなぜこうした労働市場の自由化に反対するのでしょう。低い賃金でもかまわないという労働者を雇う自由に、なぜ反対なのですか。
2012-03-20 23:23:31竹中: たとえばですね、いま外国で10ドルで売られているオレンジを日本で10ドルで売り買いすると。これは自由主義で大変結構なことだと思いますね。じゃ同じように10ドルで取引されている労働力を日本に持ってきて、同じように10ドルでやった。日本が50ドルの賃金だった時にどうするか。
2012-03-20 23:29:26竹中: こういう問題ですよね。答えはある意味簡単です。労働力は他のものとは違うということです。そこには生身の人間が住んでいるということであって…私たちは、社会というのは…全て社会の制度ですから。社会の制度は人間がその中で安心して暮らせるためにあるものですから。
2012-03-20 23:33:43竹中: 社会の仕組みとして、それぞれの国家の中でルールを作っているわけですね。最終的には世界中で同じルールになってほしいけれども、私たちはネイションステートをとばしてはいけないから、その中で同一労働・同一条件という私たちの社会のルールに従ってやってくれということに尽きます。
2012-03-20 23:39:41サンデル: もしそれが原則であるなら、派遣労働者についてはどう考えるべきでしょうか。1990年には日本の労働者の5人にひとり1人がいわゆる派遣労働者・非正規雇用だったのに対し、今では3人に1人に増えています。彼らは多くの場合、正社員と同じ待遇や賃金を受けていません。
2012-03-20 23:44:48サンデル: 同じ職場で一緒に働いているにもかかわらずです。この移民のケースと一緒です。今のあなたの原則に従うなら、同じ会社で共に働いている人は、みな同じ賃金・同じ手当てをもらうべきじゃないんですか。であるなら派遣労働者が増えていることは、不公平なことだと思いませんか。
2012-03-20 23:49:09竹中: それはそうは思いません。それは事実と少し違っていると思います。日本の場合は、終身雇用・年功序列ですから、そこの正社員となると「転勤しろ」と言われれば転勤しないといけないし、「残業!」と言われれば残業しなくてはいけない。そういう業態から自由な業態というのがあってしかるべきで
2012-03-20 23:53:24竹中: その自由な業態を選ぶ権利が私たちにあるわけで。私が言ったのは、同一労働・同一賃金じゃなくて、同一労働・同一条件にしなくてはいけないということです。
2012-03-20 23:56:18猪瀬: 竹中さんのおっしゃってるのは正しいんですが、基本的に現状としてはやはり同じ仕事をしていても賃金格差があるというのことは事実ですから。それは認めなければいけない現実ではあると思うんですね。
2012-03-21 00:01:36