NHKスペシャル「NHKと東日本大震災・・より多くの命を守るために」 書き起こし
- toshihiro36
- 11258
- 1
- 0
- 2
<ナレーション> 避難所で取材にあたっていたアナウンサーも、放送で生活情報を伝えることの難しさを感じていました。地震発生からしばらくの間は、停電のためほとんどの避難所でテレビを見ることができませんでした。
2012-03-24 08:55:38仙台局・和田: 青森から福島までの情報が流れるというようなことでしたので、ずっと見ていなくてはならない。はたして、ずっと見ている時間がみなさんにあったかどうか。家の後片付けですとかそういった…またお仕事に行かれる方もいらっしゃったので。
2012-03-24 09:02:32<ナレーション> 最大で45万人を超えた避難者に向けて、どう必要な情報を伝えたのか。NHKが力を入れたのがインターネットです。ホームページに特設コーナーを設け、地域ごとに最新の生活情報を取り出せるようにしました。今回、災害時に初めて活用したのがツイッターです。
2012-03-24 09:07:17<ナレーション> 140文字以内の短い文章で必要な情報を伝えることができます。NHKでは広報や報道の各部署が被災地に向けて、さまざまな情報を発信しました。その一つ、生活情報部のツイッターを担当した記者の山下和彦。NHKが各地で取材した情報を多い時で1日200件以上発信しました。
2012-03-24 09:12:56<ナレーション> 生活情報部のツイッターを登録(フォロー)した人は、新しい情報が欲しい時に携帯電話などでいつでも受け取ることができます。利用者は急増、最初の1週間1日1万人のペースで増え続け11万人を超えています。
2012-03-24 09:16:40山下: もう瞬間瞬間じっとしていなければわからないということではないんですね。あとから確認することができる。これは放送メディアにはない大きな特徴ではないかなと思います。
2012-03-24 09:19:13<ナレーション> ツイッターで発信する情報を、広くリスナーから集めていたラジオ局があります。ラジオ福島です。震災発生直後から、情報提供を呼びかけました。情報の信頼性を高めるため、相手が特定しやすい電子メールで送ってもらいました。集まった情報は、多い時で1日1000件以上。
2012-03-24 09:23:31【実際の放送】アナウンサー: みなさんからのメッセージをお届けしながらお伝えしています。郡山市逢瀬町勝音寺副住職さまからいただきました。「境内の井戸水をお使い下さい」 「うねめ通り沿いにあるシミズストアが営業しています。お店の方が頑張ってお弁当やお惣菜を作って下さってます」
2012-03-24 09:31:12<ナレーション> ラジオとツイッター、その相乗効果で支援の輪が広がっていきました。原発周辺から避難していた人たちの元には、ラジオを聴いた人から生活に必要な品々が届きました。炊き出しを求めていた避難所には、ツイッターを見た洋食店の店主が2日後ボランティアで駆けつけました。
2012-03-24 09:35:30ラジオ福島・小野: 一般のみなさんは私どものツイッターをプラットホームととらえて、情報を見たり、自分で書き込んだり…そういう風な形で、うまく使っていただけたんだろうと。
2012-03-24 09:38:21【会議中の発言】 東日本大震災で被災者のために、十分必要な情報が届いていなかったというような教訓というか反省点を出発点にしています。 ここで取材から製作、放送まですべて行って、ネットへの発信だとかデータ放送も含めて、すべてこちらで完結させる…
2012-03-24 09:45:38<ナレーション> 目指すのは放送とインターネットのさらなる連携です。新しい仕組みでは、まず生活情報を集めるサーバーを作ります。それぞれのメディアの特徴に合わせて、必要な情報が必要な人に届くように発信します。
2012-03-24 09:51:41編成部・副部長: お年寄りの方もいらっしゃいますし、ネットを使い慣れた方もいらっしゃるでしょう。それぞれの方に応じた情報の提供のやり方をやっていきたい。多角的に情報を発信していかないと、情報を必要としている人たちになかなか届いていないということで、あらゆるチャンネルを利用したい。
2012-03-24 09:57:41スタジオに戻ります
森本: 地震や津波を乗り越えても、待っているのは不自由な避難先での暮らし。そうした人たちにとって、生活情報はまさに命を支えるため、生きていくための情報です。そう心に刻んで、新たな伝え方を模索していきます。
2012-03-24 10:06:36首藤: 津波、原発事故そして被災者のための情報。今日お伝えしてきた課題と新たな取り組みは、これですべてを網羅したとは考えていません。みなさんが欲しかった情報、伝えて欲しかったこと、みなさんの声をぜひこれからもお聴かせ下さい。わたくしたち職員一同耳を傾けてまいります。
2012-03-24 10:11:42森本: 決して起きて欲しくない大災害。しかし、いざその時が来た場合には、必ずみなさんにNHKにチャンネルを合わせていただきたいと思っています。すべては1人でも多くの命を守るために。私たちはこれからも改善に取り組んでいきます。
2012-03-24 10:16:14