低線量被曝の影響ってどうして良く分からないのか?に関する対話

低線量被曝による健康への影響は「良く分からない」と言われますが、その意味は「何が起こるかさっぱりわからん」ではなくて「影響が小さくてはっきり影響が見えない」という意味です。そのツイをしたときの皆さんからのレスポンスが興味深かったのでまとめておきます。 特にhindu_kush420さんには長々とお付き合いいただきました。意見が交わせたことに感謝いたします。
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↑誤用は続く(以下、僕のコメントの『母数』は『サンプルの数』と置き換えてください で、僕は「母集団を広くくくるのはかえって交絡要因を増やします」と主張してます。最後でようやく『hindu_kushさんがいう母数をあげる』が『大規模調査』の話をしているのに気づきました。・・・噛み合ってないw)
http://digitalword.seesaa.net/article/25493066.html
とかhttp://ja.wikipedia.org/wiki/母集団あたりが参考になるかと

統計的に有意とはなんぞや、はhttp://togetter.com/li/133802のまとめとか
@Inoueianさんのhttp://d.hatena.ne.jp/hundun2/20111214/1323934379とか@tonkyo_hanageさんのhttp://blog.livedoor.jp/tonkyo_hanage/archives/5682806.htmlのブログとかが分かりやすいかと

僕の語句使用の不適切さが招いた結果です。お見苦しいところです。

白黒ダジャレうさぎ @DonnieTheDutch

では例えばの話ですが「人口の多い地域に薄く広く放射性物質を拡散させる」ようなことがもしあれば,低線量放射線の健康への影響で今まで知られていなかったものが新たに発見される,というような可能性はありますか? @Yuhki_Nakatake @minako_genki

2012-03-25 09:51:23
naka-take @Yuhki_Nakatake

このツイ見逃してました。新知見を得るための王道は「可能な限り厳密な比較対照を、充分な数用意する」です。http://t.co/urlj0hGJの方のブログは丁寧な解説です。職業被曝と原子力事故の性質の違いも分かるかと @hindu_kush420 @minako_genki

2012-03-26 00:42:37
naka-take @Yuhki_Nakatake

@hindu_kush420 @minako_genki 母数を増やすのは差を見い出すのには良いのですが、交絡要因も増えては統計解析がしにくくなります。対照を厳密にとるのは、交絡要因を減らすためで、母数を増やすのは主に測定誤差を減らすためです。独立した視点ですので御留意ください

2012-03-26 00:50:55
白黒ダジャレうさぎ @DonnieTheDutch

部屋の中の医療被曝よりも,「福島」とか「関東全域」の方が母数が大きくないですか? RT @Yuhki_Nakatake: そうです。例えば、医療被曝や放射線従事者の健康被害の追跡調査は母数が大きいので、原子力事故より

2012-03-25 12:49:58
naka-take @Yuhki_Nakatake

母数だけで見ると、そっちの方が多いですね。今回の事故で大規模調査がされているのはそのためです。でも、今度は交絡要因が大きくなるので、解析も難しくなるんです。ちと分かりにくい単語なんですけど、生活習慣の違いとか遺伝的な要因とか職業の違いとか【続】 @hindu_kush420

2012-03-25 13:34:37
naka-take @Yuhki_Nakatake

解析する集団の「くくり」を大きくすれば、色んな『放射線以外の差』を「まとめちゃう」ので、誤差が大きくなります。そして、関東なんかは被曝量が小さすぎるので、誤差に埋もれてしまいそうです。比較対照をどうとるのか、というのも大事です。 @hindu_kush420

2012-03-25 13:38:40

ここで同じ単語の「誤差」と表記するのはよくないと反省。なんていうんだろ、背景因子と表現すべきか。。。でもなぁ。。。馴染み無いしなぁ・・・測定誤差と背景因子の区別が頭の中でちゃんと付いていないと伝わらない文章なのが残念無念。

そこらへんの解説はmidoさん御提示のリンク
http://www.rfc.jp/Special/f_igaku/06_Dr.Sohue.pdfが分かりやすくって、スライド8のChanceが測定誤差、Biasが背景因子、Confoundingが交絡因子です。

一言では『誤差』とか『ぶれ』と表現されてしまうものですが、それぞれ別の視点です。

白黒ダジャレうさぎ @DonnieTheDutch

でも母数が大きくなると似たような人も絶対的に多くなりますよね.生活習慣などの「違い」による誤差,というのは母数を大きくするとかなり軽減すると思いますが.これは私も全く同じ見解です→ RT @Yuhki_Nakatake 今回の事故で大規模調査がされているのはそのため

2012-03-25 13:42:34
naka-take @Yuhki_Nakatake

そうですね。似た人も絶対数として多くなりますし、同一集団内の誤差は減ります。ですが、比較する集団間では減るとは言えません。例えば福島県と秋田県を比べると、元の発ガン率が異なるのが明瞭に見えてきます。比較する集団をどうとるのか、というのが大事ですよね。@hindu_kush420

2012-03-25 13:48:44

↑ここがポイントです。
低線量被曝の解析を計画しても、サンプルの数がたくさん必要となるので、均一な集団としてくくるのが難しくなってきます。数万人の均一な集団ってのを準備するのが大変です。

例えば「10mSvの被曝があった集団が、被曝の無かった集団と比べてがんになる傾向が増えたのかどうかを調べたい」と考えた場合、まず10mSvを受けた集団を見つけ出します。測定誤差を考えると各年齢層で数万~数十万人の集団が得られることが理想です。そして、その集団と「放射線の影響以外がそっくりな対照集団」を見つけます。

もし、生活習慣などの他の要因が大きく違っていたら比較できません。放射線によってがんになる確率が1%変わるかな?という仮定で調査をしようとしているのに、塩分摂取量の違いで発ガン率に5%の違いがあるのであれば、二つの集団を比べたときに出てくる差は「塩分摂取量と放射線の影響が合算された」差です。これは「放射線の影響」とは言えないので、データとして弱くなってしまいます。

必要なサンプルの数が大きくなればなるほど、広い地域からの検査データや、年齢層をまたいだサンプルが必要になってしまいます。そうなると、放射線以外の背景因子や交絡要因が増えてしまうので、解析は難しくなります。

白黒ダジャレうさぎ @DonnieTheDutch

発生率そのものではなくて,「発生率の変化」を調べるのが目的の場合は,集団間の(もともとの)差異は決定的な障害とはならないと思いますが RT @Yuhki_Nakatake 例えば福島県と秋田県を比べると、元の発ガン率が異なるのが明瞭に見えてきます。比較する集団をどうとるのか

2012-03-25 13:52:09
naka-take @Yuhki_Nakatake

同じ集団(例えば福島県)での変化は集団間の差は無視できますが、そうなると、震災によるインフラの変化、避難生活の有無、原子力事故に対する不安ストレス、などが交絡要因として考えられます。県内で被曝量の多いところと少ないところを比較するとかはされるでしょう@hindu_kush420

2012-03-25 13:58:32
白黒ダジャレうさぎ @DonnieTheDutch

「交絡要因」による誤差は「母集団を大きくとること」で軽減する,という話からスタートしているのでちょっと堂々巡りですね.ともあれありがとうございました RT @Yuhki_Nakatake 震災によるインフラの変化、避難生活の有無、原子力事故に対する不安ストレス、などが交絡要因

2012-03-25 14:09:56
naka-take @Yuhki_Nakatake

あ、言葉足らず恐縮です。母数を上げただけでは片手落ちです。チェルノブイリなんて今回の事故よりも多くの母数が確保されていましたが、結果は現状の通りです。厳密な比較対照をとって解析するのも母数と同様に重要です。どれをどのように解析するのか、に注目ですね @hindu_kush420

2012-03-25 16:13:25
白黒ダジャレうさぎ @DonnieTheDutch

@Yuhki_Nakatake チェルノブイリは都合に合わせて参考になったりならなかったりするんですね。東欧の田舎と人口密度が世界有数の東日本とではかなり被曝者の数と質は違うと思いますが

2012-03-25 17:15:45
naka-take @Yuhki_Nakatake

チェルノで『低線量被曝の影響』がはっきり分かってたら、ここまで紛糾しないのでは?世界中の研究者が頑張って解析したのですが、低線量域では「影響が他の交絡要因の影響にまぎれて良く分からん」と言われてますhttp://t.co/viBWXgPT @hindu_kush420

2012-03-25 17:51:00
naka-take @Yuhki_Nakatake

あと、被曝が想定される人数はチェルノブイリよりも少ないのでは?http://t.co/lSaGaijWの最後のページでもご参照ください。チェルノの放射能はヨーロッパの広域にまで及ぶので5億人が被曝しました(先のUNSEAR2008のP56) @hindu_kush420

2012-03-25 18:05:26
白黒ダジャレうさぎ @DonnieTheDutch

@Yuhki_Nakatake http://t.co/rHc3m1UB の Fig.9C はチェルノブイリは"3年間",福島は"3か月"の「人数-外部被曝」グラフですね.なので3年たつと福島はこの10倍程度の被曝規模になると予想するのは自然なことですね.

2012-03-25 18:30:06
naka-take @Yuhki_Nakatake

いえ、ものすごく不自然な考えです。隠れた仮定として『3年の間全く放射線量が減少しない』としています。それはおかしな仮定ですよね。それにFig.9Cは3ヶ月で避難した場合です。同一のスパンで考えるのであれば28PのTableが「避難なしの初年度」です。@hindu_kush420

2012-03-25 22:02:48
naka-take @Yuhki_Nakatake

しかも、この28PのTableは、セシウム137が1MBq/m3あった地域の1年間の外部被曝量を、チェルノブイリの方を13mSv、福島の方を33mSvとして計算しています。そういった防護的な計算ですら、これくらいの見積もりになってます。@hindu_kush420

2012-03-25 22:10:18
白黒ダジャレうさぎ @DonnieTheDutch

「チェルノブイリは被曝が福島より酷い」のならなおさら「福島で低線量の影響がはっきりする可能性がある」のではないですか? RT @Yuhki_Nakatake: チェルノで『低線量被曝の影響』がはっきり分かってたら、ここまで紛糾しない

2012-03-25 18:32:38
naka-take @Yuhki_Nakatake

その理屈はちょっと良く分かりませんが、福島で低線量の影響がはっきりする可能性はあります。チェルノブイリのときよりも、検査体制が整っていますし、チェルノブイリでの解析で挙げられた問題点も改善されると期待できるからです。 @hindu_kush420

2012-03-25 22:12:40
白黒ダジャレうさぎ @DonnieTheDutch

五月蝿いことを言えば「同じ年月で浴びた放射線量がチェルノブイリ>福島」の時のみ「チェルノブイリより福島の被害の方が小さい」との推論に妥当性が生じるんじゃないでしょうか. @Yuhki_Nakatake

2012-03-25 20:23:12
naka-take @Yuhki_Nakatake

同じ年月で比較するのはとても大事です。いまだに事故後5年経って発表されたチェルノの避難区域を事故後1年の福島に当てはめて「避難しろ」とかの意見には辟易です。事故直後のチェルノの30Km県内なんて阿鼻叫喚ですしhttp://t.co/5A5BGD5v @hindu_kush420

2012-03-25 22:22:20
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