NHK・クローズアップ現代「自分の人生、どこまで記録?~広がる“ライフログ”~」 書き起こし・ほぼ完全版 #nhk

4月9日に放送されたものを文字起こししています。 進行:国谷裕子アナ ゲスト:糸井重里さん
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とし @toshihiro36

<ナレーション> 日々時間に追われる中で、少しでも自分を見つめ直したいという人々の思いを背景に、「ライフログ」は急速に広がっているのです。  

2012-04-10 15:22:01
とし @toshihiro36

<ナレーション> 「ライフログ」の魅力にのめり込み、生活のスタイルが一変してしまったという人もます。ソフトウェアの開発を手がける、美崎薫さん(46)です。美崎さんは自分の人生46年分の記録を丸ごとデジタルデータとして保存しています。さらに日々の生活も仔細に記録します。

2012-04-10 15:27:57
とし @toshihiro36

<ナレーション> この日も12時過ぎ、クリーナーをかけたことを記録。洗濯機を回したことも記録。食事の時間やメニューも記録。他にも何を買い、何を読んだかなど記録する行動は2600種類以上にもなるといいます。美崎さんがここまで記録するのは、究極の人生の効率化を目指しているからです。

2012-04-10 15:32:20
とし @toshihiro36

<ナレーション> 例えば、ついつい忘れがちな歯ブラシの交換。コンピュータは美崎さんが日々蓄積する膨大な「ライフログ」から、歯ブラシ交換のログを字度的に抽出。その間隔を解析します。美崎さんは、ほぼ一月ごとに歯ブラシを買い換えていました。

2012-04-10 15:36:36
とし @toshihiro36

<ナレーション>そこでその時期が来ると、コンピュータが先回りをして予定に入れてくれます。食事のタイミングから足の爪を切る時期まで、多い日にはその指示は1日100件を超えます。過去の記録から未来を予測して行動を促してくれる、いわば秘書ができたことでストレスが少なくなったといいます。

2012-04-10 15:41:19
とし @toshihiro36

美崎: 日常生活って雑事の連続じゃないですか。雑事はほとんど助けてくれるので…雑事じゃないことをじっくり考えることができるようになって、時間ができた。 生きるのがすごい楽だなと思いますね。忘れることがなくなっているから・・・

2012-04-10 15:45:04
とし @toshihiro36

<ナレーション> 人生の効率化を目指し、46年にも及ぶ自分の記録と向き合い続ける美崎さん。ところが最近、不思議な感覚に襲われるようになったといいます。遠い過去の出来事が、まるで現在のことのように思えるというのです。

2012-04-10 15:48:37
とし @toshihiro36

美崎: こうやっていつも見ていると、全然懐かしくなくなっちゃうんですよ。見慣れているので、懐かしいと思わないんですよ。いつも見ているので…こうだったよねとか…昔の教科書ってカラーじゃなかったんだとか、分析的に見ることが増えてしまって、懐かしくないと感じることの方が多いですね。

2012-04-10 15:53:04
とし @toshihiro36

<ナレーション> 人生のあらゆる出来事を記録にとどめる「ライフログ」。生活のあり方だけでなく、人々の価値観をも変え始めています。

2012-04-10 15:59:32

スタジオに戻ります

とし @toshihiro36

国谷: 今夜は糸井重里さんにお越しいただいています。 人によってさまざまですけれども…食べたものをずうっと記録している方、あるいは時間の使い方、あるいは丸ごとっていう方もいらっしゃいましたが、どうご覧になりました?

2012-04-10 16:03:19
とし @toshihiro36

糸井: 今の方なんかは、とても極端な例だと思いますけれども。彼は一つの創作行為をしているっていう感じでしたから、ちょっと別格だなあと思いましたけど。記録をつけてるという人は結構増えてて、管理したいという気持ちがあるのはよくわかるんですけど。管理されたいという気持ちもあるのかな。

2012-04-10 16:08:31
とし @toshihiro36

国谷: ご自身は何かつけてらっしゃいますか?

2012-04-10 16:09:22
とし @toshihiro36

糸井: 僕は体重だけ。まさしく「管理されたい」なんですけど。体重が上がったり下がったり、食べ物でしますから。それで気をつけるのにいいなあと思って、体重は(記録)してましね。

2012-04-10 16:12:07
とし @toshihiro36

国谷: ただ、あれって機械の方から「あなた、ちょっとこの人と疎遠になってますよ」とか「余暇の2時間は多すぎましたね」とか言われる。そういう感覚っていうのは?

2012-04-10 16:14:37
とし @toshihiro36

糸井: 秘書の大衆化なんだと思うんですけど。でも、そういうのって多分飽きると思うんですけどね、僕はね。誰かに必要とされているからこそ、自分がもっとこうするべきだということを言って欲しい。「俺って必要とされてるんだ」と感じるには、いいんじゃないかと思いますけど。

2012-04-10 16:19:56
とし @toshihiro36

糸井: ゲームじゃないかなあ。そういうゲームが今はやってるんじゃないかと、僕は見てるんですけどね。

2012-04-10 16:22:13
とし @toshihiro36

国谷: おもしろいですよね、こういうデジタル機器を使った記録というのは。本当にその時その時にどんどん記録していく。日記とはまたちょっと距離感があって…今の「ライフログ」のような記録と…どういう感覚に見えますか?

2012-04-10 16:26:48
とし @toshihiro36

糸井: 僕は日記という言葉には昔のイメージが強くて…どこかに秘密を吐露するみたいな要素が日記にはあったような気がするんですよ。誰にも言えない秘密の日記みたいな。だけど「ライフログ」っていうと、誰が見ても同じだよねっていう。

2012-04-10 16:31:29
とし @toshihiro36

糸井: 事実を重ねていったら、何かが結果見えてきたみたいな。自分で意識しない自分を見たいんだろうな。点で絵を描いていくみたいに。そういう風に見えますね、

2012-04-10 16:33:59
とし @toshihiro36

国谷: でもなぜ今、多くの人が点描みたいな…自分のとってきた行動を記録しようとしているのか。何が人々をそうさせているのか。ゲームを楽しみたいという側面が、もしかしたらあるかもしれませんけど。

2012-04-10 16:37:17
とし @toshihiro36

糸井: どこかのところで、やっぱり自分がいる価値のある人間なのかということの確認は、みんながしたいんだと思うんですよ。「自己肯定感」という言い方をよくしますけれども…お母さんが大事にしている子供は「自己肯定感」が育つっていいますよね。

2012-04-10 16:41:20
とし @toshihiro36

糸井: それと同じように「自分が誰かに必要とせれている」というのは、視線が送られることで感じられると思うんですね。誰も視線を送らなくても、自分が自分への視線を送っていることで…記録していくと「俺がいるんだな」っていう感じはわかるのかなと僕は見ているんですけど。

2012-04-10 16:46:12
とし @toshihiro36

国谷: 自分を意識する時間が出てくるということですか?

2012-04-10 16:47:15
とし @toshihiro36

糸井: そうですよね。自分を見ている自分がいるということで…いていいんだな、俺は見ているぞって自分に言ってあげられるじゃないですか。そういうことがあるのかなと見てますが。どうも自分(私)はそういう人間じゃないんで。実を言うとピンときてないんですけど。

2012-04-10 16:52:23