美術批評の退潮と緊張感の欠落

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shnchr OSAKI @shnchrOSAKI

『REAR』誌の最新号が手元に届いた。私自身も寄稿している点は割り引いて考えていただけばよいが、このところ同誌は内容が充実しており、最新号も「批評家はどこにいるのか」という特集、特に若手美術批評家三人の鼎談がなかな面白い。いくつか追うところがあった。

2012-04-08 20:50:12
shnchr OSAKI @shnchrOSAKI

今日の美術批評の苦境については鼎談の中でも論じられているが、やはり雑誌や新聞といった実体を伴うメディアにおける美術批評の退潮が大きく関与しているのではなかろうか。匿名性と更新可能性を本質としたインターネット上の言説は批評という営みになじまないように感じられるのだ。

2012-04-08 21:06:49
shnchr OSAKI @shnchrOSAKI

鼎談の中で取り上げられる海外の批評家がグリーンバーグはともかく、いまだにフリードやスタインバーグ、クラウスである点も気になる。半世紀前とは言わないが、クラウスとボワの「アンフォルム」にしても90年代の仕事である。単に受容のタイム・ラグと割り切ってしまってよいのだろうか。

2012-04-08 21:17:22
shnchr OSAKI @shnchrOSAKI

鼎談の中でフリードやクラウスに比べてブリアーやビショップといった最近の論者の批評の精度が低いと述べられている。私は『表象』誌に訳出された論文を読んだ程度の知識しかないが、おおむね同意する。ポストモダン以降の相対主義の中で美術批評は緊張感を失った気がする。

2012-04-08 21:28:00
shnchr OSAKI @shnchrOSAKI

緊張感の欠落は批評と実践が接点を失ったことに起因するかもしれない。50年代のNY、60年代の東京には批評家と作家が対面して議論する環境があった。しかし今日両者は別々の場にいる。さらにいえば、私の印象では最近、ギャラリーを回ってほかの美術館の学芸員と会うこともほとんどない。

2012-04-08 21:37:27