NHK・クローズアップ現代「広がる放射能“独自基準”~食の安全は得られるか~」 書き起こし・ほぼ完全版 #nhk
- toshihiro36
- 3470
- 0
- 1
- 1
市場責任者:一番問題なのは消費者がどこまで放射能というものを気にしていただけているのか。消費者の方々に伝えていいものか悪いものかというところが、いま非常に問題になってるということでございます。
2012-04-11 00:03:51<ナレーション> 取り組みには理解を示してくれましたが、消費者に伝えることについては慎重でした。消費者の信頼を取り戻す農協の戦略は、再検討を迫られました。
2012-04-11 00:07:13農協・参事:今の状況を勘案しますと必ずしも全ての数字を消費者に伝えることが、本当に消費者にとって不安にならないのか懸念もございます。数字をどういう形で提示していったらいいかについては、ケースバイケースで判断しながら対処しなければならない。
2012-04-11 00:11:46<ナレーション> 実際に放射能検査の結果を商品に表示したことで、消費者に敬遠されたケースもあります。ハムやソーセージを作る、岩手県の食肉加工会社です。素材は100%地元産。手作りで添加物は一切使っていません。こだわりの品質で全国に顧客を広げてきました。
2012-04-11 00:17:08<ナレーション> 社長の穴田光宏さん。去年9月、仕入れた牛肉から相次いで放射性セシウムが検出されました。検出された数値は、1kgあたり25~90ベクレル。いずれも当時の国の基準500ベクレルを下回り、県の検査でも出荷を認められていました。
2012-04-11 00:21:37穴田:セシウムが微量ではあるけれども含まれている牛が来てしまった時点で、普通(の会社)であれば当然加工して販売するわけですけども、それを販売していいのだろうかというところが最初の悩みですよね。
2012-04-11 00:30:19<ナレーション> 悩んだ末に最も低い25ベクレルが検出された牛肉を使い、ハンバーグを作ることにしました。作ったハンバーグは念のため、検査機関に分析を依頼しました。検出された放射性セシウムは1kgあたり5.8ベクレル。
2012-04-11 00:34:12<ナレーション> ある試算では、毎日30個づつ1年間食べ続けて、食品からの被曝限度に達する数字です。さらに検査の結果をパッケージに表示することにしました。
2012-04-11 00:37:07穴田:お客さんたちはうちを信用してくれて、信頼してくれて買っているので。そこでもしセシウムの表示をしないで販売をした場合には、やっぱり信用・信頼がなくなってしまうのかなあと。
2012-04-11 06:33:37<ナレーション> しかし消費者の反応は冷ややかでした。1月に発売した400個のうち4割が売れ残り、賞味期限が切れる来月初めには廃棄処分にしなければなりません。今もあわせて800kg、ハンバーグにして4000個分の牛肉が冷凍庫に保管されたままです。
2012-04-11 06:40:04穴田:セシウムが入ってしまっている食品を作らざるを得ない(うちも含めて)そういう生産者がいて、それをどうするのかというのは消費者の方に考えてもらいたい。それをどうするかという議論が抜けてしまうと、やっぱり表示をしないまま世の中に出回ってしまうというこにつながるんだろうなと。
2012-04-11 06:46:03スタジオに戻ります
国谷:安斎さん、検査結果を正直に「6ベクレル」と表示して売り出したところ、消費者からは非常に厳しい反応が出てきたと。今のリポート、どうご覧になられました?
2012-04-11 06:51:42安斎:データを公表することが信頼回復の道だと思って正直に発表したところ、そういう結果ではなかったと。基準より十分低い値で…1kgあたり6ベクレルというのは放射線防護学的に見ると、放射線の影響を懸念するレベルからははるかに遠いんですけれども。
2012-04-11 06:59:11安斎:それでもゼロではないという風に受け取った消費者が多かったせいか、そういうことになったわけですね。正直にデータを発表すると生産者にとって不利になるというのは、社会的な混乱の一つの象徴でしょうね。
2012-04-11 07:52:32国谷:消費者は正直自分の食べるもののデータを知りたいと思う。しかし公表することによって生産者が損を受けるとなると、公表しないというトレンドになると。それはまた消費者の不利益になりますよね。
2012-04-11 07:57:28安斎:そうですね。やはり現代社会の特徴は情報を公表する・公開するということですから。データを公表することが悪いはずはないわけで、公表されたデータをどう読み解くか…放射能に関する知識をもとにして意味をきちっと理解して、
2012-04-11 08:02:52国谷:いま「混乱した状態にある」とおっしゃったんですけれども、混乱した状態の中でヘタをすれば応援したいと思っている被災地の生産者の人たちを追い詰める結果にもなりかねない。こういう悪循環的なものを防いでいくには、どういうプロセスが必要だとお考えですか?
2012-04-11 08:08:46安斎:このごろよく講演に呼ばれて…消費者の講演会にも呼ばれるんですけれども。やはり精度のいい機械で測ったら、ある値が出てきたと。基準より低いんだけれどもある値として出たということで、いきなり生産者との関係を断ち切ってしまったりというような事例を体験して悲しい思いをしている。
2012-04-11 08:13:20安斎:やはりこの場合、生産者・消費者・流通業者それから廃棄業者の間で合意形成するために、共通の意思形成をするような学習の機会。社会的な放射能リテラシーの内容というのはそういうことだと思うんですが、それをやっていくことが必要でしょうね。
2012-04-11 08:18:45国谷:しかし生産者と直接向き合っているのは流通だったり小売だったりするわけですが、その間での合意形成というのはどうあるべきですか?
2012-04-11 08:21:12安斎:結局のところ消費者としては被曝ゼロが一番好ましいということで、あくなきゼロを追求すると。そして少しでも放射能があるものは買わないという消費行動。これはこれなりに消費行動の自由ですね。しかし、そういう行動をみんながとれば、被災地の生産者が苦境に立たされるのも事実なので、
2012-04-11 08:25:59