総合得点や偏差値に一喜一憂しわが子を叱り飛ばすなかれ! by福嶋隆史@ふくしま国語塾

ほめることよりも叱ることよりも大切なことがある。それは、事実をとらえることだ。
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福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

それにしても、何度も書いてきたことだが。どうして親というのは、子どものテストの総合得点と偏差値しか見ないんだろうな。そして、総合得点と偏差値だけを見て、一喜一憂し、ほめたり叱ったり。それがいかに愚鈍で空虚な行為であるか、よく考えてみろ!と、言いたい。

2012-04-19 22:32:06
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

国語読解問題で、接続語を空所に入れる問題がよくあるよね。これ、本来は、与えられた選択肢を見なくても空所を特定できなくてはならない。接続語とは前後関係を示す言葉だから、前後がどのような関係か(同等関係、対比関係、因果関係等)さえ分かれば、あとは見当がつく。そこで初めて選択肢を見る。

2012-04-19 22:35:43
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

空所の関係性を見抜き、「これは対比関係だ、じゃあ『しかし』『ところが』あたりだよね」と見当をつける。そこで初めて、選択肢を見る。この作業を繰り返すことで、選択肢(=罠)にひっかかる確率が減っていく。ただし、これは慣れないうちは時間がかかる。

2012-04-19 22:37:23
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

私はすべての生徒に、たとえ時間がかかってもそのようにするのが理想なのだ、やってみろ、と指導している。選択肢を手で隠し、自分で考え、それから選べと。しかし、実際に他塾のテスト等の場でそれを実践した子というのは、なかなかいない。ところが、ある子がそれを実践していた形跡を、今発見した。

2012-04-19 22:41:21
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

空所脇には「しかし」と書いてある。一方、選択肢は「ところが」だ。対比・逆接の接続語は、ほかには選択肢に入っていない。ということは、この子はまず自分で「この空所は『しかし』かな」と考え、それから選択肢を見たということだ。そしてそれが正解だった。

2012-04-19 22:42:57
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

ただし、多少時間がかかっただろう。案の定、時間切れになって記述解答が文の途中で切れている箇所があった。記述解答の配点は高い。一方、接続語挿入問題の配点は低い。結果的に、得点は大きく下がった。この子は、価値ある挑戦をした結果、総合点を減じられた。

2012-04-19 22:46:21
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

総合得点だけを見て一喜一憂する親は、この子がテスト中、教師の指示を忠実に守って選択肢を見ずに自力で論理的思考力を働かせ答えを導き出したという、称えるべき事実に、おそらく気づいていない。そして子どもを叱り飛ばす。あり得ない愚行だ。

2012-04-19 22:48:22
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

こう書くと親たちはこう反論する。「そんな専門的な部分にまで、親は気づけませんよ」。それはそうだ。しかし、だったら、なぜ総合得点だけで子どもを叱り飛ばす? 根拠不十分じゃないか。子どもの努力の有無、工夫の有無、実力の有無を判定する根拠を欠いているのになぜ叱り飛ばす? やはり愚鈍だ。

2012-04-19 22:49:57
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

親は専門性がない。それは分かる。だったら、選択肢は2つだ。1つは、専門的能力を自分自身に培い、その上で根拠を持って叱ること。もう1つは、そのような能力がない以上下手に叱ることもほめることもできないと諦め、大きな気持ちで身構え、子どもにゆったりと向き合うこと。

2012-04-19 22:51:46
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

私の塾にこれまで通ってきた生徒の親の中には、前者もいれば、後者もいた。前者は前者で、尊敬に値する。なにしろ、日能研のテストをすべて親自身が自分で解き、分析し、その上で家庭学習をサポートしていたのだから。しかし一方、後者も後者で尊敬に値する。親とは本来、後者の存在であれば十分だ。

2012-04-19 22:53:55
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

一番手に負えない厄介な親というのは、教えることもできず、子どもの能力・努力・工夫の有無を具体的に把握することもできないにもかかわらず、総合得点と偏差値の動向だけを見て、叱ったりほめたりする親だ。むろん、ほめるのはまだいい。許されないのは、そういった状態なのに叱り飛ばすことだ。

2012-04-19 22:56:06
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

そして、残念なことに、総合点と偏差値だけを見て子どもを叱り飛ばす親というのは、基本的に、そのほとんどが、「手に負えない厄介なタイプ」なのだ。そういう親の子は、「厳しい」親のもとで鍛錬されていることをありがたく思うようにして、乗り切っていくしかない。がんばれ、子ども。

2012-04-19 22:58:00
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

ほめることが大切なのではない。叱ることが大切なのでもない。大切なのは、「見つめる」ことだ。つまり、事実をとらえるということだ。とらえた事実がほめるに値するのなら、ほめればいい。叱るに値するのなら、叱ればいい。事実をとらえもせず、ほめたり叱ったりしてはいけない。

2012-04-19 23:04:24
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

テストを受けている場面でのわが子の姿を思い描き、そのときのわが子がどんな思考回路をたどったのかを、テストの問題用紙から見いだそうと心がけているような親のもとで育つ子どもは、幸せ者だ。

2012-04-19 23:17:02
福嶋隆史@ふくしま国語塾 @FukushimaKokugo

ここもぜひ読んで下さい。「点数」について: http://t.co/TrRybXH8

2012-04-19 23:26:38