ハンナ・アレント『人間の条件』まとめ

立花ゼミで議論した,ハンナ・アレント『人間の条件』のまとめです.
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@anarchist_kon

水曜日は,政治企画班で,ボクがハンナ・アレントの『人間の条件』を発表しました.今の日本の政治を考える上で,アレントのようなラディカルな思想は必ず必要になるので,敢えてこのタイミングで読むのです.

2010-06-04 01:48:24
@anarchist_kon

アレントの彼女特有の政治概念について語りたいと思います.アレントは(思考を除いた)人間の活動力を大きく,労働labor,仕事work,活動actionの3つで定義します.

2010-06-04 01:49:44
@anarchist_kon

労働laborは肉体の生物学的過程,仕事workは人間の非自然性に対応する.「人工世界」を作り出す力とも言えるかな.活動actionは,人と人との間に行われる唯一の力.

2010-06-04 01:50:38
@anarchist_kon

人「間」の条件,つまり人間の多数性という概念がここで出てきます.「多数性こそ,全政治生活の条件であり,その必要条件であるばかりか,最大の条件である.」(ちくま,20頁)

2010-06-04 01:51:29
@anarchist_kon

そして,そのような人間の多数性に基づいたものが,本来的な意味での政治なのだ,という議論をするわけです.

2010-06-04 01:52:08
@anarchist_kon

政治の語源はポリス,ギリシアの共同体です.アレントは,ギリシアのポリスを政治のモデルにしています.ポリスの政治というのは,「共同体にとって何が善かを皆で話し合う」というタイプの政治で,これが人間の多数性に基づいている,と.

2010-06-04 01:52:59
@anarchist_kon

ここで,公的領域/私的領域の話が出てきます.政治というのは公的領域にあるものです.公的領域は人間の多数性ベースでできています.私的領域はこれと対立する概念で,ギリシアでは家族を単位としています.

2010-06-04 01:55:09
@anarchist_kon

で,アレントの言う,政治というのは,今の日本の利益配分政党型の政治とは全くことなるわけです.これがラディカルなのです.ポリスのように,「善とは何か」を共同で話し合う場が保たれていること,それが政治なのです.

2010-06-04 01:57:17
@anarchist_kon

その公的領域においては,市民は,私的領域とは別に,人間の多数性に基づいて「善」とは何かということを議論しなければならない.

2010-06-04 01:58:39
@anarchist_kon

ここで面白いのは,「これが善だ」と排他的に言ってしまった瞬間,それは公的領域ではなくなる,つまり善じゃなくなるということです.公的領域では常に,人間の多数性に開かれていないといけない.これが,伝統的な左翼批判にもなっていますね.

2010-06-04 01:59:02
@anarchist_kon

鳩山さんの「新しい公共性」は,国民が公共性を持たなければならない,ということでしょうから,この議論でいうと,国民一人一人が,市民的に私の利害関係とは区別された公意識を持たなくてはならないということになってしまう.

2010-06-04 02:00:52
@anarchist_kon

たしかにユートピア的でしょうが,政治を考える一つのツールにはなるわけです.国民全員は無理でも,社会ベースのNPOでは,アレント的政治が可能かもしれない.その可能性に期待するのは(もちろんリスクも高いが)アリと言えばアリなのかも.

2010-06-04 02:02:25
@anarchist_kon

以上のように,立花隆ゼミ政治企画班では,現代の政治を多面的に考えるために,ブッ飛んだ議論をしています.これと全然違い問題意識の本を付き合わせてみると面白いかもしれません.ちょっと前,研究会では『国体の本義』をアレントと一緒に読みました.

2010-06-04 02:05:18
@anarchist_kon

今,宮台真司・佐藤優・田原総一朗の『日本流ファシズムのすすめ』読んでいますが,これも全然ちがった視点(いや,実はあまり違っていないのかもしれないけれども)なので,面白いです.

2010-06-04 02:06:20