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ロンドンどどんの連続ツイート第8回(2012年4月22日)

本当に泣きたくなる理由は、実は悲しいとか、嬉しいとか、寂しいとかじゃない、ということ。
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ロンドンどどん @LondonDodon
2週間ぶりの茂木先生のマネっこ連続ツイート。もしも途中で崩壊したらすみません。「どどんの連続ツイート第8回」、今回のテーマは、最近知り合いの方から聞いた話に思う、人間の涙の理由について。文章はその場で即興的に組み立てながら書いています。
ロンドンどどん @LondonDodon
るい(1)先日、パーティーで会った日本人女性ふたりと「思い出すだけで、つい涙ぐんでしまう経験」の話になった。どどんも、「愛犬ふぅちゃんが死んだとき」とか、「お婆ちゃんが亡くなったとき」とか、「高校受験で第一志望に落ちたとき」とか、悲しい思い出をいろいろ振り返って探してみた。
ロンドンどどん @LondonDodon
るい(2)それでも、実際そういう悲しい経験を思い出してみたところで、ぜんぜん涙は出てこない。同席していた日本人女性のひとりも、同じ調子だったところ、最後のひとりが「思い出すだけで涙ぐんでしまう経験って、実は悲しい思い出とかじゃなくて、もっと複雑な感情を伴うもの」と話し始めた。
ロンドンどどん @LondonDodon
るい(3)「最後まで泣かないで話せるかどうか自信ないけど」と言いながら、彼女がとつとつと語ったのは、こういう話だった。在英17年になる彼女は、ロンドンに来る前は少女漫画の編集者をしていた。対象読者は中学生高校生。当時は携帯もメールもない時代で、ファンレターは郵送で届くものだった。
ロンドンどどん @LondonDodon
るい(4)漫画編集者の仕事は、漫画の制作に関することだけではなく、担当作家の世話に及ぶものらしい。読者からのファンレターは、まず担当者が開けて検閲する。なかにはカミソリが入っていたり(!)、明らかな誹謗中傷もあるので、そういうものは、編集部で処分し作家には渡さないという。
ロンドンどどん @LondonDodon
るい(5)いまはどうかわからないけれど、当時の女子中学生、女子高校生というのは、みんな手紙を書くのが大好きで、毎月かなりの数の手紙がきたと言う。彼女の担当していた漫画家さんは、漫画のなかのモブとして担当者を登場させることが多く、担当者あてのファンレターをたびたび受け取ったと言う。
ロンドンどどん @LondonDodon
るい(6)「恋愛の相談とか、進路の相談とかを受けることも多くて、いまとなっては自分がどういう返事をしていたのか、全く覚えてはいないんだけど、そのときどきで、ちゃんと真面目に答えていたとは思うんです」と彼女。編集者になるにはどうしたらいいですか、という質問も多かったという。
ロンドンどどん @LondonDodon
るい(7)時は流れ、彼女はロンドンにやってきた。英国人の男性と恋をして結婚し、ここ10年くらいはこちらのローカライゼーション専門の会社で働いている。子どもはいない。3年前のこと。使っている日本のSNSを通して「○○先生の担当をしていた××さんですか?」というメッセージがあった。
ロンドンどどん @LondonDodon
るい(8)「差出人の名前を見て、すぐに誰だかわかったんです。当時九州に住んでいた高校生で、よく手紙をくれたんですけど、彼女の字はとっても特徴的でかわいかったから」。やはり編集者志望で、何度か手紙のやりとりをしたのだという。当時高校生だった彼女も、30歳前後になっているはず。
ロンドンどどん @LondonDodon
るい(9)さっそくSNSでつながって、返事を書いた。イギリス人と結婚していまロンドンに住んでいること、漫画の仕事はもうしていないことなど。そうしたら、彼女のほうからもすぐに返事がきた。結局アドバイスされたように大学受験して、高校卒業と同時に家を出て、東京の短大に入ったのだそう。
ロンドンどどん @LondonDodon
るい(10)でも、短大2年の時に妊娠してしまい、卒業と同時に結婚、出産したものの、彼の家族とうまくいかず、ひとり息子を連れて九州にもどってきて、いまは実家で家業の青果店を手伝っている、とのこと。そして、そのメッセージの最後には、こう書かれていた。
ロンドンどどん @LondonDodon
るい(11)せっかく親身になって相談にのってくれたのに、結局妊娠しちゃって、就職することも叶わなくて、ごめんなさい。このあたりで、すでに話している当人はうるうるで「あやまらないでーって思って、これを思い出すと泣けてきちゃうんです。別に悲しいわけじゃないのに、おかしいですよね」。
ロンドンどどん @LondonDodon
るい(12)「しかも彼女、いまも当時の手紙を持っててくれてて。なんだかその気持ちがうれしくて、この15年間、あの頼りなげな高校生だった彼女が、ひとりで子育て大変だっただろうなぁとか、悲しいんだか、嬉しいんだか、やるせないんだか、もうぐちゃぐちゃなんですよね。で、涙がでるわけ」
ロンドンどどん @LondonDodon
るい(13)「そのSNSで彼女の過去の日記を読んでいたら、彼女の息子さんはすでに中学生で、そして、私の担当してた漫画作品の主人公の名前をつけてたの。これもまた、胸にきてねえ。これ、思い出すだけで涙が出る話です、私にとっては」。どどんももうひとりの友だちも、気づいたら涙してた。
ロンドンどどん @LondonDodon
るい(14)赤ちゃんがお腹すいた、眠い、痛い、と泣くように、ほかに表現の仕方がわからないときに、涙が出るのは大人も一緒なのかしら。悲しいわけじゃない、嬉しいだけでも、寂しいわけでも、もちろん楽しいわけでもなく、複雑なたくさんの色が重なった感情にこそ、人は動かされるのかもしれない。
ロンドンどどん @LondonDodon
以上、どどんの連続ツイート第8回「割り切れない感情こそが、心の柔らかい部分を押してくる」でした。読んでくださって、ありがとうございました。
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