「さながら元素のように僕らは出会った」 プロット

長編作品の構想作業を可視化してみました。 たまーに、プロットを作るところが見てみたいなんていう お話も見受けられるので。ここで構想を可視化しておけば、 ああこの内容が完成すればこんな作品になるのか、って 風にお楽しみいただけるんじゃないかと思いましてね。:) 続きを読む
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犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

SFというのはとても間口の広い、耕しても耕しても実りのあるジャンルだと思っています。その愛好者でいられるのは大変幸せなことです。いろいろな作品を読んできました。自分が今、どんな作品を読みたいのか。書き手なんだからむしろ自分の手でシンプルにそれを書けばいいと思う。思いのままに・・。

2012-04-25 02:36:12
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

直近の「そのたま!」では、ゼロ年代的な思想をベースにセカイ系という表現にこだわりました。「僕たちは世界を変えることができる」という思想ですね。そこにはひとつの限界があった。思想という姿をしている限り、いいと思う人もいれば、悪いと思う人もいる。個人は個人であり、全員ではないのです。

2012-04-25 02:37:36
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

例えるなら宮崎駿先生が、恐らくは思想性が足りないことを理由に紅の豚を自己批判し、もののけ姫やナウシカのような作品こそ評価しているのと、逆をいくものです。紅の豚にだって僕は多大な思想が込められていると思う。割愛するが。それでいいんじゃないだろうか。愛される作品ならそれでいいのでは。

2012-04-25 02:39:04
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

自分の全集の第二段となる次の長編作品で表現したいのは、ひとつには、イデオロギーを超越したところにある「不変の真理」です。それはとてもシンプルで、疑いのないようなものかもしれません。具体的には、夏目漱石先生の筆致をものにしたいと思っています。「現代社会を生きる苦悩とその超越」です。

2012-04-25 02:40:57
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

夏目漱石の筆致とは何か。「現代社会を生きる苦悩とその超越」そのものが、「僕にとってはイデオロギーを超越した不変の真理である」ということになります。これはまさにそうなんです。今までいろいろ生きてきて、やがてくる死も見据えて、自分と、人と、世界を見た結果、僕はそう思うに至ったのです。

2012-04-25 02:42:19
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

極めて簡単に表現すればこうなります。「人間とはかくも愚かであり、世界の姿は悲惨そのものかもしれない。その苦悩は余りあるものだ。だがしかし! 僕らはそれを乗り越えて、勇敢に力強く未来を目指さなければならない」となります。別の言い方をすれば、「辛いけどがんばりまっしょい」となります。

2012-04-25 02:43:58
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

「辛いけど頑張ろう」というそれだけの意思。そこに疑念や迷いが生まれるでしょうか。だから何? という嘲笑くらいはあるかもしれません。それくらい、不変の真理というのはシンプルで、否定しようのないものなのです。この作品で、作者は何を言いたいのか? 僕は自信を持って上記の言葉を述べます。

2012-04-25 02:47:27
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

さて、前提として、根底に据えられる文学的思想を明確化したところで、次は具体的にどんなディティールで、それを物語として面白くしていくかですね。あとはそこにどんなエロ的盛り上がりが作れるのかでもあります。これは同じようでいて違います。別物です。物語を面白くし、エロもそこに挟むのです。

2012-04-25 02:51:01
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

ここからは物語とエロのパートです。夏目漱石の話はすでに終わりです。w 物語ってことなんですが、これはとりもなおさずSF、さらに言えばスペオペをやろうと思っています。「敵は海賊・海賊版」とか、「ダーティーペア」みたいな冒険活劇ですね。その基本の構成はすでに大部分、頭の中にあります。

2012-04-25 02:53:05
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

せっかくだから、実際に完成した作品と、作者がスタートラインで何を語っていたのかを、見比べられるドキュメンタリー資料にしたいと思っています。この話を組み立てる前には、すでに半年近いくらい脳内で構成を練っています。構想半年、執筆なんてそれこそ最後の最後にやるものだと僕は思っています。

2012-04-25 02:54:24
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

テーマが安定しているから、安心して物語を面白くできます。物語が出来上がっているから、そこに集中的にエロ要素を入れられるんです。つまりこの作品は3層の構造です。根底の文学的思想、その上に物語的な盛り上がり、その上に効果的なサービスエロです。読者はまさにまったく逆の道を辿ってきます。

2012-04-25 02:56:32
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

今問題にすべきは物語をどう盛り上げるかなんですが。これがまた、第二層でかなりいろいろ頑張らなくてはなりません。基本、「寝取り」でいけます。この3文字は鉄板です。意外といろんな作品がその構成で引っ張っているのを見て取れます。タイタニックもそう。映画なんてたいていこの構図ですよ実際。

2012-04-25 02:58:01
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

犬吠埼用語での寝取りとは、「男二人に女ひとり。片方と仲がよかったのに、最終的にはもう片方が奪い、そっちと結ばれる。最初に仲がよかったほうは涙目で悔しがるけど、悪役だからしょうがないよね。カップル成立万歳っした!」みたいな内容ってことです。この話はシンプルで力強くて使いやすいです。

2012-04-25 03:00:10
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

物語をどう面白くするのか。基本構成を定義しました。寝取りものです。男A、男B、女Cです。BとCが仲がよかったのに、Aがきた。AがBと戦い、勝つことで、結果的にAとCが結ばれ、Bは悔しがる。ただこれだけのことです。これ以上でもこれ以下でもありません。この構図で250枚引っ張ります。

2012-04-25 03:01:44
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

基本構成ができたので、ディティールを張り巡らせていきましょう。骨組みがあるから、安心して肉づけができます。何だってそうです、物事は階層的なのです。人物同士の関係に加えてもうひとつ関係性を。「銀河帝国=グローバルスタンダード」、「辺境惑星=民族文化」、この要素を題材にしていきます。

2012-04-25 03:03:42
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

グローバルスタンダード。この言葉から、まるで水に落とした油のように、物語の要素が立ち上がってきます。この言葉は、ドラマを内包しています。想像してください。我を崇めよ、と天下に号令する銀河帝国の皇帝。その走狗たちが宇宙を駆け巡ります。一方、辺境の惑星では独自の文化が興っていました。

2012-04-25 03:05:51
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

まるで、その話は、今のわれわれのようではないですか。当たり前です、そう書いているんですから。てへぺろ。物語というものは、フィクションでありながら、ノンフィクションでもなければならない。どこかわれわれの写し身となる存在として定義されていなければならないでしょう。人も世界も同じです。

2012-04-25 03:06:52
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

当初、第一層の話でも述べましたが、世界が悲惨であると。人間が愚かであると。それはどういうことでしょうか。それは第二層で使うひとつの前提に関係してきます。「鎖国」です。とある辺境惑星が作られたのは、物語の現在時点において神となっているある男が、当時の覇権主義に対して異を唱えたから。

2012-04-25 03:09:49
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

銀河帝国にも歴史があります。歴史と共に宇宙全体で生きている人たちがいます。そこを膨らませることは大事です。その惑星がガラパゴス化するほど前の時代に、ひとりの人間が、膨張する銀河帝国文明の覇権主義を嫌い、搬種船を使って辺境惑星に彼だけのユートピアを作ったのです。それが「鎖国」です。

2012-04-25 03:12:11
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

しかし、時間の流れと共に、銀河帝国はますます科学技術文明の粋を極め、膨張してきます。せっかく難を逃れ、自らの楽園を築いたかに見えた辺境惑星と、悠久の時を経て、再度「巡り合う」・・そう、この物語は、そんな動乱の時代を描いているのです。第二層の構築の話は、重要なのでもう少し続きます。

2012-04-25 03:14:29
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

人間の愚かさとは何か。世界の悲惨さとは何か。どうして、何がわれわれと今の現実の投影なのか。グローバルスタンダードとは何か。さて、これを説明するのは簡単なようで難しいです。「辛いけど頑張ろう」と心から咆哮しなくてはならないほどのそれとはいったい何なのか。今、人はなぜ死んでいくのか?

2012-04-25 03:16:50
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

端的に言えばこういうことです。覇権主義・・これがもうすでに、人間が愚かであるがゆえに世界が悲惨である、辛いけど頑張ろうと言うしかないのです。それがグローバルスタンダードなんです。覇権主義に支配されたこの世界はディストピアだ。人が死んでいくことに僕は怒っています。激怒していますよ。

2012-04-25 03:18:46
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

当然、そういう左派エコロジスト的思想性からの、覇権主義批判からの、せっかく鎖国していた辺境惑星だったのに、銀河帝国の野郎どもが力をつけて迫ってきやがった、どうする、からの、辺境惑星の主人公と、銀河帝国のヒロインと、銀河帝国の彼女のフィアンセ、という3人が描かれることになるのです。

2012-04-25 03:20:35
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

第二層の物語の面白さを担当する部分でも、第一層にある思想性の影響は強く受けます。ある意味で、3人の人物の関係性はそれほどでもありませんが(寝取りだし)、その位置関係は、第二層下部の世界の構造に、第二層上部として依存している関係にあります。彼らは思想的理由があってそこにいるのです。

2012-04-25 03:22:06
犬吠埼一介@移転しました @inubou_ikkai

当然、グローバリゼーションに反旗を翻して自らの惑星を作った男は、覇権主義に反対の立場です。彼は自虐的に、自らを豚の姿として定義しました。後世、彼を神として崇拝する惑星の民でしたが、その祭壇には豚の頭部が祭られているのです。ここに、銀河帝国の現在の皇帝の威信に対する皮肉があります。

2012-04-25 03:23:31
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