茂木健一郎(@kenichiromogi)さんの連続ツイート第587回「学校は本来、プライベートなクラブである」

脳科学者・茂木健一郎さんの5月7日の連続ツイート。 本日は、昨日ツイートして、反響があったあるテーマについて。
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茂木健一郎 @kenichiromogi

しゅりんくっ! ぷれいりーどっぐくん、おはよう!

2012-05-07 05:20:58
茂木健一郎 @kenichiromogi

連続ツイート、第587回をお届けします。文章は、その場で即興で書いています。本日は、昨日ツイートして、反響があったあるテーマについて。

2012-05-07 06:33:03
茂木健一郎 @kenichiromogi

がぷ(1)昨日、受験の「偏差値」が、日本の教育をゆがめているというツイートをしたら、多くの反響があった。それらのご意見を拝読しているうちに、思い出したこと、考えが整理できたことがあったので、改めて今朝そのことを書きたいと思います。ツイートをお寄せくださった方々、ありがとう!

2012-05-07 06:34:27
茂木健一郎 @kenichiromogi

がぷ”(2)偏差値が統計的な数値である、ということはもちろん知っている。50+(得点ー平均点)/標準偏差x10である。なぜこのような数値が出てきたか、と言えば、受験指導で、ある学校に受かるかどうかを予測する目安として使われてきた、ということも承知している。

2012-05-07 06:36:33
茂木健一郎 @kenichiromogi

がぷ(3)「偏差値」という数値が意味があるのは、各受験生にある数字を割り振るのが可能な場合だけである。そして、日本の場合、その数値は「ペーパーテスト」となっている。つまり、偏差値による「受験指導」が可能になるためには、入試が、ペーパーテストを基準にしているものでなければならない。

2012-05-07 06:38:10
茂木健一郎 @kenichiromogi

がぷ(4)日本の受験指導において偏差値が幅を利かせているということは、すなわち、入試がペーパーテスト重視、言葉を換えれば偏重であるということを意味する。しかし、諸外国を見れば、入試はペーパーテストを唯一あるいは主要な基準として行われているわけではない。

2012-05-07 06:39:30
茂木健一郎 @kenichiromogi

がぷ(4)アメリカの大学入試が、SATやTOEFLのスコアだけでなく、エッセイや、インタビューなど多様な基準で行われることは周知の通り。イギリスのケンブリッジやオックスフォードも面接重視。そのような入試では、そもそも、「偏差値」という概念が、入試結果の予測を与えない。

2012-05-07 06:40:41
茂木健一郎 @kenichiromogi

がぷ(6)昨日ツイートしたように、ハーバードに合格した人の70%しか入学しない。もし、日本のように「偏差値」という基準があって、少しでも偏差値の上の大学、と考えたら、このような結果にはならないはず。基準が、ペーパーテストのような単一の数値には落とせない。ここに問題の本質がある。

2012-05-07 06:42:34
茂木健一郎 @kenichiromogi

がぷ(7)日本でペーパーテスト重視の入試が行われるのは、それが、日本人の考える「公正さ」に適合しているからだろう。一方、アメリカやイギリスの大学は、別の基準で運営されている。それを一言で表せば、「プライベート・クラブ」。私的なクラブだから、自分たちの基準でメンバーを選ぶ。

2012-05-07 06:43:59
茂木健一郎 @kenichiromogi

がぷ(8)パーティーを開くとき、どんなメンバーを集めるかを、ペーパーテストで決める人はいない。あるいは結婚相手をセンター試験で決める人もいない。学校というものは、本来、プライベートなもので、誰を入学させるかは、その機関の裁量(discretion)による、というのが英米の考え方。

2012-05-07 06:46:16
茂木健一郎 @kenichiromogi

がぷ(9)日本式にもメリットはあるが、弊害の最たるものが「偏差値」、それと学校側がものを考えなくなること。私的なクラブとして裁量でメンバーを選ぶのは真剣。クラブの発展がそこにかかっているのだから。ペーパーテストだけで選抜してきた日本の学校は、未来の形成を放棄してきたに等しい。

2012-05-07 06:48:39
茂木健一郎 @kenichiromogi

以上、連続ツイート第587回「学校は本来、プライベートなクラブである」でした。

2012-05-07 06:49:25