ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/05/09

今日読んだついのべの中から個人的にお気に入りの作品を選んでみました。 ついのべ #twnovel とは140文字以内で書かれた短いお話です。
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咲良 潤 #言の葉の点綴 @sakura77_sosaku

#twnovel ねえ、気づいてる?私が手さげ鞄からショルダーバックにした理由。ねえ、気づいてる?私が下校前には必ず手を洗っていること。ねえ、気づいてる?少し早いあなたの歩幅に一生懸命ついて行ってること。ねえ、気づいてよ。私の左手はいつも空いているのよ?

2012-05-09 00:32:58
おぼろちゃん @oboroose

#twnovel 科学とは無縁であるはずなのに、人々は生まれながらにしてフラスコを知っていた。知っているばかりか、その透明なガラスの内部に、言葉にならない郷愁を覚えていた。理由は単純で、この辺りの人々はみなフラスコのなかで生まれた、それだけのことである。ただ忘れているだけなのだ。

2012-05-09 00:55:03
七歩 @naholograph

夏の箱から夏物を取り出す。水着に花火、プール、蚊取り線香、風鈴にビール。向日葵、お祭りのざわめき、入道雲に日差しに恋。夏の恋。一気に広がる夏の空気。これで解禁。さあさあ、儚くも逞しく切なくも強い、太陽の季節を召し上がれ。お約束のあの音楽でも聴きながら。夏が来た。#twnovel

2012-05-09 01:04:46
浅葉積木 @tsumiki_a

#twnovel 5万光年彼方の星へ向けて旅立つ日が来た。まず、すぐ隣の惑星まで普通ロケットで6ヶ月。そこからいよいよ目的の星へ。/5万光年の転送は10秒で完了した。/目的地は転送先の星の、2つ隣の惑星だ。ふたたび普通ロケットで今度は10ヶ月。ローカル惑星間の旅はとても不便だ。

2012-05-09 07:04:54
かなりひこくま @kanarihikokuma

水郷都市線はその名のとおり、都市を出発して水郷地帯を走る。高いビルの間を2駅も過ぎると、もう田んぼなのだ。猫たちも水郷都市線を利用している。多くの猫は長靴をはいている。農家の手伝いに行く 前足の器用な猫たちだ。田舎に住めばいいと思うのだが。やっぱり都市に帰る。 #twnovel

2012-05-09 10:18:55
miecha @miechorz

#twnovel 「珍味が手に入ったんですよ」行き付けの焼鳥屋がテーブルに置いたのは、ハツの塩焼き。普通だよなと思いながら噛めば、柔らかい甘さ、それを引き締める微かな酸っぱさ、程良い硬さ……懐かしい味。ただのハツじゃないな?「ええ、初恋を覚えたばかりのハツなんですよ」

2012-05-09 14:43:31
銭喰 @zeniqui

#twnovel 上野駅の歴史資料館には『そ』発声装置が展示されている。柱時計のような背の高い装置の、横に付いたハンドルをゆっくりぐるぐると回すと、歴史を感じる重低音の「そ」が館内に響く。背中の調節ネジを【143】に合わせると、あの石川啄木が愛した「そ」を今でも聞くこともできる。

2012-05-09 19:25:12
すわぞ @suwazo

#twnovel 少女は時限爆弾だった。爆発までもう数分しかなかった。「みんな逃げて!」人々が走り去る足音を背に、僕は少女を開き、爆発を解除する作業をはじめる。刻々と過ぎる時間。作業をほぼ終えたころ、少女がその両手首を僕に見せた。赤い血管と青い血管。「ね、どっちを切ってくれる?」

2012-05-09 22:43:25
23時の夢物語 @23novel

#twnovel 「好き、嫌い、わりと好き、そんなに嫌いではない、いっしょに映画に行ってもいいくらいには好き、歴代嫌いな人ランキングに堂々ランクインするほど嫌いってのは嘘、今度の誕生日に密かに告白しようとか思っちゃってるレベルで好き」「何してんの?」「バカなこと」

2012-05-09 23:14:28
竹田康一郎 @tahtaunwa

#twnovel 引きこもりのリハビリ用に親から贈られたのは熊の着ぐるみだった。確かに着ぐるみの中は自分だけの世界で、他人と話す必要もないし、外にも出られる。でも、着ぐるみの目を通して見て、初めて気がついた。街は着ぐるみだらけだった。人間の着ぐるみを着た人間で。

2012-05-09 23:15:23
鈴々@物語る鳥 @re_rhythm

職場で名前で呼びかけられると一瞬どきっとする。そうして、慣れないなぁと苦笑する。社会人になると苗字で呼ばれることばかりで名前を呼ばれるのは何か特別なことみたいに思えるのだ。嫌、と聞かれて、じゃない、と答える。でもさ、こんなにどきどきしてたら恋と勘違いしそうだよ。 #twnovel

2012-05-09 23:34:25
橘 颯 @so__w

生贄だと云う乙女に恋をした剣士。魔物の元へ勇んで赴くと、其の巨大さに慄いた。正に山一つ分。剣を振るえど叶う筈無く、敢えなく腹の中。其れこそ、村と一緒に丸飲みに。しかし余りに大き過ぎたので、誰一人死ぬ事は無く。軈て盛大に上げられた祝言。そうして幸福に暮らしたとさ。 #twnovel

2012-05-09 23:45:59
夢名 七志 @mumei7c

それは、小さなブースに売られていた。「フロッピー」つい声が出てしまった。「そう、8インチ。128キロバイト」と、聞いたとたん。僕の心に1/2インチ幅の長さ1200フィートで記録密度800BPIの磁気テープが巻き付き、8単位紙テープと80欄紙カードが舞うのだった。 #twnovel

2012-05-09 23:52:04