東方黒狼騎 「迷い込んだ黒色」 ある日の幻想郷の夜。見事な三日月の夜だった。 「綺麗な三日月ね 咲夜」 「はい、お嬢様」 紅魔館の主 レミリア・スカーレットはテラスで月を見ながら、紅茶を飲んでいた。 「・・・咲夜、少し散歩するわ。お供をお願い。」 「畏まりました。お嬢様」
2010-06-19 17:46:48瀟洒で完全な従者 十六夜咲夜は一瞬、消えたかと思うと、次の瞬間には手に レミリアが愛用している日傘を持って現れた。 「ああ、傘は良いわ、咲夜。 すぐに帰るから。」 「そうですか・・・。 どこまで散歩しますか?」 「そうね、湖の近くまで。 そこに面白いものがあるわ」
2010-06-19 17:47:29紅魔館の近くの湖。よく氷の妖精が他の妖精達と遊んでいる場所でもある。今は寝ているようだが。 「ここの近くにあるはず・・・」 「・・・お嬢様、あれ、ですか?」 「ああ、見つけたわ。ありがとう 咲夜」 二人はそっと地上に降りると、その見つけたものの近くまで歩いていく。
2010-06-19 17:48:10「お嬢様・・・これは・・・」 「まだ生きているわね・・・」 二人の目の前には黒い甲冑の騎士が倒れていた。鎧の所々は傷だらけで、つい先ほどまで戦っていた。 そんな風に見えた。
2010-06-19 17:49:11「咲夜、美鈴を呼んできて。」 「美鈴を?」 「この騎士を紅魔館まで持っていくわ」 「わ、わかりました・・・」 咲夜は少し戸惑ったが、時を止め、紅魔館まで戻っていった。
2010-06-19 17:49:39(今日は月が綺麗だな~) 紅魔館の門番。紅美鈴は月を見上げながら少し眠そうにしていた。その時である。 「起きてる?美鈴」 「わっ! さ、咲夜さん・・・びっくりするからいきなり目の前に出てこないでくださいよ~」 「でも目は覚めたでしょ?」 「は、はい・・・」
2010-06-19 17:50:08いきなり現れた咲夜に驚きながらも美鈴はレミリアがいないことに気づく。 「あの・・・お嬢様は?」 「お嬢様が貴方を呼んでるの。付いて来て。」 「私を?わかりました」 咲夜と美鈴は、レミリアのもとに飛び立った。
2010-06-19 17:50:32「お嬢様 美鈴を連れて来ました。」 「お待たせしました。お嬢様」 「美鈴、この騎士を紅魔館まで持っていって。」 「え!? えっと・・・い、生きているんですか?その人・・・」 「ええ、生きているわ。もって帰って治療するわ。」 「はぁ・・」 美鈴はそっとその黒い甲冑の騎士を背負った。
2010-06-19 17:51:45「お、重い・・・・」 「鎧だから当然よ。だから美鈴を呼んだのよ。 さぁ、帰るわよ 咲夜、美鈴」 「はい、お嬢様。」 「は、はいぃ・・・重い・・・」
2010-06-19 17:52:16三人は、紅魔館へ帰っていった。 (運命が見えないなんて・・・面白いものを見つけたわ・・・) 運命を操る程度の能力を持つレミリアは、運命の見えないこの黒い騎士にどんな事が起こるのか、 そんな期待をしながら紅魔館へと帰っていった。
2010-06-19 17:52:32東方黒狼騎 【騎士の目覚め】 「美鈴、そこのソファに寝かせて」 「はい。・・・よっと・・・ ふぅ・・・重かったぁ」 「・・・この鎧、どうやって外せば良いんでしょうか・・・・?」 「う~ん・・・ あ、そうだわ」 レミリアは少し考えた後、友人の魔女が居る図書館へ行った。
2010-06-20 00:13:12「パチェ~ ちょっと来て~」 「・・・変なのもって帰ってきたわね」 レミリアの友人である七曜の魔女 パチュリー・ノーレッジは眠そうな目をしながら 黒い騎士を見た。
2010-06-20 00:14:33「鎧を外せばいいのね?」 「ええ、お願いパチェ」 パチュリーがそっと騎士の鎧に手を置き、何かの呪文を唱えると カチャ と言う音と共に 黒い騎士の鎧が外れた。
2010-06-20 00:14:52「!・・・中まで黒いとはね。」 「気絶してるようね。」 「黒い肌に・・・顔に、白い・・・なんだろう?獣の牙のような・・・背中にも」 その騎士は体まで黒かった。顔と背中にある獣の牙のような白い刺青を除いては。
2010-06-20 00:15:13「パチェ、回復魔法みたいなのできる?」 「やってみるわ」 騎士の体中にある傷を一つ一つ治療していく。 「応急処置のようなものだから、一応薬と包帯を巻いてあげた方がいいわ」 「咲夜、包帯と薬、もってきて」 「はい、お嬢様」
2010-06-20 00:15:38咲夜は時を止め、そして次の瞬間には救急箱を手に現れた。 「美鈴、この人の上半身を起こして。 包帯が巻きにくいわ」 「は、はい」 包帯を巻き終え、改めて騎士を見る。
2010-06-20 00:16:04「この人・・・なんの妖怪なんでしょうか?」 「パチェ、わかる?」 「黒い肌ね・・・ごめんなさい、ちょっとわからないわ」 「そう・・・ まぁいいわ目が覚めるまで待ちましょう。 美鈴、空き部屋に運んであげて。」 「はい。」
2010-06-20 00:16:22----深夜。 「ぐっ・・・ッ・・・ ここ・・・は?」 「・・・館? ・・・俺は・・・? 」 (駄目だ・・・体が、動かん・・・眠い・・・) (何なんだ・・・この体は・・・?) (俺は・・・誰だ・・・?) 黒い騎士は少し目を覚ましたが、すぐに眠ってしまった。
2010-06-20 00:16:50翌朝。 「何故、お嬢様も?」 「第一印象が大事って言うじゃない」 「はぁ」 レミリアと咲夜の二人は騎士が眠っている部屋へ行き、そして扉の前で立ち止まった。 「起きているでしょうか・・・?」 「起きていなかったら起こすまでよ」 「そ、そうですか・・・」 咲夜は丁寧に、扉を開けた。
2010-06-20 00:17:46「・・・貴方達は?」 「目が覚めたようね。どう気分は?」 「・・・まだ、少し体が痛みます。」 「そう。紅茶は好き?」 「え?は、はい。」 「咲夜 紅茶を入れて。三つね。」 「はい。お嬢様」 「!?消えた・・・!?」 「彼女の能力 時を止める程度の能力よ。」 「の、能力・・・?」
2010-06-20 00:19:13レミリアはこの騎士の反応から どうやら彼は幻想郷の住人はないと判断した。 「色々、説明してあげたほうがよさそうね。 幻想郷の新入りさん。」 「・・・・」
2010-06-20 00:19:30「まぁ、大方こんな所かしら。大体わかった?」 「はい、まだ少し混乱してますが」 レミリアは黒い騎士に幻想郷とそのルールを説明していた。 妖怪と人間が共に暮らす幻想郷、スペルカードルール、博麗の巫女、その他多数・・・ 幻想郷で生きていくのに必要な知識を授けた。
2010-06-20 18:49:52