ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/05/15

鈴々@物語る鳥 @re_rhythm

手持無沙汰になると頭を撫でてくるのは彼の癖だ。ひとしきり撫でた後は髪に指を絡めて遊び出す。手触りがお気に入りだと云うから毎晩ケアに手間暇かけているのは秘密だ。満足すると離れてゆく手が気に入らない。もっと触って。なんて云わない。その手の感触が好きだなんて云わない。 #twnovel

onai shigeo @onaishigeo

#twnovel その星はもう滅んだという。間に合わなかった。45億年かけ準備を整え戻って来たというのに。星の傍らに少女がいた。「待ってたみたい。できればあなたにとどめを刺してほしかったって」俺は泣いた、地団駄踏んで泣いた。「だから代わりに私をどうぞ」そう言って月が瞳を閉じた。

らし @rashi_catwillow

#twnovel 灯りを消して瞳を閉じたが、嫌いなあの子の顔が浮かんで眠れない。がんばって頭の中から追い出したら、今度は自分の顔が現れた。この子も嫌い。仕方なく私は窓から外に出た。夜のシーツを体にまいて、朝までどこかに隠れています。ベッドに眠る透明な私、おやすみなさいよいゆめを。

layback @laybacks

眠っても眠ってもまだ眠い。ここのところずっとそうだった。学校を終えようやく家に帰りついたわたしは制服も脱がずにベッドに倒れ込む。まだ眠らないでくれ。どこからか声がする。無理よ。眠いの。頼む。もう少しだけ一緒にいさせてくれ。あなたは誰？　おれは睡魔。きみが好きだ。 #twnovel

橘　颯 @so__w

街角に佇む硝子の小部屋。蝶番を轢ませ、婦が一人文庫ボックスに入り込む。鞄より取り出すは真新しい本。灰色の箱に穿たれたスリットに逡巡い乍ら落とし込む。引き換えに出るは古びた詩集。幾人の手を経たと思しき其れに、彼女は淡く微笑む。亡き人の想いは未だ読み継がれていると。 #twnovel