El Dorado 〜poem24番外編
- sohtaiseiriron
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いつの日か行方不明になった空蝉を探して、ずいぶんと遠くまで来てしまった。僕らが知らない世界を目にする度に君の面影は薄くなっていくけれど、それは理想郷へと確実に近づいているという証拠になるのだろうか。きっと「近くて遠い場所」を模索し続けた結果に辿り着く、賞味期限切れのエル・ドラード
2012-05-16 22:01:15役立たずの針で結構、目も塞ごう。満足は私たちを殺すだろう。眩む眩む幸福、眩い光が作り出した蜃気楼。辿り着かぬから理想、触れ得ぬから幻想。あとどれだけ、方角はどちら。分からぬものは分からぬままに、宝を隠せエルドラード。
2012-05-16 22:01:31夢遊のなか。果てしなく広がる記号だけの空間でひとり言を謳う。小鳥がさえずり楽しそうに羽根を動かす。時間を忘れて私と思い出に残るようなひとときを。ようこそ夢処、エル・ドラード。
2012-05-16 22:01:35波間に揺らぐ上弦の月が、海の荒くれ者が集う煤けた港酒場を照らす。カウンターの隅で、ラム酒を抱えた男が私の隣で小さく歌った。「上弦の月が踊る頃。海は染まるぞ銀色に。波は光るぞ金色に。誰も知らない海の底。七色鱗の人魚姫。海賊たちの夢の果て。そこは世界の終着駅。幻の都エル・ドラード。」
2012-05-16 22:02:10緑の神々が民に与えしエメラルド 5月の女王は美しく鮮やかな石を手に未来を予言する 「大蛇の毒がヴィーナスを襲う前に 進め勇者たちよ 辿りつけエル・ドラード」
2012-05-16 22:02:25裸足の乙女が迷宮を駆け抜ける。金のアンクレット、きらびやかな装束、やわらかな髪を振り乱し、追手を撒いて闇の奥へと。選ばれし者のみが到達できる聖域、そこに隠された秘密に触れた時、世界の秩序は崩壊する。そうここは、神秘を抱えた黄金の都、エル・ドラード。
2012-05-16 22:02:49「私の輪郭を述べよ」 その人は太陽の中に立ち輝きの中に輝いて私に命じるのだ 「私の輪郭を述べよ」 エル・ドラード 黄金の人 苛烈なる御使い エル・ドラード
2012-05-16 22:03:08ガラス越しに触れる指先は、いつも優しかった。掌を重ね合わせる様に君と言葉を繋いだ日々は、僕にとっては何物にも変え難いものだったよ。例え決して本当に触れあう事はないと知っていても。今、君が居ない指先で香水の瓶の中に閉じ込めたのは君が愛した香りといつか二人で紡いだ夢。エル・ドラード。
2012-05-16 22:03:11機械遺産の名誉を提げて其はカルーセル・エルドラド 馬たちゃ上下にうねりはせずにじっと構えてどうどう巡り 6つに及ぶコンテナに乗り7つの海を越えて来た 今も煤けぬアール・ヌーヴォの其はカルーセル・エル・ドラード
2012-05-16 22:03:33右を見れば未知なる世界。左には辿ってきたこれまでの足跡が。自らの行く先を決める十字路に立ち思い描く理想郷。進む先に何があるかなどわかるはずもないが探し求める豊かで煌びやかな地。自分達にとってのエル・ドラード
2012-05-16 22:03:50色が渇いていった。灰にセピアに染まる空、木、花、海。そして君。考え得る限りの輝くものが、すべてその重力と彩度を失った。平衡感覚がまるで機能せず、膝をつく。ちらばる紅と、消える色彩。「もういちど くりかえすから 」希望と忘却の許されない中で 夢にみたのは、薄く微笑むエル・ドラード。
2012-05-16 22:04:03黄金の人 一日の初めに大地に立って 一日の終わりに大地に眠る 見よ天球は今日も眩く 見よ天球は今日も優しく 一日を巡る大地に立って 天球の灯を映すその身よ いさ眩くも優しくもあれ 黄金の人 エル・ドラード
2012-05-16 22:04:18求めないのならやさしくしないで、掬えないなら啼いたりしないで。記憶の彼女がおれを責め続けた青い夜。退廃の中に埋め込んだ心臓と、おれの隣で愚かしくわらう永遠がやがてこの身を滅ぼすのだとしても、瞼の裏のひかりを追ってしまうのだろう。とらわれた双眸と、彼女の鱗片エル・ドラード。
2012-05-16 22:04:46君が死んでしまったと、昨日知らせが届きました。今日死んだ筈の君から手紙が届きました。昨日の知らせは何かの謝りだったのだと自分に言い聞かせ、震える手で手紙を開けました。「最後まで僕はき」 途切れた、か細い文字。嗚呼神様、嗚。お願い黄金郷、あの人を返して、ねえ、どうか、エル・ドラード
2012-05-16 22:04:53床下の未来地図 碧いお空は薬を飲めば読めるはず 真っ赤なチューリップが咲いて 「さよならだけが君たちだよ」と僕を撫でるセンセイの影 金色って何色ですか 白濁のメッキしか知らない僕アは 次は誰には侵されたらいいんですか? 約束された楽園の名前 僕は消費される人型のエル・ドラード
2012-05-16 22:05:50だいすきなひとには内心とことんめろめろになるしそれがある程度すなおにだだもれもするけど実際ほんとはもっとずっとこころのおくのやわらかいところまでうけいれてる かってにないて、ほしがって、さびしくもなるけど、すごくわがままに幸せにもなってる 恋はわたしのひかりかがやくエル・ドラード
2012-05-16 22:05:50欠けたモノは何だっただろう 大事な何かを忘れてしまった そんな儚い感傷だけが残って 望みも願いも消えてしまいそう 夜の闇にだれかが囁いた気がした 「君の心を探しに行こう」 目指すは果てなき地平 その名はエル・ドラード
2012-05-16 22:05:51着飾るためのジュエリーも、虚勢のためのブランドも、自己のためのプライドも、未来のためのライトも、本当はは必要じゃない。本当に必要なのは、こんな見せ掛けの輝きじゃない。あぁ、こんなに近くにあったのね。私だけのエル・ドラード。
2012-05-16 22:06:38夢から遠ざかる。 何でもあった。失ったものも、得たいと願うものも、すべてすべて。 それでも容赦なく現実に引き戻される。 流れた一滴が太陽に反射して金色に光ったのも気付かず彼女は嘆く。 どうして目覚めてしまうの。ずっといられたならどんなにか。わたくしのエル・ドラード。
2012-05-16 22:06:45閉塞した社会を打ち破る夢の国か救いの場所か、はたまた増大するエントロピー軽減のための世界な狡猾な罠か。我先にと乗り込んだ幾多の先人が屍さらして倒れ、その上を乗り越え追い続けるのは欲望を刺激されるから?そいつが現れる度僕らは成長して来れたからかもしれない。繁栄と犠牲とエル・ドラード
2012-05-16 22:07:22銀色でよかったんだ 魂魄に響く青になりたいよ モルモットみたいな目をしたあの子に笑ってほしい 純金なんていらないんだ 果てなき涙でみえないエル・ドラード
2012-05-16 22:08:10