ザ・マン・フー・カムズ・トゥ・スラム・ザ・リジグネイション #2

翻訳チームによるサイバーパンク・ニンジャ活劇小説「ニンジャスレイヤー」リアルタイム翻訳 (原作:Bradley Bond-san & Philip Ninj@ Morzez-san) ニンジャスレイヤー公式ファンサイト「ネオサイタマ電脳IRC空間」 http://d.hatena.ne.jp/NinjaHeads/ 続きを読む
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ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「君達のジツは特別な才能だ。他の者には無い力だ。約束されたものだよ」0100101「これからのギルドに是非とも必要な力だ」010110「よく励み……010110兄さん?」0100101011「……」22

2012-05-17 18:01:05
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……ディプロマットは覚醒した。弟の夢から。「……あいつめ……」彼はアグラを解かず、集中した。己のニンジャ第六感が夢から呼び覚ましたのだ。身に迫る何らかの異常を察知した可能性がある。彼は警戒する。ドージョーの壁には「不如帰」。 23

2012-05-17 18:06:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

双子のニンジャ、ディプロマットとアンバサダーは極めて感受性の強いニンジャだ。しかも重点的に訓練されている。キョートとネオサイタマ、離れた場所にお互いを置いていても、テレパスは届く。それが無線の混線めいて、今のような夢も見せる。テレパス。誰にも明かさぬ秘密のジツであった。24

2012-05-17 18:34:04
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

このテレパスは、ニンジャソウルがもたらしたポータル・ジツの副産物だ。双子はそう考えていた。ディプロマットとアンバサダーは、扉をつなぐ。キョートからネオサイタマ。おそらく日本の端から端程度であれば、問題なく届く。途方の無いジツだ。このジツが、ネオサイタマへの奇襲を実現させた。 25

2012-05-17 19:35:37
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ソウカイヤの首領ラオモト・カンの死を察知したアラクニッドのウラナイに従い、兼ねてよりネオサイタマに潜伏していたアンバサダーと、キョート城下のディプロマットはポータルを開通。多数のニンジャを送り込み、混乱下のソウカイヤを一夜で制圧した。電撃作戦だ。 26

2012-05-17 19:42:52
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ポータル通過者の三割は、その過程で、双子にも把握できぬ何らかの超自然現象に巻き込まれ、死ぬ。それを厭わず、アデプト、アプレンティスの下級位階者達が中心となって、死を賭しての突入作戦を展開した(上級位階者は翌日以降、主に空路で安全にネオサイタマ入りした)。27

2012-05-17 19:49:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

速さは、力。ラオモトが没してから、一時間と経たずに制圧が行われた。この速さが全てだ。指揮系統の混乱から回復する事かなわぬソウカイヤは、足元を掬われ、なす術なく敗北。双子のポータルあればこその勝利。当然、彼らは大殊勲を得た……しかし、双子の心は、空虚であったのだ。 28

2012-05-17 20:08:13
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ニューロンをヤスリで撫でられるような違和感が大きくなる。ディプロマットは立ち上がった。彼のこの庵は秘匿されている。訪れるのはパーガトリー、あるいはパラゴン、スローハンド……グランドマスター位階の重鎮ニンジャ達だ。だが、この痛痒を伴う感覚。知ったニンジャの接近では無い。 29

2012-05-17 20:22:06
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ディプロマットはドージョールームの入口のノーレンを見守る。予想していたよりもずっと早く、ずっと奥深くへ食い込んで来ている。彼のニンジャ第六感を出し抜いての侵入……。反対側にも戸口はある。だが彼は逃げなかった。彼は戸口に右手をかざし、左手を添えた……(来るがいい……) 30

2012-05-17 20:30:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ノーレンがはためく……「イヤーッ!」大柄な影が転がりながらドージョーへ飛び込んで来る!やはりクセモノ!そして速い!だがディプロマットは予期していたがゆえに、この速度の上手をゆく。「イヤーッ!」右手にカラテ集中!侵入者の行く手の空間が波打ち、丸く裂けた!怪奇! 31

2012-05-17 20:47:58
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ディプロマットの手が極度の集中で震える。攻性ポータルだ。アンバサダーの出口と繋がっていない、抜け道の無いダストシュート!すると虚無僧装束の侵入者はマグナム銃を握った両手を突き出し、空を撃つ!BBLLAAMM!!反動で身体を捻り、タタミを蹴って攻性ポータルを飛び越え、回避! 32

2012-05-17 20:53:59
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「……イヤーッ!」ディプロマットは攻性ポータルを閉じ、側転を繰り出す。BLAMBLAM!一瞬後、その位置を弾丸が通過!ディプロマットは側転からバックフリップ、着地と同時にオジギした!「ドーモ。ディプロマットです」虚無僧もほぼ同時に着地、オジギ!「ドーモ。ジャッジメントです」 33

2012-05-17 21:13:31
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ジャッジメント?」ディプロマットは無感情に言った。「……そのトバシ・ケンは使わんのか」「あいにく、トバシ・ケンは奥の手だ」ジャッジメントは答えた。ディプロマットは暗く笑った。「そうか。どうでもいいさ。私を殺しに来たのは、誰の差し金だ?」「……プロはベラベラ喋らんのだ」 34

2012-05-17 21:19:36
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「イヤーッ!」ディプロマットは両手をジャッジメントめがけ突き出す!「イヤーッ!」ジャッジメントは横に飛びながら2丁マグナムを発射!「イヤーッ!」だがディプロマットはここでポータルを盾めいて出現せしめる。さっきの動きはブラフだ!銃弾はポータルに吸い込まれ消失! 35

2012-05-17 21:28:41
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なッ……」「イヤーッ!」ジャッジメントにディプロマットの突進サイドキックがクリーンヒット!身体をくの字に曲げて吹き飛ぶ!ジャッジメントはタタミでウケミを取り、起き上がりながらマグナム銃を交差して構える。「……やるじゃねェか。情報と違う」「単にお前が弱いのかも知れんぞ」 36

2012-05-17 21:32:20
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「言うじゃねえか」「そのトバシ・ケンを脱いでかかってきたらどうだ。邪魔だろ」ディプロマットは挑発的に言った。「IRC盗聴は無い。少なくとも私の身体にはな。お前にも無い。……あれば、わかる」「何を言ってンだか、わからんな」ジャッジメントは答えた。ディプロマットは鼻を鳴らす。 37

2012-05-17 21:37:53
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「なかば軟禁状態の情けない身だが、私は詳しいんだ」ディプロマットは言った「ピストルカラテを使う指名手配の私立探偵がいた事を思い出したぞ。ガンスリンガーに殺されたと聞いている……ああ、そいつも死んだのだったな。それこそジャッジメントが殺したと」「……そうだ、アー、私が殺した」38

2012-05-17 21:45:30
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

ディプロマットは思わず噴き出す。「で、お前はどちらのユーレイだ、ピストルカラテ使い。私が当ててみるか、背格好で」「アー……」ジャッジメントは観念し、虚無僧帽を脱ぐ。「……これも取っていいか」バラクラバを引っ張る。ディプロマットは小首を傾げ、(ご自由に)とジェスチャーした。 39

2012-05-17 21:50:45
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「助かるぜ。暑苦しくてよ」ジャッジメントはバラクラバをスポンと脱いだ。そしてオジギした「……ドーモ、ディテクティヴです。別名タカギ・ガンドー」「で、何をしに来た?ディテクティヴ=サン。まだ、やるか」「アー……何をしに来たんだろうな。もう何でもいいぜ」彼はその場でアグラした。 40

2012-05-17 21:58:09
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「殺すかも知れんぞ」ディプロマットはガンドーへ掌を向けた。「ポータルを開いてな」「そンなら撃つだけさ」ガンドーの脇の下から、交差させた手が突き出し、ディプロマットへ銃口を向けている。「……ま、やる気が無いのなら、チャでも飲んでいけ。パブリックエナミー殿」「いいね」 41

2012-05-17 22:18:25
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

……十分後、二者は掛け軸ひとつ無い質素な茶室で互いに向かい合い、座っていた。美しいオイランが茶器と茶菓子を持ち来たり、無言でオジギして去った。ディプロマットは彼女が去ったのち、言った。「ナミダだ。舌を切除されている。この庵にはナミダと私しかいない……あれも、アワレな女さ」42

2012-05-17 22:34:19
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「そいつはまた……」ガンドーの言葉は尻すぼみに消えた。「どうした。ナミダが何か」「違う。何でまた、俺は暗殺対象とチャなんぞ飲もうとしてンのか……」「それは私も同じだ。もう一度訊くが、おまえは何をしに来た?ザイバツの敵が、何故か変装し、雇われて私を殺しに来た。わけがわからぬ」43

2012-05-17 22:41:47
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「それよ」ガンドーは茶菓子を掴み、口の中に放り込んだ。「俺はザイバツ・シャドーギルドに入りたいんだよ。手柄を立てて……」「ギルドをやれると、本気で考えているのか」ディプロマットは直截に言った。「……」ガンドーは黙って茶菓子を咀嚼する。 44

2012-05-17 22:52:07
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「ギルドの何を知っている。できるものか……できるわけが無い」ディプロマットは、やや声を荒げた。「徒労に終わるだけだ。そして終着に待つのは死か、死よりもおぞましい結末だぞ」「チャをくれ」ガンドーの目がギラリと光った。「……」ディプロマットはチャをたてた。 45

2012-05-17 22:58:24
ニンジャスレイヤー / Ninja Slayer @NJSLYR

「実際もう始めちまった」ガンドーは言った「やめる、やめないの話じゃねェよ……なァ、それよりお前だぜ」ガンドーはチャを一息に飲んだ。「お前にとって、ギルドってのは何だ」「……」ディプロマットは黙った。ガンドーは続けた。「お前は何を見ている……お前は、何だ?お互い腹を割ろうぜ」 46

2012-05-17 23:15:17