「津波が大都市を襲う ~その時何が 最新研究~」書き起こし・ほぼ完全版

5月18日放送のNHK「かんさい熱視線」を文字起こししています。 進行:野村優夫アナ ゲスト:室崎益輝(関西学院大学教授)
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とし @toshihiro36

<ナレーション> 津波が町に侵入すると、右側の道路では水が周囲に拡散するため、それほど速く流れません。一方、左側の道路では建物の間が水路のようになり、水がより速く流れます。

2012-05-19 11:01:32
とし @toshihiro36

今村:特にビルとビルの間の道路ですね、そこしか津波の行き場がないので…そこで集中して流れが加速してしまう。

2012-05-19 11:06:45
とし @toshihiro36

<ナレーション> ビルが隙間なく立ち並ぶ大阪の中心部。最も恐れられているシナリオは、多くの車が行き交う大通りで津波が加速することです。大量の車が瓦礫や自動販売機などとともに町の中を漂流、人や建物を襲い甚大な被害が発生します。

2012-05-19 11:11:45
とし @toshihiro36

<ナレーション> 今村さんは漂流物のリスクに備えるためには、まず大都市に津波がどのように浸水するのか詳細な分析が必要だといいます。

2012-05-19 11:14:51
とし @toshihiro36

今村:それぞれの町や都市は土地利用が違いますので、具体的にシュミレーションを実施しないと…流速の加速する場所ですとか、力が強いところは評価しくい。西日本の津波被害を考える場合は、大都市での津波の影響をしっかり評価しないといけないと思います。

2012-05-19 11:18:50

スタジオに戻ります

とし @toshihiro36

野村:スタジオには関西学院大学教授の室崎益輝さんにお越しいただきました。室崎さんは都市防災がご専門です。特に都市を地震や津波からどう守っていくのかということについて研究を重ねてらっしゃいます。漂流物が町を破壊する。また町に入ってから流れが加速する。大変な驚きだったんですけれども。

2012-05-19 11:26:27
とし @toshihiro36

野村:これもし大阪や兵庫の大都市を襲った場合、具体的にどんなことが起こりますか?

2012-05-19 11:29:31
とし @toshihiro36

室崎:まず1番目に指摘できることは、打撲によってけがをしたり亡くなる方が圧倒的に多くなると思うんですね。その最大の理由は漂流物がたくさん出るということです。

2012-05-19 11:41:32
とし @toshihiro36

室崎:自動車だけでも膨大な数ですし、そこにコンテナですとか瓦礫も押し寄せてきますし、あるいは自動販売機のようなもの…いろんなものが都会にはあるわけですね。全部凶器になってしまいますので、それが多いということ。それによる被害が大きくなってしまうということだと思うんですね。

2012-05-19 11:46:11
とし @toshihiro36

野村:じゃあ水がそんなに上まできていなくても、路上にいたりしたら大変なことになりますね。

2012-05-19 11:52:33
とし @toshihiro36

室崎:そうですね、それがぶつかってくれば人間はひとたまりもありませんし、建物だって壊れるかもしれないっていうのがありますよね。東日本大震災でも、わりと都会に似た女川町…鉄筋コンクリートの建物が立ち並ぶような状況だったんですが…そこに津波が来て、

2012-05-19 11:59:18
とし @toshihiro36

室崎:ビルの間で津波が加速して破壊力を増して、鉄筋コンクリートの建物がなぎ倒されるという状況が生まれています。そのことを考えると、大阪とか神戸に津波が入ってきたら、ビルとビルの間で津波は加速しますし高さも高くなるので、古い建物などはなぎ倒されるということだと思うんですね。

2012-05-19 12:04:17
とし @toshihiro36

野村:何をしなければいけませんか?

2012-05-19 12:53:43
とし @toshihiro36

室崎:この南海地震の場合は大阪・神戸は(津波到達まで)少し時間がありますので、まずは早めに避難することを心がける。津波の来ないところに素早く逃げるということだろうと思います。2番目はすぐに逃げられない場合、あるいは高齢者等すぐに逃げられない人は、安全なビルに逃げる。

2012-05-19 12:59:37
とし @toshihiro36

室崎:津波が来ても大丈夫なビルに逃げる。避難ビルという言葉が使われますけど、そういうところに逃げるということですね。ただその場合、(津波で)壊れるような建物に入ってはいけないし、容易に津波が来てしまうような(低い)建物でもダメだと思うんですね。

2012-05-19 13:05:59
とし @toshihiro36

野村:今の避難ビルというのは、そういった漂流物がぶつかって壊れるかもしれないということは想定されているんでしょうか?

2012-05-19 13:12:39
とし @toshihiro36

室崎:いえ、今まではまず津波が堤防を乗り越えないと思ってましたよね。それから津波の水は考えてましたけど、漂流物がどんどんぶつかるということは考えていなかったので、今まで検討できていないんですね。

2012-05-19 13:17:19
とし @toshihiro36

室崎:ですから、これから避難ビルというものを考えていこうとすると、津波のエネぎー・漂流物を含んだ津波の破壊力をしっかり検討して、壊れないような設計をするということが欠かせないと思います。これは行政がやらなければいけないことですね。

2012-05-19 13:21:44
とし @toshihiro36

野村:いまお話がありました通り、大阪市では避難場所として多くのビルを指定しているんです。ところが東日本大震災では建物に避難しましても、火災によって新しい危険にさらされるというケースがあったんです。

2012-05-19 13:25:54

VTRが流れます

とし @toshihiro36

<ナレーション> 東日本大震災で発生した津波火災。その数は146件に上りました。火災の原因の一つは自動車とみられています。電気系統が海水に浸かるとショートし発火することがあります。いったん発火すると燃料タンクから漏れたガソリンに引火して激しく燃える可能性があります。

2012-05-19 13:31:23
とし @toshihiro36

<ナレーション> 津波火災は避難場所も襲いました。宮城県石巻市の門脇町では火災が1週間にわたって続き、55人が焼死体で見つかりました。町の避難場所に指定されていた門脇小学校も全焼しました。あの日、住民たちは地震の直後から小学校に避難を始めました。

2012-05-19 13:37:36