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冒頭のVTR
<ナレーション> 人口270万の大阪市、将来ここを高さ6mの津波が襲うともいわれています。津波が大都市を襲うとき何が起きるのか。最新の研究でその姿が明らかになってきました。
2012-05-19 09:02:38<ナレーション> 東日本大震災では車やコンテナなどの漂流物が、人や建物を襲いました。研究者はこの漂流物による被害は、大都市ほど拡大しやすいといいます。町の中に入り込んだ津波は立ち並ぶビルによって加速、大量の漂流物を押し流します。
2012-05-19 09:07:41<ナレーション> 東日本大震災で多発した津波火災。大都市ではさらに規模が拡大する恐れがあります。流された車がビルに衝突、そこで火災が発生するのです。大都市を襲う津波の脅威、私たちはどのように備えればいいのでしょうか。
2012-05-19 09:12:16ここからスタジオです
野村:東日本大震災以降、巨大地震による津波の想定が大きく見直されました。太平洋沿岸の南海トラフで発生する地震によって、大阪府や兵庫県にはこれまでの想定の2倍、最大6mの津波が押し寄せるとされています。大阪や兵庫に津波が到達するのは、地震発生からおよそ2時間後です。
2012-05-19 09:19:02野村:これはその津波による浸水想定エリアです。大阪市や堺市、神戸市など広い範囲が浸水します。梅田や難波も含まれています。この浸水エリアに住んでいる人だけでもおよそ200万人、日中はさらに人口が増えます。大都市を津波が襲うという未曽有の事態が発生します。
2012-05-19 09:24:18野村:こうした地域には、東北を襲ったような10mを超えるような津波が襲うことは想定されていません。ところが都市に潜む特有の危険によって、被害が拡大する恐れのあることが最新の研究によってわかってきました。その一つが漂流物です。
2012-05-19 09:28:43野村:東北3県では23万台の車が流されるなど、町中にあるさまざまなものが凶器となって被害を拡大させました。この漂流物による被害、大都市の方が大きくなると懸念されています。はたして漂流物はどのようにして津波の被害を拡大させるのか。
2012-05-19 09:37:59VTRが流れます
<ナレーション> 東日本大震災ではさまざまな漂流物が被害を拡大させました。重さ1トンの自動車、津波とともに流れ込む大量の瓦礫…警察によると死因の5%近くが、物に挟まれたり打ちつけられたりしたものでした。漂流物があると津波の破壊力は3倍になることが、研究から明らかにいなっています。
2012-05-19 09:45:06<ナレーション> 宮城県石巻市に住む横山毅さん。自宅で高さ2m弱の津波に襲われ、妻を亡くしました。庭に面した窓は特殊な強化ガラスが使われていました。こちらは津波が来ても割れませんでしたが、こちらのガラスは流れてきた車がぶつかり割れてしまいました。
2012-05-19 09:50:46<ナレーション> そのとき横山さんは1階で妻のあきこさんと、地震で倒れた家具を片づけていました。気がついた時には割れた窓から瓦礫が流れ込み、あっという間にあきこさんを呑み込んでしまいました。
2012-05-19 09:55:24横山:車が入ってきた。瓦礫だの丸太だの家具・家の壁みたいなもの…いっぱい入ってきた。窓2枚壊されたぐらいで、よく入ってくるなというくらい入ってきた。(妻を)守ってやれなかった。
2012-05-19 09:59:59<ナレーション> 漂流物による被害は、大阪のような大都市ほど拡大するとみられています。関西大学の石垣泰輔さん、都市水害を研究しています。大都市には津波で漂流して凶器となるものが増えているといいます。
2012-05-19 10:22:21<ナレーション> 街角にある自動販売機、大阪市内に61万台ある車、店の看板、郵便ポストも支柱が折れて流される恐れがあるといいます。大阪を襲うのは、東北のような巨大津波ではないとされています。しかし石垣さんは、小さな津波でも人の命にかかわると指摘します。
2012-05-19 10:26:29<ナレーション> 模型の車を使った実験を行い、実際の車がどのような津波で動き出すか分析しました。その結果、水の流れる速さが津波としては比較的遅い秒速1mでも、水の高さが50cmになれば車は動きはじめることがわかりました。車はいったん動きはじめると凶器になります。
2012-05-19 10:32:32石垣:流されるとコントロールできなくて、流れに沿って(漂流して)いきます。そういうものがぶつかってくるとなると、人が路上にいるということは非常に危険になりますね。
2012-05-19 10:35:43<ナレーション> 漂流物を凶器に変える水の流れ。都市では整備された道路や立ち並ぶビルが、津波の破壊力をさらに大きなものにします。都市を襲う津波のシュミレーションをしている東北大学の今村文彦さん。都市部では津波が突然加速するといいます。
2012-05-19 10:42:35<ナレーション> 西日本にある人口30万の都市でシュミレーションしました。青で示した所は津波の流れが秒速1m以下です。しかし水が町に流れ込むと、津波の色は黄緑色に変わります。ここでは秒速2m、周囲に比べて倍以上に加速しています。都市部では津波は幅の広い通りに集中する傾向がある。
2012-05-19 10:50:00<ナレーション> 津波の破壊力は速さの2乗(に比例する)、ここでは4倍になります。さらに都市には津波が加速しやすい条件があります。都市を再現した模型による実験です。画面左の道路沿いには赤や青色の建物が密集して建っています。その右側の道路沿いには建物はまばらです。
2012-05-19 10:57:14