ＮＨＫ・ドキュメンタリーウェーブ「シェールオイルを掘りおこせ～新たな石油鉱床の衝撃～」書き起こし・ほぼ完全版

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ランキン：掘削の地域は１マイル四方を１区画として、ここでは２つの区画で構成されています。ここがいま我々がいる地点、ここを起点に４か所を一斉に掘るのです。まずは南に３キロ２本のドリルで水平に掘削していきます。そして１本当たり４００か所でフラッキングを行います。

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ランキン：私たちは南北に６キロの掘削ライセンスを持っていますから。

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＜ナレーション＞　広大な土地にたった１本の掘削タワーだけが見えるこの風景、実はその地下に南北６キロにわたって掘削パイプが伸びているのです。従来の工法ではタワー６０本分の広範囲な油田の開発が、１本のタワーでカバーできる計算です。

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＜ナレーション＞　シェール層は隣接するモンタナ州やコロラド州、カナダにも広がる広大な石油の海です。アメリカ地質調査局は最近のリポートで、バッケン油田の埋蔵量を４０億バレルと推定。

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＜ナレーション＞　この１年の開発でノースダコタ州の石油産出量は、アラスカ・カリフォルニアを抜いてテキサスに次ぐ全米第２位に躍り出たのです。　

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＜ナレーション＞　ニューヨーク、４月半ばタイムズスクエアにあるナスダック証券取引所に、アメリカの中小の石油会社のＣＥＯたちが集まっていました。シェールオイル開発を推し進める石油会社各社は、いまニューヨーク証券取引所に上場を果たし、さらなる投資を呼び込もうとしています。

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＜ナレーション＞　シェールオイルの開発を可能とした高度な掘削技術は、彼らにとって大きな武器となっています。　ナスダックでのセレモニーに合わせマンハッタンの高級ホテルでは、アメリカ独立系石油連盟が主催するシンポジウムが３日間にわたって開かれていました。

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＜ナレーション＞　低迷するアメリカ経済を復活させる起爆剤として、熱い期待を集める石油・ガス業界。加盟する２００の石油会社をはじめ、投資会社やアナリストなどおよそ２０００人が参加しました。

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＜ナレーション＞　石油会社は事業内容や計画などをシンポジウムで説明し、ウォールストリートの投機筋や広く内外からの投資を募るのが目的です。

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投資家：今はこの業界に資金がどんどん流れ込んでいる。小さな石油会社に投資すると、一基に急成長し何倍もの利益になる。投資家にとっては刺激的ですよ。

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石油アナリスト：多くの石油会社が黒字経営で、収支はすべて上昇傾向。投資を得れば、より多く労働者を雇用し設備投資も行える。１５年以上もこの業界を見てきて、これだけの活気は初めてです。

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＜ナレーション＞　シンポジウムにはコーディアック社のＣＥＯリー・ピーターソンの姿もありました。国内だけでなく、海外からの投資に期待を寄せています。

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ピーターソン：バッケンの掘削地域のほとんどは、すでに私たちが権利を獲得しています。もう後から参入する余地はありません。今後開発には莫大な資金が必要になるでしょうが、確実に順調に実績を残していけば、石油メジャーなどより多く資本を持つところを私たちのもとに呼び込むことができます。

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＜ナレーション＞　シェールオイルの開発はアメリカ国内にとどまらず、世界のエネルギー地図を大きく塗り替える可能性を秘めています。シェール層は北米大陸のみならず、世界中に広がっているからです。南米・ヨーロッパそして中国、世界中がこの新技術を自国の石油開発に取り込もうと注目している。

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ピーターソン：わが社はこれまでにも国際的な事業をしてきました。海外の資源開発で、我々の知識を生かすチャンスを常に探しています。いま多くに引き合いが海外から舞い込んでいます。我々の経験と技術が求められています。

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ピーターソン：例えば中国などは自国に豊富なシェール層が発見されていますが、それを開発する技術と人材はまだまだです。もう少し時間がかかるかもしれませんが、事態はすべて我々が考えている方向で進んでいます。

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＜ナレーション＞　シェールオイルの開発はアメリカに何をもたらすのか。去年９月、オバマ政権の求めでアメリカ国家査問委員会は驚くべき報告書を提出しました。「北米大陸における豊富な石油・天然ガス資源の可能性」革新的なテクノロジーが膨大な石油とガスを解放した。

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＜ナレーション＞　おそらく多くの人々を驚かせるのは、アメリカの石油資源がこれまで考えられていた以上に膨大だということだ。　レポートではカナダを含む北米大陸の原油生産量は、これまでの石油にシェールオイルを加えると、２０３５年に日量で２２００万バレルを超えると推定しています。

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＜ナレーション＞　これは現在の産油だか１位のロシア、２位のサウジアラビアの合計を上回る驚異的な数字でした。アメリカが近い将来原油産出の超大国になるというニュースは世界を駆け抜け、各国の担当者や石油会社を驚かせました。４０年あまりで枯渇するとされたアメリカの石油資源。

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＜ナレーション＞　そのピーク説を根底から覆すシェールオイルの可能性。リポートは最後にこう結ばれていなす。「石油・天然ガス産業はアメリカ経済の活性化、数百万人の雇用の創出に不可欠な存在。政府に膨大な利益をもたらす。」

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オバマ大統領：エネルギーの安全保障を強化する最高の機会が、我々の裏庭にあった。アメリカの世界に誇る資源とは、他のいかなる国も追随を許さないアメリカ人の技術・ノウハウだ。エネルギーの②来を掌握するために、この政策を推し進める。

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＜ナレーション＞　ところがシェールオイル開発とはうらはらに、なぜか原油価格は高騰を続けています。原油価格は２００８年に１バレル１４７ドルの最高値を記録しました。その後リーマンショックなどで３０ドル台にまで暴落しますが、徐々に値を戻し現在は１００ドル前後で高止まりを続けています。

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＜ナレーション＞　庶民の生活を圧迫するほどの原油価格の高騰。９０年代には１ガロン１ドル台だったガソリン価格は、最近では４ドルを超えています。