WHOによる原発事故報告の報道が、ロイターズ(①日本語版 ②英語版)、③日本の共同通信で内容が違いすぎる件。
朝日新聞 2012年5月23日
『原発事故の住民被曝、最高50ミリSv WHO全国推計』(大岩ゆり記者)
東京電力福島第一原発事故による国内外の外部、内部被曝(ひばく)線量の推計結果を、世界保健機関(WHO)が23日公表した。全身の被曝線量は、原発に近い福島県浪江町などの住民は10~50ミリ、それ以外の福島県は1~10ミリ、千葉県や茨城県などの近隣5県は0.1~10ミリ、東京都、大阪府など他の国内地域は0.1~1ミリシーベルトだった。
近隣県や東京など日本全国や国外も含めた大規模な被曝実態の推計は初めて。
がんの死亡リスクが高まるとされる100ミリシーベルト以上の全身被曝が想定された地区はなかった。甲状腺被曝は最高が浪江町の乳児で100~200ミリシーベルト。甲状腺がんが多発したチェルノブイリの原発事故による避難民の平均490ミリシーベルトは下回った。
推計に使ったデータは、主に昨年9月までに日本政府が公表した大気や土壌、食品や飲料水などの放射性物質の濃度などで、土壌由来や呼吸による吸入、食事による被曝を考慮した。
外部被曝では1日16時間は室内にいたと想定し、呼吸による内部被曝は24時間屋外にいたと仮定。原発から20~30キロ圏内の住民は事故後4カ月、地元に住み続けたと想定した。WHOとして予防原則を重視し、実態より少ない評価にならないよう推計した。
浪江町や飯舘村の住民の全身被曝線量は事故後4カ月間で全年齢で10~50、葛尾村は同1~10、それ以外の福島県民は全年齢で年間1~10、宮城、栃木、群馬、茨城、千葉の近隣5県は同0.1~10、東京など近隣県以外の日本各地は同0.1~1ミリシーベルトだった。大阪府など原発から離れた地域もこの幅と推計した。100ミリシーベルト以下の被曝による明らかな健康影響は報告されていないが、通常時の一般人の線量限度は年間1ミリシーベルトとされている。数字は、各地区の住民が被曝した可能性の高い線量の幅。全住民の線量がその範囲内に入るわけではない。
一方、甲状腺被曝は、最も影響を受けやすい乳児は、浪江町で100~200(事故後4カ月間)、それ以外の福島県が年10~100(飯舘・葛尾村のみ4カ月間)、近隣県を含めた福島以外の日本が年1~10ミリシーベルト。
WHOは、この推計値から健康影響を評価し、夏までに報告書を出す。WHOの報告書は、チェルノブイリなど原発事故ごとに国連が出す報告書の土台になる。(大岩ゆり)
Comments
.@Todaidon さんの「WHOによる原発事故報告の報道が、ロイターズ(①日本語版 ②英語版)、③日本の共同通信で内容が違いすぎる件。」をお気に入りにしました。分かりやすい訳つき。 http://t.co/SQYm78bm
2012-05-25 06:28:13【WHOによる原発事故報告の報道が、ロイターズ(①日本語版 ②英語版)、③日本の共同通信で内容が違いすぎる件。】 http://t.co/aX6BDVLp これは面白い。良いまとめ(というかレポート)。ロイター英文記事の和訳もありがたい。海外の人は英文記事を読んでいるのだし。
2012-05-25 07:34:00@costarica0012 @Todaidon 通信社に解釈は望んでいない。報告はそのまま全て載せるべき。(翻訳のレベルの差はやむをえないが)取捨選択や解釈はそれを受け取ったマスコミの仕事。http://t.co/su6XjTog
2012-05-25 13:55:31RT @togetter_jp: .@Todaidonさんの「WHOによる原発事故報告の報道が、ロイターズ(①日本語版 ②英語版)、③日本の共同通信で内容が違いす..」に注目中〜。じわじわきてるねっ! http://t.co/p6LMvmwp
2012-05-25 07:19:08国内の事故の情報が外国語でしか入手できないのは、奥床しい?国民性からして当然?かも。 @Todaidon さんの「WHOによる原発事故報告の報道が、ロイターズ(①日本語版 ②英語版)、③日本の共同通信で内容が違いすぎ.. http://t.co/tUOQn3sr
2012-05-28 03:08:10