原発事故の健康への影響と求められる取り組み(こどもたちを放射能から守る科学者ネットワーク)

こどもたちを放射能から守る科学者ネットワーク http://www.facebook.com/ScientistsForChildren
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Kenji Saito @ks91020

【「こどもたちを放射能から守る科学者ネットワーク」パンフレット】“原発事故の健康への影響と求められる取り組み”の公開について http://t.co/og9jAIEi

2012-05-28 15:34:41
「こども科学者」ネットワーク @sci4chi

【パンフレット】“原発事故の健康への影響と求められる取り組み”の公開について http://t.co/8gUabnZf

2012-05-28 12:23:28
「こども科学者」ネットワーク @sci4chi

【パンフレット】“原発事故の健康への影響と求められる取り組み” version 1.1 を公開しました。 http://t.co/vFmf057B

2012-06-04 12:06:30
「こども科学者」ネットワーク @sci4chi

【パンフレット】“原発事故の健康への影響と求められる取り組み” version 1.2 を公開しました。 http://t.co/MEqfcUMJ

2012-06-08 11:19:47

本パンフレットにつきまして印刷・頒布等に許諾等は不要ですので、ご自由に再配布等なさってください。ただし、その際には内容の改変等はなさらないでください。また、今後適宜改定を行いますので、できるだけ最新版をご利用いただくようお願い申し上げます。

Q1. 放射線被ばくの健康への影響は?
A1. 健康影響は被ばく線量に比例します
ICRPが放射線防護のために採用する線形いき値無しモデルで評価した影響が一つの目安です。それによると、がん死と発がん、遺伝的影響のリスクは被爆線量に比例して上昇し、累積100mSvの被ばくに対し、全人口でがんで死亡する確率は0.55%(10mSvなら1/10の0.055%)、発がん確率はその倍、遺伝子疾患の発生率は0.02%上昇すると評価されます。

Q2. 安全な被ばくのレベルは?
A2. 絶対的に安全なレベルはありません
放射線被ばくに絶対的に安全なレベルはありません。ある人には容易に受け入れられる線量率、たとえば5mSv/年も、別の人には受け入れがたいでしょう。そのどちらの判断にも優劣はなく、許容可能なレベルを個人が持つ価値観などにしたがって判断するしかありません。どのような状況(家族構成、経済状況・・・)にあり、どのような被ばく対策が可能か、などを考慮して、A1. で示した目安などを参考に、ご家族で健康リスクが高い方に優先的に配慮した判断をなさることをお勧めします。

Q3. 内部被ばく(呼吸や飲食を通じた被ばく)にはどのくらい注意すべき?
A3. より慎重に対応してください
当ネットワークは、内部被ばくのリスク、とくにがん以外の健康リスクについては、データの制約により科学的に十分な検証はできていないと判断しました。このことは、Sv単位の被ばく線量で表されるICRPの内部被ばくのリスク評価に修正を要することを必ずしも意味しません。ただし、評価が修正される可能性も見込んでより慎重な態度を取るべきと考えます。したがって、摂取量の多い主食や相対的に汚染の度合いの高い食品(たとえば、きのこ、山菜、川魚など)については、測定済みの食品を取るなど気をつけてください。また、自家消費が多い生産者は生産物の測定を実施してください。

Q4. 健康リスクは老若男女で一律なの?
A4. 感受性の高い胎児・乳幼児に配慮してください
放射線による健康リスクが高い集団が存在します。ICRPは、こども、妊婦、授乳中の女性などを放射線に対して潜在的に「感受性の高い」集団(影響を受けやすい集団)と位置づけ、放射線防護における複数の局面で特別な配慮や注意を求めています。また、こどもには大人の2〜5倍ほどの健康影響があるとされていますので、その点を十分考慮してください。

Q5. 被ばく対策で気をつけることはなに?
A5. 被ばく対策はみんなで決めるものです
ICRPは、被ばく対策の決定に住民を含む主要な関係者の利害が反映されること、その対策の目標値を決める際にも住民の意見に配慮することを勧めています。目標・対策・方針は住民や行政を含めみんなで決めるものなのです。大変なことと推察しますが、ぜひ意思決定にご参加ください。
除染には知識が大切です
除染には、状況により効果があまり期待できない場合や危険を伴うこともあります。専門家に任せるか、自ら行う場合には知識とアドバイスを専門家から得て実施してください。

Q6. (一時的)避難をしたくともできないのです!
A6. 避難を支援するNPO・自治体があります
避難を支援する複数の地方自治体やNPOにコンタクトするという手段があります。残念ながら政府は20mSv/年以下の地域には避難という選択肢を実質提供していません。ICRPが参照を勧めるベラルーシ政府と対応が異なります。この点は政府に強く訴えることが必要です。当ネットワークは、今後も避難の権利の保証を政府に強く要望していきます。

Q7. 未来のこどもたちへの影響は?
A7. 遺伝的影響はあるとされていますが、将来の妊娠について過度には心配なさらないでください
遺伝的影響を心配なさる方は多いのではないかと思います。ICRPのモデルによると累積100mSvの被ばくで0.02%、10mSvでは0.002%、遺伝子疾患の発生率が上昇すると評価されています。この数字を恐ろしく感じる方も当然いらっしゃるでしょう。しかし、数字の受け取り方に正解はないとはいえ、他の関連する数値(たとえば、遺伝子疾患の自然発生率は約10%)をご確認の上で、この数字を判断されることをお勧めします。

Q8. 事故前にはなかった不安や不調があるけれどおかしい?
A8. ストレスや不安を感じることは珍しいことではありません
直感的に把握できない、目に見えないリスクに対して不安を感じることは珍しくはありません。チェルノブイリ事故の結果、線量率にかかわらず住民が不安やストレスを感じていること、さらに医学的には原因不明の身体的不調が増えたことを国際機関が確認しました。その原因が被ばくにあるとは科学的に認められていませんが、事故の明らかな影響であるとされています。周囲や第三者も含めてこの不安や不調の存在を無理に否定しないようにすべきです。
ストレスから来る生活習慣の変化には気をつけてください
なお、チェルノブイリ事故では、概ね不安や不調は病気と診断されるレベルに至りませんでしたが、そのストレスから生活習慣が悪い方向に変わり(たとえば、喫煙や飲酒の増加)、体を壊すことにもつながりました。体調管理に気をつけ、ご心配であれば信頼できる医師への相談をお勧めします。

担当 調 麻佐志先生(東京工業大学)