ＮＨＫスペシャル「コンピューター革命　最強×最速の頭脳誕生」書き起こし　#nhk

とし @toshihiro36

オウデ医師：ワトソンは何百人もの医師が頭を寄せ合っているのと同じことを、一人で考えて最善の処方を出してくるんです。

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患者：じゃあ言い方が失礼ですが、どんなヤブ医者でもワトソンにアクセスすれば、最高の名医になれるんですね。

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<ナレーション>　言葉を理解し、人間のように考えるコンピューター。日本でも研究が始まっています。東大入試に挑戦するコンピューターです。高度な論理的思考力を問う東大入試。

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<ナレーション>　コンピューターがそれを解けるようになれば、知的な作業はコンピューターが行い、人間はサポート役という逆転現象が起こりかねないとリーダーの新井教授は予想します。完成目標は８年後の２０２０年です。

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国立情報科学研究所・新井教授：例えば今は東大入試を目指していますけれども、センター入試というのはとてもイラストが頻出するんですね。そうするとロボットは高度な数式処理をやって、人はイラストに何が描いてあるかを判断する。

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新井教授：そういう判断を人間に、非常に低賃金でさせる。人間はどういう仕事をしていくのかということが、新たにデザインされる時期がこの１０年間のうちに起こってくるんだろうなと。

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<ナレーション>　爆発的な計算能力、そして知性まで獲得しようとするコンピューター。将来、人間の道具という役割を超え、コンピューターが独り歩きすることはないのか。その不安がすでに現実になった世界があります。それは金融です。サンフランシスコ郊外にあるヘッジファンド。

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<ナレーション>　ここで取引の判断を行っているのは、人間ではなく人工知能コンピューターです。

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社員：今日は５５万ドルの利益が出ています。まあ良い調子です。私たちは何もしません。コンピューターはいつどんな注文を出せばベストなのか知ってますので、私は頭を悩ませずに済みます。私たちの生んだ自慢の子供というより、大親分のようなものです。

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<ナレーション>　取引の判断をしているのが、この大型コンピューター。ワトソンと同じ機械学習をしています。過去１０年分の株価変動のパターンから、どんな相場展開でも利益を上げるシナリオを導きます。

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ハリトノフ社長：記入の膨大な情報を瞬時に処理することは、人間の脳には到底不可能なことです。我々はコンピューターにしかできないことをやろうとしています。

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<ナレーション>　金融取引はいまや１０００分の１秒単位という超高速化の時代です。もはや人間の頭脳はついていけず、７割をコンピューターが判断しているといわれています。２０１０年５月６日ウォール街を震え上がらせる事件が起きました。ニューヨーク市場の平均株価が、何の前触れもなく急落。

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<ナレーション>　１０分たらずのうちに吹き飛んだ時価総額は、実に８６兆円分。後に FLASH CRASH 瞬間暴落と呼ばれるようになった異常現象です。FLASH CRASH のさなかに飛び交っていた注文を、１０００分の１秒単位で記録したデータがあります。

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<ナレーション>　この会社の株は、わずか４秒で９９％も急落していました。１４時４７分５０秒すぎには、２６ドル台で取引が成立していました。しかし０．１秒後、何者かがなぜか１４ドル台という買い注文を出します。相場から大きくかけ離れた値段。注文が成立しない限り意味は持たないはずでした。

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<ナレーション>　しかしそのまた０．６秒後、これまたなぜか先ほどの注文に応じる相手が現れました。これを機に、相場では雪崩をうって安値を競う注文の連鎖が始まります。生身のトレーダーが売り買いしていれば異常さに気がつくはずですが、コンピューターの判断材料は冷徹な数字だけ。

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<ナレーション>　２６ドルだった株価は１セントまで下落しました。この間わずか４秒でした。

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市場分析会社・ハンセイダー：コンピューター同士は互いに駆け引きを行っています。密接に影響し合っています。おそらく数千のコンピューターが数千の取引を巻き込んで、転げ落ちたんです。それも一瞬の間に。もし次に同じことが起きたら、そのスピードはさらに加速するでしょう。

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<ナレーション>　ひとつのコンピューターが出した不可解な指示に他のコンピューターが呼応し、まるでモンスターのような巨大な連鎖を生みました。FLASH CLASH はその後、小さなものも含めると数百回起こっています。

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<ナレーション>　世界最速の頭脳「京」、いまや創造主の領域にまで踏み込もうとしています。「京」を開発した富士通では、ある研究を始めました。バーチャル心臓です。

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富士通・門岡：これは人間の心臓をコンピューターの中で再現したものなんです。ただ再現とはいってもＣＧではなくて、人間のさまざまな生理学現象をコンピューターの中に入れこんで再現したものなんです。

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<ナレーション>　まず胸部のＣＴ画像を何枚も重ね合わせ、そこから心臓の形を抽出します。そこに筋肉の強さや血液の量やスピードなど、心臓が動くのに必要なデータを入力します。心臓１拍分に必要なデータは５億。

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<ナレーション>　「京」を使えば本物そのものの心臓をコンピューター上で動かし、生命と死のメカニズムを調べつくすことが可能となります。東京大学ではこのバーチャル心臓を、心筋梗塞や心不全などの治療に役立てる研究を進めています。