跡もえ馴れ初め

@k5xm0e

跡「やっと起きたか。もう昼だぞ」　も「けーご」　ぎゅっ　跡「どうした？」　も「夢見た」　跡「夢？」　も「ん。不良少女って久しぶりにけーごに言われた」　跡「そうか」　も「わたし、幸せだよ。ありがとうね」　跡「変な奴」　も「ひふ」　#跡もえ　

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わたしは子供みたいに泣いた。坊ちゃん、跡部はそんなわたしを抱きしめて頭を撫でて一晩中付き合ってくれた。たったひとりの人が痛みをわかちあおうとしてくれる。それがこんなにも幸せだなんて。わたしは知らなかった。恋とかそういうのよく解らないけどこの人を離したくないって思った。　#跡もえ　

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跡「確かに俺にはお前の痛みも苦しみも、解ってはやれねえし、代わってもやれねえ。でもな、お前は１人じゃねえ。俺が、居る。世界中のみんなが敵になったとしても、俺はお前の味方だ。お前の苦しみを一緒に背負ってやる」　も「～っ！」　跡「泣いて、いいんだぞ」　#跡もえ

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も「でも、解るはずがないんだよ。この痛みは傷はわたしだけのものだから。誰にも解ってなんかもらえないんだよ」　跡「（ああ、どうして。こんな小さく震えて泣いてる七瀬が、愛おしい）」　ぎゅっ　も「！」　跡「今まで１人でよく頑張ったな。寂しかっただろ？」　も「……！」　#跡もえ

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も「わたしがお母さんに似てるのはどうしようもないことなのに」　跡「父親は？」　も「もっと上手くやってくれって、頼まれちゃった」　跡「…」　も「わたし、消えてしまいたい」　跡「！」　も「でも消えたくない。だってほんとは誰かに愛してもらいたくて、誰かに解ってもらいたいから」　#跡もえ

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も「だけどなかなか新しいお母さんとは上手く行かなくて」　跡「それでぐれたのか？」　も「うん。わたし、死んだお母さんにそっくりなの。年々、お母さんの写真に似てくんだ。だから、新しいお母さんからしたら目障りなんだと思う。わたしがそこに居るだけで気分害するって」　跡「！」　#跡もえ

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も「でもお父さん、あんまり構ってくれなくて。わたし、独りぼっちだった。愛して欲しくて、構って欲しくて。いい子になれば愛してもらえると思ったからわたし優等生必死でやってた。中２になってすぐ、お父さんが再婚したの。凄く綺麗な人。わたし嬉しかった。お母さんができる！って」　#跡もえ　

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も「わたしね。わたしっ！」　跡「ゆっくりでいい。思ってること吐き出せ」　も「！」　その優しさに小さく深呼吸して、涙を拭いた。　も「わたしのお母さん、わたしを生んで死んじゃったの。だからわたしお母さんを知らないんだ」　跡「ああ」　も「それからはお父さんと２人きり」　#跡もえ　

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跡「飲め、ハーブティだ。温まるぞ」　も「……ありがとう」　跡「（捨てられた猫みてえだな）」　も「（温かい。どうしよう、また涙でる）」　ポロポロ　跡「大丈夫か」　くしゃり　も「！（大きな手。わたしなんかに、差し伸べてくれるなんて）」　跡「泣きたい時は泣け」　も「……っ！」　#跡もえ

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も「（凄いお風呂。マーライオンいる。わたし、何やってんだろ。ていうかあいつ何でわたしに構うの？あんな酷い事言ったのに。訳、わかんない。とりあえず上がろう）」　お風呂を出て案内されたのはまたまた豪華な部屋。住む世界が違う人。改めて坊ちゃんは坊ちゃんなんだって認識した。　#跡もえ　

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跡「おいっ」　ぐいっ　も「！」　跡「大丈夫か」　も「ほっといて、よ！」　跡「ほっとけるか！来い」　ピッ　跡「ああ俺だ。ああ、車を頼む。それから風呂の支度を」　も「やっ……！」　跡「黙ってついてこい！」　#跡もえ

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あれから七瀬にどんな顔をして会えばいいのか解らなくて、会いに行かないまま日が過ぎていく。どうすればいいのかも解らず、なんとなくふらりと訪れたあの公園。初めて七瀬と喋ったその公園に行くと七瀬がいた。どしゃぶりの雨の中、傘もささずに、泣いていた。　#跡もえ

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ぽつりぽつり、降り出した雨。　も「まじウケる」　あそこはわたしの家だったのに。お父さんと、わたしと死んだ母親の家。　も「（泣くな、泣くな、泣くな）」　それなのに。　も「……………っ」　#跡もえ

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母「あら、あんた生きてたの？」　も「！」　母「どっかで死んだかと思ったのに、残念」　も「悪かったわね、生きてて」　母「ほんと、あんたってそこに居るだけで不快にするわよね。出てって」　も「は？」　母「ここは私と洋さんとお腹の中の子の家よ。あんたの居場所はない」　も「！」　#跡もえ

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それからわたしは学校にも家にも行かずフラフラした。ゲーセンとかで仲良くなった子の家に泊めてもらったり神奈川に住む幼なじみに助けてもらったりした。坊ちゃんはあれだけしつこかったのに、わたしを探している素振りはないようだ。もう学校も止めてしまおう。そう心に決めて家に帰った。　#跡もえ

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跡「七瀬？」　も「うるさい！うるさい！うるさい！」　跡「な！（泣いて…！）」　も「もうウンザリ！わたしに構わないで！あんたなんか知らない。学校ももう来ない！あんたの顔見たくなんかない！少しでも期待したわたしが馬鹿だった！」　跡「待て！」　も「離して！」　跡「痛、おい！」　#跡もえ

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跡「七瀬、こんなとこに居やがったのか」　お前のせいだ。わかってる。ただの八つ当たり。　跡「七瀬？」　だけど止まらなかった。　跡「おい、不良少女」　パシっ　も「触んないでくれるかな」　跡「？」　も「あんたに話しかけられると反感買うの。話しかけて来ないで」　#跡もえ

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も「その綺麗なお顔、ぐっちゃぐちゃにされたくなかったら今すぐ消えろ」　「！」「い、行きましょう」「え、ええ！」　パタパタパタパタ　も「（泣くな、わたし）」　耳にこだまする、複数の女の声。ぐるぐる回る世界。気持ち悪い。消えてしまいたくなる。　#跡もえ

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「ちょっと！」「跡部様の迷惑なの解ってる訳？」「なんであんたみたいなのが」「あんたが居るだけで皆が傷つくのよ！」　も「！」　ぷっつん　も「うるさいうるさいうるさいうるさい！」　ガシャン　「ちょっと！」「ぼ、暴力はやめなさいよ」　も「はあ？」　ビクｯ　#跡もえ

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それからわたしは２日に１日は坊ちゃんに付き合って学校に行くようになった。ま、保健室登校なんだけど。２日に１日が毎日になりかけてたある日、事件が起きた。わたしのやる気を根こそぎ奪うような、そんな事件。　#跡もえ

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跡「七瀬、朝だ！学校だ！不良少女、早くしやがれ！」　も「朝からうるさいんだけど、坊ちゃん」　跡「！」　も「学校、行くんでしょ？気が向いたから行く」　ｽﾀｽﾀｽﾀｽﾀ　も「何してんの？」　跡「あ、ああ！（何で嬉しいとか思ってんだ？）」　#跡もえ

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も「（へー、あいつ金持ち甘ったれボンボンのくせにあんな真面目にテニスやるんだ）」　たまたま、だった。どうしても出さなきゃいけない書類があって遅くなっただけ。　も「（……しつこいし。少しは学校、来てあげてもいいかな）」　#跡もえ

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「七瀬！朝だ学校行くぞ」「おい七瀬、学校はそっちじゃねえ、こっちだ」「勝手に消えるな不良少女！」「俺様の美技を見ていけ」「不良少女、明日も迎えに行くからな」「七瀬」「七瀬」「七瀬」……エンドレス　も「　な　ん　な　の　あ　い　つ　！」　#跡もえ

@k5xm0e

も「わたし別に頼んでない。つか金持ちの甘ったれボンボンなあんたに何が解る」　跡「な！」　も「早く帰って寝なよ。お坊ちゃんは寝る時間だよ」　跡「黙れ不良少女！（むかつく！）」　も「はいはい、すみませんでしたー。んじゃ、そういう事だから」　跡「おい！（クソ！絶対諦めねえ）」　#跡もえ

@k5xm0e

跡「おい、七瀬。お前、学校来いよ」　も「は？あんた何。ああ、担任の言ってた世話係ってあんた？」　跡「あーん？お前、俺様を知らねえのか？」　も「知ってるけど？大変だね、生徒会長様は先生のご機嫌取りしなきゃだもんねー」　跡「な！ふざけるなよ、俺様が折角「なんなの？」　#跡もえ