ツイッター小説 お気に入りセレクト 2012/06/07

今日読んだついのべの中から個人的にお気に入りの作品を選んでみました。 ついのべ #twnovel とはツイッター小説、つまり140文字以内で書かれた短いお話です。
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yosizaki @0Y0y0y00480

未来で突如、流行りだした機械「思い出回想機」。眠ってる間、好きな思い出を繰り返す事が出来る機械。とうとう人類は思い出の中で生きる事を決意し、永眠した。地球は眠る人類の揺りかごと化したのだ。一方で宇宙人がコレクションが増えた、と喜んでいることを人類は知らない。 #twnovel

2012-06-07 00:01:12
日向日影🍊📖@文化系物書きVtuber(HUB) @hyuugahikage

#twnovel 生活が困窮し、役所へ相談に行った。待つ間の暇潰しに窓口にあったマンガを読み始めた。主人公は些細なことから生活が困窮する。一人では立ち直れない、でも国や家族に迷惑は…そして…涙をこぼすほど感情移入した私は、主人公がしたように晴れ晴れと隣の尊厳死受付へ向かった。

2012-06-07 00:14:00
竹田康一郎 @tahtaunwa

#twnovel 写真館にやってきた40代の男女2人。レンタルのウエディングドレスとタキシードで結婚写真を撮った。10代の恋人同士のように赤らむ頬。できあがった写真を見て涙を流した。どこか見覚えのある女。翌日のニュースを見て思い出した。彼女は、あの写真を胸に警察に出頭したのだ。

2012-06-07 01:01:37
あまたす @amatasu

くらやみ坂には気をつけなさい。人をさらうお化けがいるからね。この街の子供は、皆そう教えられる。くらやみ坂がどんな場所か、知るのは少し大人になってからだ。「レイナさん、アフターのお客様お待ちです」はーい。私はニヤけた顔のオッサンと腕を組み、くらやみ坂を下っていく。 #twnovel

2012-06-07 03:24:15
ヨシムラ @ortk

私は、ただ在ることを望んだ。私が在り続ける限り、この少女を孤独にすまいと誓った。しかし、もう私の役目はとっくの昔に終わっていたらしい。「なあ、その埃かぶったテディベアどうするんだよ」「披露宴の受付に置きたいんだ。いいでしょ?」 #twnovel

2012-06-07 08:28:04
Ikuo/Yoshitake @ikuoyosh

●総選挙:まもなく総選挙の結果が発表される。俺は最後に、ありったけの対象商品を購入した。ポイントが、自動的に「一票」の価値に加算される。アイドルの人気投票にヒントを得た選挙システムの導入により、政治への関心が高まり、消費が促進し、政治家は美男美女だらけになった。 #twnovel

2012-06-07 08:42:07
@tofuhamburg

眠れない夜には羊を数える。羊が一匹、羊が二匹。羊が増えてきたのでバリカンで毛を刈った。すると一匹ヤギになった。顎ひげをしごきながらヤギは教授と名乗った。教授は講義を始めた。「であるからして――」くどくどとして面白くもない。聞いていた羊たちは眠った。僕も眠った。 #twnovel

2012-06-07 09:47:17
七歩 @naholograph

キスして?と誘われた。俺を誘ったのは妻の口紅。上品なピンクを裏切る大胆な彼女に俺は溺れた。彼女はキスが上手かった。妻の持ち物とこんな事をする背徳感も魅力だった。激しいキスに身を減らす彼女。私を忘れないで。最期のキスの後口紅を落とせない俺は、妻の視線にも気づかない。#twnovel

2012-06-07 10:46:22
夢名 七志 @mumei7c

落ち込んだ気分がそうさせたのだろうか。それよりも、そこまで思い込んでいたのかと、他人事のように思う。落ち込んでいたのは確かだけど、落ちると言うのは悪いことばかりじゃないよな。せめて、落ちる前に気付きたかったんだけど。なんて、ベランダから地面までの間に考えていた。 #twnovel

2012-06-07 19:24:12
リオ @urufffayn

センチメンタルラ族は夕陽を浴びる。伸びをすると、ラの影がなめらかに伸びていく。ベランダで手すりを叩きリズムをとる。手すりから抜ける風が、足にしゅるんと絡んで逃げていく。ラの歌に込めるのは、日が長くなった幸せ。歌い終えたとき、一番星と共にビル群が光り始めた。 #twnovel

2012-06-07 20:29:17
雪月 @setugetufuka

『人生の辛いとこ引き受けます』そんなサービスを申し込んだ。嫌な人間関係も面倒な仕事も、全て上手く片付いた。でもまたすぐに辛くなりサービスを受ける。繰り返しているうちにお金も尽きた。もう生きてるのが辛い。担当者が来た。「最後のお手伝いは無料でやらせていただきます」 #twnovel

2012-06-07 20:32:36
招夏(日進月歩) @shouka_no_niwa

#twnovel 私はいつもこうだ。タロットカードの愚者のように足元の崖に気づかない。観念して目をぎゅっとつぶった途端、私の体はふぁさっと柔らかな羽毛の上に着地した。アメジスト色の優美な羽だ。慌てて体を起こすと、上空から急降下で舞い降りてきた紅竜に跨った皇帝の安心した横顔が見えた

2012-06-07 20:40:53
hypo- @hypohyphen

#twnovel デパートの人混みの中、ふと誰かの手が触れる。振り返っても誰もいない。はっとして鏡を覗くと、自分が妖気漂う美女になっている。こりゃまた綺麗な「鬼」だなあ。見惚れてる場合かよ、早くだれかにうつさなきゃ、思いながらも手は額に触れている。角はまだ、それとは知れぬ大きさ。

2012-06-07 20:59:44
ミドリハだったもの @midoriha

初恋の人の匂いがする、と思ったら、窓から田圃を渡った風が吹き込んでいた。 そうだった、小学生のころ必死に追い掛けた背中は、用水路や畦道で蛙やオバケエビを捕まえて、キラキラしていた。 振り返らない、もう顔も朧げなその人が憂鬱な心を少しだけキラキラさせてくれた。 #twnovel

2012-06-07 21:18:11
猫舌菜雲 @nekojitax

カメムシが大量に発生している。机上のカメムシをセロハンテープでペタリと貼って確保する。捨てるのが面倒(分別が必要でナマモノを捨てる場所が遠いところにある)なので、勤務中に居眠りしているザビエル風上司の禿げ頭にペタリと貼る。帰宅時、ごみ箱に三本の髪とカメムシがいた。#twnovel

2012-06-07 21:42:21
@mimimdr

君が慌てて隠そうとして、ぬぐいきれずに零れた涙は、ぽろぽろと丸い結晶になるのを知ってるかい?とてもとても小さな音で地面をころころ転がるから、耳の良いハムスターの夫婦だけがそれに気付いて、しょっぱいねえ、しょっぱいねえ、なんて言いながら頬袋に詰めているのさ。#twnovel

2012-06-07 22:08:29
添嶋譲 @literaryace

文化祭で俺たちのクラスは総選挙。盛り上がるのは野球部とかバスケ部の連中。要するに人気投票だから自分の位置を確認したいだけなのだ。クラスの半分は冷めた空気の中、受付でものすごい勢いで投票券を買う人が。って、母さん! 姉ちゃん! 「センターはタカシしかいないよ!」 #twnovel

2012-06-07 22:40:52
藤原ヒヨリ @HiyoriF101

雪が降った。夏の、この街に。地面に降りては溶け、ベンチに振りては溶け、鼻頭に降りては溶けて消える。どこまでも続く青空の下、天気雨ならぬ天気雪がこの街に降り注ぐ。「今日の仲人は中々に洒落た方のようね」手の甲を滑り落ちる水滴を眺めながら彼女は微笑んだ。 #twnovel

2012-06-07 23:23:54
23時の夢物語 @23novel

#twnovel 止まった回転木馬の留め具をはずし、動かないジェットコースターで早駆け競走。壊れた観覧車で、くるくると巨大なポップコーン作り。イルミネーションと花火の代わりに、鬼火でパレード。誰もいない遊園地でお化け屋敷の住人達が遊んでいる。参加したいなら、死んでからおいで。

2012-06-07 23:30:13
かなりひこくま @kanarihikokuma

影を働らせることを思いつき、黒い会社を設立した。影達は風に怯えながらもよく働き、会社はより黒々と大きくなった。でも、なぜ影は風を恐れるのか。綿ゴミのように飛ばされると思っているのか。団扇にかわって巨大扇風機を用意してるが、効果のほどは私にも分かっていない。 #twnovel

2012-06-07 23:39:10
miecha @miechorz

#twnovel 『なんのために書いているの』書きかけの文字列がぐるぐる回って、そんな言葉へと入れ替わる。『誰かに見せるわけじゃない、振り返って糧にするわけじゃない、どこにも行かない言葉ばかり書いてどうするの』文字に気持ちを見透かされた僕は、次の句を書けずにいる。

2012-06-07 23:39:27
layback @laybacks

集計が終了しました。開票ロボットはデータを出力する。出口調査と大きく異なる結果にプロデューサーは首を捻る。お前まさか私情を挟んでないだろうな? 開票ロボットはぽっと顔を赤くする。ロボットに私情はありません。ロボットに私情はありません。ロボットに私情はありません。 #twnovel

2012-06-07 23:49:03
鈴々@物語る鳥 @re_rhythm

恋じゃない。ただ身体の付き合いがあるだけ。お互い自宅も知らない。食事すらしたことがない。携帯で要件ばかりの短いやり取りをし、予定が合えばホテルで落ち合う。用が済めば睦言すらなく別れる。いつもなら。身支度を整え踵を返す背で聞いたのは初めての、明らかな告白だった。 #twnovel

2012-06-07 23:52:59
歌種 @PM23564

#twnovel 16歳になった日から少しずつ背中が膨らみ始め、コブの重みですっかり傴僂のようになってしまった。かと思えば首の後ろが盛り上がり、到底仰向けでは寝られない。1月近くを横向きに丸まって過ごし、ある朝寝返りを打つと隣に自分が寝ていた。出芽で増える事をすっかり忘れていた。

2012-06-07 23:56:17