NHK・クローズアップ現代「東電女性社員殺害事件 再審の衝撃」書き起こし・ほぼ完全版 #nhk
- toshihiro36
- 6613
- 0
- 1
- 0
冒頭のVTR
<ナレーション> 15年前の殺人事件の現場にカメラが入りました。当時空き家だったこの部屋で起きた、東京電力女性社員殺害事件。現場に残された多くの謎。一流企業のエリート社員をめぐる事件に、世間の注目が集まりました。逮捕されたのはネパール人のマイナリ元被告。
2012-06-07 21:29:33<ナレーション> 女性と関係を持ったあとに殺害したとして、無期懲役が確定したのです。今日、その判決を根底から覆す再審開始の決定が出ました。決め手となったのは、捜査段階では行われなかったDNA鑑定。犯人が別にいる可能性が浮かび上がりました。
2012-06-07 21:33:53<ナレーション> 状況証拠を積み重ね、マイナリ元被告を逮捕した捜査の現場。有罪を妥当だと考えていた、裁判の関係者にも衝撃が走りました。プロたちが積み上げた結論に、突きつけられた大きな疑問。なぜ再審は認められたのか、検証します。
2012-06-07 21:37:55ここからスタジオです
国谷:こんばんんは、クローズアップ現代です。東京高等裁判所は今日、15年前東京の渋谷で東京電力の女性社員が殺害された事件の、裁判のやり直しを認めました。新しい証拠があり、無罪になることが明らかになった場合に限って、裁判所に認められる裁判のやり直し、再審。
2012-06-07 21:44:20国谷:この事件で無期懲役が確定したネパール人、ゴビンダ・プラサド・マイナリ元被告が無罪になる可能性が出てきました。この事件では犯行を裏付ける直接的な証拠がないなか、警察や検察は状況証拠を積み重ねて逮捕、裁判に臨みました。
2012-06-07 21:49:23国谷:1審では「犯人とするには矛盾や説明できない疑問が残る」として無罪。しかし2審では「状況証拠を総合すると、被告の犯行は明らかだ」として一転有罪。最高裁判所で無期懲役が確定していました。
2012-06-07 21:54:28国谷:確定していた判決を覆す新しい証拠となったのが、マイナリ元被告以外の第3者の犯行であることを示す新たなDNA鑑定の結果です。被害者の身体や衣服、そして犯行現場に残されていた第3者の犯行をうかがわせる新たな証拠。
2012-06-07 21:57:54国谷:なぜ捜査当局はこうした当初から現場にあった手掛かりの重要性を見過ごし、マイナリ元被告の犯行と確信したのか。そして司法の場でも、なぜ有罪は間違いないと判断をしてしまったのか。
2012-06-07 22:03:11国谷:当時、関係者の間で捜査や裁判が高い評価を受けていただけに、無罪を訴え続けたマイナリ元被告の訴えが今回認められた衝撃は大変大きいようです。まずは警察が見込み捜査によって、第3者の可能性を見落としていった実態をご覧ください。
2012-06-07 22:04:56VTRが流れます
<ナレーション> これはマイナリ元被告の支援者が作った事件の再現映像です。真犯人は他にいると訴えています。事件が起きたのは15年前、渋谷のホテル街に近いアパートの一室で女性が殺害されました。東京電力の39歳の女性社員でした。女性は首を絞められ、畳の上に仰向きに倒れていました。
2012-06-07 22:11:13<ナレーション> 部屋には取っ手がちぎれたバッグや、複数の体毛が落ちていました。トイレには避妊具が残されていました。警察は遺体発見から4日後に、ネパール人のマイナリ元被告を不法滞在の疑いで逮捕、女性の殺害容疑で捜査を進めました。なぜ警察はマイナリ元被告に疑いの目を向けたのか。
2012-06-07 22:15:34元捜査員:鍵をネパール人が所持していて、自由にそこで使っていた。女性を連れ込んで、性的な関係をその部屋で結んでいたんだと。そういう部屋で使われていたとなったときに、やっぱり捜査対象はネパール人に方向性が向くということですよね。
2012-06-07 22:25:11<ナレーション> 現場の部屋の鍵を持っていたのは、隣のビルに住むマイナリ元被告。事件の当日、よく似た男性が被害者の女性と部屋に入っていくのを見たという目撃情報も寄せられました。現場に落ちていた体毛を鑑定したところ、マイナリ元被告のDNAと一致するものがあることが判明。
2012-06-07 22:29:32元捜査員:被疑者に直結する資料としては、やはりコンドームですね。それと鍵もゴビンダ(マイナリ元被告)が持てる状態にあった。「間違いなくホシだろう」そういう見方をしていたのは間違いないですよね。
2012-06-07 22:33:48<ナレーション> 犯行を直接裏付ける証拠はなかったものの、警察は状況証拠の積み重ねによってマイナリ元被告を逮捕。最終的に無期懲役の判決が確定しました。捜査の責任者だった、警視庁元捜査一課長の平田富峰さんです。当時の捜査に絶対的な自信を持っていたといいます。
2012-06-07 22:40:58平田:再審って、これはありえないと思いますけどね。被害者が不特定多数の人と接していますから、ゴビンダ以外の人の体液や体毛が出たとしても、それは不思議じゃないことですね。もう間違いなく、犯人であると自信を持っていますから。
2012-06-07 22:45:13