NHKスペシャル「MEGAQUAKEⅡ 第3回 “大変動期”最悪のシナリオに備えろ」 書き起こし #nhk
- toshihiro36
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<ナレーション> 遠田さんの解析結果です。強いひずみが溜まっているのは赤い部分。関東の沿岸部から沖合いにかけて広がっています。ひずみが溜まり続ける地下で、何が起きているのか。太平洋プレートは関東でも一定の速さで沈み込んでいます。
2012-06-10 16:29:20<ナレーション>それに加え陸側のプレートは、東北に引きずられて東に動くようになりました。プレートの境目では、ひずみが以前より早いペースで溜まるようになっています。このため小さな地震が頻発、この間にもひずみは溜まり続けています。
2012-06-10 16:34:46遠田:小さい地震がたくさん起こるような場所は、わりと大きい地震を起こす着火点になりやすいんですね。それが引き金となって大きい地震を起こすとか、そういった可能性があると考えています。
2012-06-10 16:38:24<ナレーション> 溜まり続けるひずみが引き起こす地震。関東の中でも特に地震が増加している地域が見えてきました。それは赤で示した地域です。この地下で大地震の危険性が高まっていることがわかってきました。
2012-06-10 16:44:12<ナレーション> このデータをまとめた、東京大学の平田直さんです。関東の各地に高感度の地震計をおよそ300台設置、地震がどこで起きているのか詳しく分析しました。この1年あまりに関東で発生したおよそ1万の地震の震源です。赤い点はM3以上の地震を表しています。
2012-06-10 16:48:26<ナレーション> 震源は深さが異なる2つの面の上に並んでいるように見えます。そこはプレートどうしの境目でした。実は関東の地下は3tのプレートが重なり合う、複雑な構造になっています。一番下は東から沈み込む太平洋プレート、その上が南から沈み込むフィリピン海プレートです。
2012-06-10 16:55:40<ナレーション> この2つの上に陸側のプレートが乗っています。これらの境目で地震が多発している要因は、陸側のプレートの動きにあると平田さんはみています。東に引きずられている関東の陸側のプレート。フィリピン海プレートとの境目にはひずみが溜まります。
2012-06-10 17:01:20<ナレーション> さらにフィリピン海プレートがわずかに東に引きずられ、太平洋プレートとの境目にもひずみが溜まります。この2つの面に溜まるひずみが多くの地震を引き起こしているのです。
2012-06-10 17:05:03平田:プレート境界にはひずみが増加している。そういう状況に、今なっていると思います。プレート境界に働く力のバランスを、3月11日の地震の前と後で大きく変えたわけです。
2012-06-10 17:07:44<ナレーション> 平田さんはいま、激しい揺れをもたらす地震に警戒が必要だと考えています。2つの面で多発する地震のうち、浅い方で起きる大地震です。地震は同じ規模でも、震源が深い場合より浅い方が地面の揺れが激しくなるためです。
2012-06-10 17:14:16<ナレーション> 平田さんが浅いプレートの境目を分析した結果、地震が増えたエリアが3か所見つかりました。これらの場所ではとくにひずみが溜まっていると、平田さんは考えています。そのエリアとは千葉県東部と茨城県南部、それに東京湾北部です。
2012-06-10 17:19:25<ナレーション> ここでは過去にも激しい揺れの、大きな地震が起きています。幕末の江戸を襲ったM7クラスの地震(安政江戸地震)。激しい揺れと火災で、およそ7000人が死亡しました。この地震の震源は地下の浅いところだったと考えられています。
2012-06-10 17:23:03平田:東北地方太平洋沖地震が起きたあとのこの状況で見ると、M7程度の地震が起きることはそれほど不思議なことではありません。それに対する備えを、一刻も早く勧める必要があると思います。
2012-06-10 17:27:28<ナレーション> 関東の地下で重なる3つのプレート。最も浅い陸側のプレートの中に潜んでいた、新たな危険性が見つかりました。より激しい揺れを伴う、活断層による地震です。去年、国は巨大地震の影響で、危険性が高まった可能性がある活断層を発表しました。
2012-06-10 17:32:42<ナレーション> その一つ、東京の多摩地域と埼玉県にまたがる立川断層帯です。地下の断面図です。赤い線が断層、左右の黒い線は元は同じ高さにありました。およそ1万年に1度左右の地盤がずれ動き、大地震を引き起こしてきました。断層の上に広がる町には、およを200万人が暮らしています。
2012-06-10 17:42:56<ナレーション> 関東の活断層を調査してきた、東京大学の佐藤比呂志さんです。巨大地震のあとの陸側のプレートの動きが、ここでも地震の危険性を高めていると佐藤さんは考えています。長年、立川断層帯は西へ強く押され密着していました。
2012-06-10 17:49:46<ナレーション> 巨大地震のあと陸側のプレートが東へ引きずられたことで、密着していた断層が緩み動きやすくなったと考えられるのです。
2012-06-10 17:54:47