NHKスペシャル「MEGAQUAKEⅡ 第3回 “大変動期”最悪のシナリオに備えろ」 書き起こし #nhk
- toshihiro36
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<ナレーション> これは、三陸沖で発生したM7.3の地震によるものでした。注目したのはその後の変化です。巨大地震が発生するまで、海底が少しづつ隆起していたのです。データを分析した、日野亮太さんです。このわずかな隆起が、今回の地震につながる予兆だっとのではないかとみています。
2012-06-11 05:07:43<ナレーション> このとき海底で何か起きていたのか。隆起が捉えられたのは、陸側のプレートの上です。3月9日の地震でプレートの境目の一部がずれ動き、海底が持ちあげられました。その後プレートの境目は、この付近で少しづつ動いていたと考えられてます。
2012-06-11 05:18:23<ナレーション> 一方、プレートの先は密着したままでした。この結果海底が下からじわじわと押し上げられ、2日間隆起が続いたのです。そして3月11日、ついにプレートの境目全体が一気にずれ動き巨大地震が発生したのです。
2012-06-11 05:24:19<ナレーション>この海底の変化を事前に捉えることができれば、巨大地震の発生を知る手掛かりになるのではないかと日野さんは考えています。
2012-06-11 05:26:52<ナレーション> 巨大地震の直前の異変、海底だけでなく上空からも捉えられていました。地球と宇宙の境目、電離層と呼ばれるエリアです。電離層はオーロラが発生することで知られています。人工衛星からのデータをもとに電離層を調べている、千葉大学の服部克巳さんです。
2012-06-11 05:33:14<ナレーション> 巨大地震のあと電離層のデータを解析したところ、普段と異なる変化が現れていたことに気づきました。電離層では太陽光線の影響で、酸素などから分離した電子が漂っています。そのため太陽が出ている昼間は電子の数が多くなり、夜間は少なくなります。
2012-06-11 05:37:07<ナレーション> この状態を実際のデータで見ると、昼は電子が多いことを示す赤や黄色になり、夜になると電子が減って色がなくなります。しかし巨大地震の直前、このパターンに異変が起きていました。3月7日から、夜間も赤や黄色が見られるようになりました。
2012-06-11 05:41:31服部:通常の場合は地球の自転とともに(電離層の)乱れが動いていくわけで、そんなに長い間続かないのが普通です。かなり特異な乱れ方をしたといえると思います。
2012-06-11 05:49:42<ナレーション> 震源域上空の異変は、何を意味するのか。巨大地震の直前に起きた、地下の変化が影響したと考える科学者がいます。アメリカ航空宇宙局・NASAのディミター・ウズノフさん。気象衛星などが捉えていた大気中の熱エネルギーの変化を、震災後に分析しました。
2012-06-11 05:54:44<ナレーション> その結果去年3月、電離層の下東北沖の数十キロ上空で、普段見られない変化が起きていました。3月7日までは、熱エネルギーに大きな変化は見られません。ところが8日以降、東北沖に熱エネルギーが高いことを示す、色のついたエリアが現れとどまり続けます。
2012-06-11 06:05:45ウズノフ:注目すべきは、異変がプレートの境目がある東北沖の上空に現れたことです。地下から何らかの気体が、大量に放出されたと考えられます。
2012-06-11 06:14:21<ナレーション> ウズノフさんが考える巨大地震発生前の状態です。巨大地震発生前、プレート内部の岩盤が徐々に破壊されることで、ラドンなどの気体が発生します。これが大気中の熱エネルギーや電離層に、何らかの変化をもたらしたとみています。
2012-06-11 06:20:20<ナレーション> ウズノフさんは中国の四川大地震やトルコの地震の直前にも、似たような変化があったことを確認しています。巨大地震の予兆を捉えられるのか。日本の服部さんとも連携し、今回の異変を解き明かしたいと考えています。
2012-06-11 06:25:16ウズノフ:東北沖の巨大地震から1年が経っても、解明できていないことがたくさんあります。そのなかで地震の前に現れていたシグナルは、研究によって今後にいかせるかもしれない貴重なデータです。日本の科学者とともに、なんとしても解明したい。私は希望を持っています。
2012-06-11 06:30:19<ナレーション> “大変動期”を前に科学に何ができるのか。巨大地震をきっかけに、原点に立ち帰った科学者たち。次の災害に向き合いはじめています。東北沖の地震を30年以上にわたって研究してきた松澤暢さん。まだどこかに新たな地震のリスクが潜んでいるのではないか、探し続けています。
2012-06-11 06:35:52松澤:これと全く違うタイプの地震が、もしかしたら近い将来迫っているかもしれない。それは東北じゃなくて、日本全体という意味ですけど。そういうことに関して、できればもう少しはっきりしたことは事前に言えて…世の中の方々に準備して頂けることができたらいいなと思います。
2012-06-11 06:40:18松澤:地震学そのものは、たぶん前進してきているはずです。そういう積み重ねの中で、未来は今よりもっと良いはずだと信じて進んでいきたいと思います。
2012-06-11 06:44:01<ナレーション> 巨大地震直前の海底の変化を捉えていた、東北大学の研究チームです。国と共同で日本近海の海底に、観測装置を増設していくことになりました。海底の異変を常に監視し、将来巨大地震の兆候を見つけ出したいと考えています。
2012-06-11 06:48:07日野:いろんな持ち場の人たちが、ありとあらゆる手を尽くして…災害を軽減するための努力をしなければいけない局面になっている。ひとりの地震学者として、あるいはひとりの日本人として、非常に残念なことがたくさん起こった。痛恨の思いであることに間違いはありません。
2012-06-11 06:54:13