ETV特集「ネットワークでつくる放射能汚染地図(6)川で何がおきているのか」書き起こし #nhk

6月10日に放送されたものを文字起こししています。
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とし @toshihiro36

<ナレーション> 汚染のレベルは上流域・下流域にかかわらず、高い所と低い所が混在しています。 私たちは福島を源流とする、もうひとつの一級河川・阿賀野川も調査しました。阿賀野川が流れていく先は、事故で放出された放射能のレベルがより低い新潟県です。

2012-06-11 12:47:47
とし @toshihiro36

<ナレーション> 阿賀野川の土の汚染は、上流部で高くなっています。一方、源流から210キロ下った河口からも、レベルは低いものの汚染が見つかりました。阿賀野川は新潟市の沖で日本海に注ぎます。かつてこの流域で有機水銀に汚染された魚を食べた住民に、第二の水俣病が発症しています。

2012-06-11 12:55:10
とし @toshihiro36

<ナレーション> 福島第一原発から直線距離で180キロ離れた阿賀野川の河口です。去年7月、新潟県の調査でシジミから1kgあたり5ベクレルのセシウムが検出されました。その後、若から取水する浄水場の汚泥から、1kgあたり35400ベクレルのセシウムが検出され住民に不安が広がりました。

2012-06-11 13:01:16
とし @toshihiro36

<ナレーション> この浄水場から市内のおよそ8万世帯に水道水を供給しているからです。問題になった500トンあまりの汚泥は、現在浄水場の一角に隔離されています。汚泥はなぜ高濃度の放射能に汚染されていたのでしょうか。浄水場では川から水が取られ、貯水槽にいったん貯えられます。

2012-06-11 13:05:54
とし @toshihiro36

<ナレーション> ここで細かい泥など不純物が分離されます。これが分離された不純物などを含む「にごり水」です。この中に放射性物質が入っていました。土壌学の専門家南條正巳さんが浄水場を訪ねました。不純物が混ざったにごり水はプールに貯められます。ここで水を蒸発させ、残るのが汚泥です。

2012-06-11 13:34:40
とし @toshihiro36

<ナレーション> 汚泥の中の放射性物質は、乾燥されるにつれ濃縮されていたのです。南條さんはこの泥に注目し、阿賀野川全域の汚染を調べることにしました。最初に調べたのは、浄水場の取水口です。阿武隈川と同じように、水と川底の土を採取します。

2012-06-11 13:41:11
とし @toshihiro36

<ナレーション> 川底の土は浄水場で見たのと同じ、粘土質の泥でした。ここから放射性セシウムが1kgあたり230ベクレル検出されました。次に浄水場よりさらに下流を調べました。ここはシジミの漁場です。川幅はおよそ1キロ、左岸から右岸まで等間隔でサンプルを取りました。

2012-06-11 13:44:47
とし @toshihiro36

<ナレーション> これが水深2mの左岸側の川底の土です。粘土質の泥でした。測定結果は1kgあたり590ベクレルでした。右岸の水深は1m、泥ではなく砂。測定結果は10ベクレルでした。調査結果です。値が高いのは左岸側、泥の多い川底でした。一方砂が多い右岸側は1ケタ低い値でした。

2012-06-11 13:53:25
とし @toshihiro36

<ナレーション> なぜセシウムは砂よりも泥に多く含まれるのでしょうか。これは590ベクレルが検出された、左岸の泥の電子顕微鏡写真です。泥の中にはバーミキュライトという、セシウムと強く結合する粘土粒子が含まれていました。バーミキュライトの断面は、規則正しい層になっています。

2012-06-11 14:00:29
とし @toshihiro36

<ナレーション> その層の間にセシウムが入り込みます。水の中でイオン化しているセシウムはプラスの電荷を帯びているため、マイナスの電荷をもつバーミキュライトと結びつきます。いったんバーミキュライトの層に入りこんだセシウムは、容易には離れなくなります。

2012-06-11 14:07:31
とし @toshihiro36

南條:この土壌はセシウムイオンを吸着するバーミキュライトですから、土の表面に固定されて長くとどまる。そういうことになっていくと思います。

2012-06-11 14:09:55
とし @toshihiro36

<ナレーション> 次に私たちは阿賀野川の上流に向かって、川底の調査を進めました。ここは福島県と新潟県の県境、阿賀野川の中流域です。河口に比べ流れが速い場所です。阿賀野川全域の汚染地図です。上流域で高かった汚染は、中流域でいったん低くなります。

2012-06-11 14:16:21
とし @toshihiro36

<ナレーション> そして河口域に近づくと若干高くなっていることがわかります。なぜ、そうなるのでしょうか。私たちは阿賀野川のバーミキュライトを含んだ土を使って、川の流れを再現しました。土の混じった水を流します。土は上流部に溜まるものと、下流部に流されていくものに分かれました。

2012-06-11 14:21:03
とし @toshihiro36

<ナレーション> 上流に溜まっていたのは、粒の粗い砂でした。一方、バーミキュライトを含む粘土は下流まで流れていきます。流れが速いと砂は沈殿しても、比重が軽い粘土は沈みません。ところが水の流れを遅くすると、流れていた粘土が堆積していきます。

2012-06-11 14:28:23
とし @toshihiro36

<ナレーション> セシウムはバーミキュライトと結び付くと、遠くまで運ばれやがて沈殿して川底にとどまる。これが阿賀野川の河口まで汚染をもたらしたメカニズムです。今回作った汚染地図を見ると、上流域で桁違いの高い汚染があることがわかります。福島県・会津地方です。

2012-06-11 14:33:48
とし @toshihiro36

<ナレーション> 会津地方は去年3月の原発事故後、放射能汚染が比較的低かったため、多くの避難者を受け入れてきました。会津地方を流れる川の多くは、阿賀野川に通じています。私たちは放射線防護学の専門家、野口邦和さんとともに会津の川を調べました。

2012-06-11 14:40:18
とし @toshihiro36

<ナレーション> 会津坂下町、町中の空間線量は毎時0.13マイクロシーベルト。ところが川に降りると変わります。阿賀野川の支流・旧宮川、岸辺の空間線量は町中に比べ10倍以上高い値でした。

2012-06-11 14:50:31
とし @toshihiro36

<ナレーション> 土壌は1kgあたり8790ベクレル、これまで町で検出された土壌の汚染データに比べ、数十倍に当たる数値です。

2012-06-11 14:50:59
とし @toshihiro36

<ナレーション> 私たちは阿賀野川の支流16か所で土壌を調査しました。その結果8000ベクレルを超える高い汚染が、他の川べりでも見つかりました。事故直後の汚染が比較的少なかった会津地方で、今になってホットスポットが生まれていたのです。

2012-06-11 14:56:13
とし @toshihiro36

<ナレーション> 周囲の山に降った雨で運ばれてきた放射性物質が、岸辺に溜まっていました。それが阿賀野川に注ぎ、新潟に流れていったと思われます。

2012-06-11 14:59:11
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