《日本の流民(ノマド)の歴史》

タイトルどうりです
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@bukrd405

《日本の流民(ノマド)の歴史》 農家の二、三男以下は食うあてもなく、嫁を迎える経済力もなく、冷や飯の運命に絶望し、出稼ぎの果てに遠い他郷で自らの人生を作らねばならなかった。こうした流亡の民は、生産手段からも見放されて工場労働者の群れに、あるいは芸人、博徒、乞食、

2012-06-09 21:49:01
@bukrd405

(承前)すりの群れに入るほか、棒手ふり・草履の裏付・人力挽・荷車挽・マッチ詰・按摩・紙屑拾い・烟管すげに、その日を暮らすほか、腕に技術を持たないため、行商人として飴売り・豆腐売り・磨き砂売り・野菜売りをする者、さらには犬殺し、猫取り、河底の泥をすくいあげて、

2012-06-09 21:55:27
@bukrd405

(承前)泥中より針・釘などを拾う者、物貰いの方便として四国巡礼や金毘羅参詣の装束をして歩く者など、さまざまな生きる手立てを得て、ふきだまりの一群の人間社会に流れ込んでいった。

2012-06-09 21:58:22
@bukrd405

第二次世界大戦後、さまざまな門付け芸人たちが街道から姿を消していった。かつては、正月の前後や季節の折々になると故郷を出て村々を家ごとに廻りながら祝福していく芸人たちがいた。万歳・春駒・鳥追・夷まわし・獅子舞・猿回し・ちょぼくれ・瞽女などであるが、

2012-06-09 22:03:28
@bukrd405

(承前)彼らの中には転落して乞食になる者も多く、ホカイビトとして勧進・喜捨の乞食芸人として流浪の中で人生を送っていった。

2012-06-09 22:09:52
@bukrd405

この門付け芸人と並んで大道芸人がいた。祭や縁日などで、芸を見せて銭を乞う芸人たちで、居合ぬき・独楽回し・奇術・流行歌の曲譜を売るために提琴を鳴らしながら歌う人などである。大道芸人が野天で見せるものであるのに対して、見世物は小屋がけで客を集めて興業するもので、

2012-06-09 22:12:41
@bukrd405

(承前)犬・猿・猫・山雀などの動物の曲芸をみせたりするほか、女相撲や首女・人頭蛇体娘・くも娘から衛生博覧会にいたるものまで見世物はさまざまである。これらを総称した芸人たちの多くは、明治になって芸人を装う乞食と化して、その数も明治になって、いっそう増えていったように思われる。

2012-06-09 22:33:37
@bukrd405

芸人たちの中で角力取(当時、一般には裸手取りといった)・東京の寄席芸人・役者などに、明治2年7月、手札大の木製の鑑札が渡され、これを期として大道芸人の取締りを強化した。だから鑑札は、おそらく当時芸人として筋の通った者たちに出されたのであろう。

2012-06-09 22:36:48
@bukrd405

・大じめ師 大じめ師というのは、香具師の中でも長広舌をふるって人を集め、その弁舌の功徳によって商品を商う者の総称である。古くからあるものではリツ師(法律の本を売る者)、ミンサイ(催眠術師)、スリク(売薬業)等がその代表的なものである。

2012-06-11 11:41:44
@bukrd405

・ごと師 ごと師またはわりごと師、これは即ち個人が主ではなく必ずその背後に多数のサクラを随伴する商売をする者の総称である。ツマミまたはヘタリ(万年筆を売る者)、ヤセリ(糶売り)、ジク(籤売り)、チギリ(鉛台金着せの指環を本物と偽って売る者)、モミ(イカサマ籤を売る者)、

2012-06-11 11:55:04
@bukrd405

(承前)モンタン(太物売り)。

2012-06-11 11:55:55
@bukrd405

・ろくま 売卜者のこと。これは香具師仲間での知識階級とされる。なぜかというと、多くは他の商売をする者よりも教育を受けた者にこの商売の希望者が多い。事実、この商売だけは、他のでたらめな口八丁の弁舌ではものにならない。多少とも本読みを必要とする。それだけに他の者に比べて見聞が広い。

2012-06-11 11:59:34
@bukrd405

・演歌師 唄本売りのこと。昔は書生節といって、主に社会風刺ものか、さもなくば悲恋悲歌、といったようなものが大向こうの喝采を拍し、しかも今日のようにヴァイオリンの伴奏があるでもなく、ごつごつとただ頑固一点張りの書生が、何かの事情で飯が食えなくなり、

2012-06-11 12:03:10
@bukrd405

(承前)やむなく香具師となって、至る所の辻に立ち蛮声を振り上げたものである。また社会主義、社会改造家等が、その運動のためにこれを行ったものもある。彼らには遊女、工女、女スリなどという極めて金離れのいい常連客があって、1回そのお望みのお座敷にでも出れば、

2012-06-11 12:07:26
@bukrd405

(承前)その時の話しっぷりまたは唄いっぷりで、莫大なチップが貰えるのである。否、チップどころか彼女らの中には自ら進んで彼女の美肉を提供することはもちろん、好いた同士の道連れで、お前とならばとこまでも・・・を希望する者がはなはだ多いのである。

2012-06-11 12:09:24
@bukrd405

・ナオコマシとナオチラシ ナオコマシとは香具師の言葉で女を騙す、もしくは女を口説くことの意である。ナオチラシは女を売り飛ばすの意である。香具師はすこぶる婦人を手に入れることがうまい。まず香具師が女を自分のものとするためには最初に能弁、次に品物、次に黄金という順序による。

2012-06-11 12:25:27
@bukrd405

そして彼らにコマサレル女が、彼らに比べて数等も教育がありまた識見もある者が珍しくない。しかもいかなる婦女子といえども、もし一度彼らと関係したが最後、不思議と彼女らはその男に深入りする。彼らの識見を以てすれば女もまた財物である。彼らは最初に女を一瞥したときから既に、

2012-06-11 12:29:58
@bukrd405

(承前)こいつはオテ百パイ(500円)とか、こいつはメンクヤ(醜女)だからカチ百パイ(300円)などと決定してかかるのである。そして、それを手に入れればある期間は散々に彼の獣欲を満足するとともに、次にはまた更に新しい女のできたのを機会に古い女のチラシ(売り)にかかるのが例である。

2012-06-11 12:34:35
@bukrd405

日本の流民(ノマド)の中で勝ち組を上げるとすれば、歌人の天田愚庵、漂泊の画人蓑虫山人(本名・土岐源吾)、大陸浪人として満州に渡った石光真清や宮崎滔天。 http://t.co/7dXVNoVR天田愚庵 http://t.co/IGsfcPup蓑虫山人プロフィール

2012-06-10 16:17:19
@bukrd405

@jonathanohn ありがとうございます。ソースは『近代民衆の記録4 流民』(新人物往来社)です。

2012-06-12 21:25:41