オペレイション・レスキュー #1
「イヤーッ!」「グワーッ!?」アサイラムはしかし、斬撃をインターラプトされて吹き飛ぶ!背中からほとんど落ちそうなほどに身を乗り出したフォレストが竹槍を投げたのだ!「セントール=サン!そのままだ!そのまま旋回!フロッグマン=サンだ、わかるか!」「ニィィィーッ!」 50
2012-06-14 18:24:14「チョコマカと……」サブジュゲイターは異様な形のスリケンをアンダースローで放った。スリケンは空中で炸裂し、破片がセントールの身体に突き刺さる!「ニィィィーッ!」だがセントールは耐えた。後ろへ手を回し、フォレストの背中を掴んで持ち上げ、地面にかざす!アブナイ! 51
2012-06-14 18:35:43「ジェロニモ!」フォレストは一瞬のタイミングで生死不明のニンジャを掴み、抱きかかえた!「行けッ!」「ニィィィーッ!」「イヤーッ!イヤーッ!」サブジュゲイターがスリケン投擲!セントールは走りながら細かく跳ねて回避!アサイラムは二刀を納め、スプリントを開始!追いすがろうとする!52
2012-06-14 18:40:39フォレストは自分の前にそのニンジャ……フロッグマンを座らせた。腰のあたりの管からは、傷つき萎びたバイオカエル収縮体がぶら下がっている。「フロッグマン=サン」フォレストは彼の背中から、鼓動が微かながら存在している事を感じ取った。彼は生き延びられるか? 53
2012-06-14 18:47:09フォレストは背後を振り返る。アサイラムは追って来る。走りながらアサイラムは残る二刀をも納刀し、全力疾走する。速い!恐るべきニンジャ脚力だ。一方のセントール。背中に二人も載せてのスプリントは大変な負担であろう。フォレストは励ました。「頑張れ。頑張れよ」 54
2012-06-14 18:51:27フォレストは後ろを向き、追ってくるアサイラムめがけ弓矢を構える。アサイラムとフォレストの視線がかち合う。アサイラムは赤い瞳に残忍な喜色を浮かべた。ハッシ!フォレストは矢を射た。「イアイド!」走りながらアサイラムはイアイドを繰り出し、カタナで矢を叩き斬った。減速無し! 55
2012-06-14 18:57:20「ニィ……ニィーッ」前方に急カーブ!フォレストはフロッグマンを押さえ、こらえる。アサイラムが迫る!「イアイド!」二刀のイアイドがフォレストに襲いかかる!フォレストは危ういところでマチェーテを抜き、これを弾き返す!「イヤーッ!」「ハハハハーッ!我がバイオ・イアイドに敵無し!」 56
2012-06-14 19:02:25「……行けるか?セントール=サン!」「ニィィーッ……!」「イアイド!」「イヤーッ!」さらなるイアイド斬撃を弾き返す!山道は直線だ!徐々に引き離す!木々が開け、雨雲を抜けた。暮れなずむガイオンと街の灯りが下に見える!フォレストは弓矢を構え、おもむろに頭上を狙う!「イヤーッ!」57
2012-06-14 19:07:45何を?無駄撃ちか?否!フォレストが狙ったのは崖上の不安定な地盤!ニンジャ腕力で射た矢が岩々を穿つと、それらがぐらつき、落石と化して降り注いだ!「急げ!くぐり抜けろッ!気張れセントール=サン!」「ニィィィーッ!」ZGGGGGT! 58
2012-06-14 19:12:47「ハーッ!」アサイラムは目の前の土砂崩れを前にスライディングでブレーキをかけ、停止した。崩落は予想外に大きく、岩と砂が山道を塞いでしまった。アサイラムは長く息を吐き、四つの腕を組んだ。「悪運の強い奴よ」その赤い目はジゴク・パイソンめいている。彼は携帯IRC端末を取った。 59
2012-06-14 19:22:47「俺だ。どうした」端末の向こうはクローンヤクザ部隊であろう。「捕らえたか。でかした。ああ……いや。殺すな。こっちは取り逃がしたんでな。だがこれで手間が省ける」彼は冷たく言った。「その出来損ないをエサにする。ノコノコやって来るだろう」彼は通話を終えた。そして喉を鳴らして笑った。60
2012-06-14 19:27:15廃ビルのそのフロアはかつてオフィスであったと見え、壁は無く、虚無的に広かった。光源はUNIXモニターと、そこへLAN直結した小型ドロイドの赤い光のみ。弱い電子の灯りが、モニタを覗き込む者たちの顔を一色で照らす。 63
2012-06-14 19:34:55「……ヨロシサン」三人のうちの一人、大柄な男が呟いた。「面倒がまた増えたかね……」その額にはスティグマめいた黒い印。男は続ける「まぁ何だ。今までむさ苦しかったんでなぁ、美しい女性とミッションに臨むとなりゃ元気百倍。多少の余分の面倒もなんのそのよな。な!」「ふふ……」 64
2012-06-14 19:48:35女はただ静かに笑った。モデルめいたスタイルを隠さぬレザーのライダースーツ。「……だよな?」大柄な男はもう一人の男にしつこく相づちを求めた。「すまんな」もう一人の男が美女に言った。ハンチング帽を被り、トレンチコートを着ている。 65
2012-06-14 19:54:32「なかなか雰囲気あっていいじゃない」女は微笑み、言った。女の名はナンシー・リー。大柄な男はタカギ・ガンドー、またの名をディテクティヴ。そしてもう一人はフジキド・ケンジ……ニンジャスレイヤー。 66
2012-06-14 19:57:48(第二部「キョート殺伐都市」より:「オペレイション・レスキュー」#1 終わり。 #2へ続く) 67
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