かおるさとーさんの『氷菓』#8 解説

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かおるさとー @kaoru_sato

『氷菓』8話について気づいたことをいくつか。

2012-06-16 23:31:47
かおるさとー @kaoru_sato

さあ新シリーズです。原作の〈古典部〉シリーズでは2作目・『愚者のエンドロール』というお話にあたります。6話、7話と一話完結の短編が続きましたが、今回から続き物です。なので、まずは問題提起がなされます。1話まるごと使って。

2012-06-16 23:32:45
かおるさとー @kaoru_sato

先週、私はこの話がシリーズ中である意味最もミステリらしい作品だと言いましたが、その理由は明らかです。この話では“殺人”が起きるのです。そして“トリック”も出てきます。『日常の謎』というジャンルでは通常扱われない題材ですが、今回は劇中作のミステリに挑むという形で組み込まれています。

2012-06-16 23:35:01
かおるさとー @kaoru_sato

一般にミステリーというと、殺人事件が発生して、探偵ないし探偵役が事件の謎を解き明かしていく、というものをイメージすると思います。これはデュパンやホームズといった古典の探偵モノに始まり、金田一少年やコナン君に至るまで、多くの作品で扱われてきた、まあお約束のようなものですね。

2012-06-16 23:37:40
かおるさとー @kaoru_sato

今では小説に限らず、テレビや映画などさまざまなメディアで扱われているので、ミステリー→推理物→殺人事件という風に結び付ける方も多いのではないでしょうか。そういう意味では『日常の謎』のような、基本的に人の死なない話はミステリーとはみなされない傾向にあるかもしれません。

2012-06-16 23:38:20
かおるさとー @kaoru_sato

今回のお話は、「そういう話」です。ちょっと意味がわからないでしょうか。まあ、ミステリーってなんだろう、と少しでも考えてもらえたら、ちょっとうれしくなります。個人的に。

2012-06-16 23:41:44
かおるさとー @kaoru_sato

で……ですね、今回は前もって断っておきます。ネタバレを避けるために、またはヒントのようなものを提示してしまう可能性を消すために、劇中作にはあまり触れないようにしようと思います。言及することそれ自体がヒントになる可能性もあるので。ミステリである以上、フェアにいきたいです。

2012-06-16 23:42:36
かおるさとー @kaoru_sato

それでは内容に触れていきます。まず冒頭。ある人物が携帯でメールのやり取りを行う場面から始まります。それからPC。これはチャットですね。「名前を入れて下さい」が、「あ・た・し♪」「L」という相手と、それぞれやり取りを交わしています。

2012-06-16 23:45:44
かおるさとー @kaoru_sato

一応言っておきますと、これは3人でやり取りを交わしているわけではありません。画面に「入室:2人 閲覧:0人」という表示があるからです。そして飲み物の減った量から、「あ・た・し♪」とのやり取りの後に「L」とのやり取りが行われたことがわかります。

2012-06-16 23:47:12
かおるさとー @kaoru_sato

メールの相手が誰なのかは、この時点ではわかりません。「あ・た・し♪」の正体も同様に不明ですが、「L」に関してはわかりますね。あとの展開からも類推できますが、このチャットの文面からも十分に読み取れます。どこかで見たことのある敬語口調、わかりやすいハンドルネーム……明白ですね。

2012-06-16 23:48:35
かおるさとー @kaoru_sato

さて、Aパート。里志と奉太郎の会話から話が始まります。夏休みのはずですが、制服姿で登校する二人。古典部の文集作りのため、編集会議が開かれるみたいですね。まるで部活動みたいです。いえ、その、部活をしているという印象が薄かったので……。でも遅刻はいけません。

2012-06-16 23:49:13
かおるさとー @kaoru_sato

自分に才能はないようだと里志はどこか悟ったように言います。データベースを自認する彼ですが、しかしクイズ王にすらなれないとも言います。これまでも何度か里志のパーソナリティーに触れる場面はありましたが、ここでも触れてますね。これまでよりも少し深く。

2012-06-16 23:50:34
かおるさとー @kaoru_sato

奉太郎に対しては評価を保留したいという里志。これはおもしろいですね。おそらく「推理能力」についてなのでしょうが、里志はこれまでに何度かその能力が発揮されるところを見ています。自分が凡人であることを前提にしている奉太郎ですが、里志には違って見えるのではないでしょうか。

2012-06-16 23:51:22
かおるさとー @kaoru_sato

奉太郎のことを評価しているように見えます。しかし、あくまで保留なのです。たしかに里志は奉太郎の秘められた才能の片鱗、能力を目の当たりにしてはいますが、「氷菓事件」を除けば、どれも他愛ないお遊び程度の謎解きでしかありません。保留したのは、まだ判断材料に欠けるためではないでしょうか。

2012-06-16 23:52:49
かおるさとー @kaoru_sato

(これまでの謎解きを貶めているわけではありませんよ)

2012-06-16 23:53:27
かおるさとー @kaoru_sato

評価を下すには、「氷菓事件」並みの大きな事件や謎に遭遇する必要があるのかもしれません。そのとき奉太郎が再びその能力を発揮したなら……彼は特別と言って差し支えないのではないでしょうか。少なくとも里志はそういう見込みがあると考えているようです。

2012-06-16 23:54:05
かおるさとー @kaoru_sato

ひょっとしたら、単に「データベースは結論を出せない」という彼のモットーに基づいて、評価を保留しただけかもしれませんが、自分と奉太郎は違うと考えているのは確かだと思います。そうでなければ「保留」なんてことは言いません。

2012-06-16 23:54:58
かおるさとー @kaoru_sato

里志が奉太郎に一目置いているらしいということは、とても大事なことだと思います。彼という人間を測る上で。

2012-06-16 23:56:30
かおるさとー @kaoru_sato

部室に到着するや否や、摩耶花の怒声に迎えられる二人。しかしもっぱら怒られるのは里志だけ。奉太郎にはほとんど何も言いません。アニメでは言及されてませんが、一応これに関して摩耶花は「折木はどっちかというとどうでもいいし」と答えています。ああ、眼中にないんですね、はい。

2012-06-17 00:00:26
かおるさとー @kaoru_sato

遅刻はもちろんいけませんが、もう一人いませんね。「千反田は?」と訊くと、「心配ね」と態度を変える摩耶花。ちーちゃんに対してはデレデレの伊原摩耶花です。里志は控えめに抗議しますけど、まあ約束をすっぽかしたり(6話)告白をはぐらかしたりと前科持ちですからね、彼は。

2012-06-17 00:03:13
かおるさとー @kaoru_sato

そこに4人目がやってきます。姿を現して第一声が「試写会です!」。……どうしたんでしょうかこの子。どうかしちゃったんでしょうか。

2012-06-17 00:03:38
かおるさとー @kaoru_sato

実は今回、この場面がものすごく不満だったのです。

2012-06-17 00:04:24
かおるさとー @kaoru_sato

好奇心の亡者と称される千反田えるですが、彼女は礼儀知らずな人間ではありません。人に会ったらまず挨拶をしますし、約束もきちんと守ります。守れなかったら謝ります。そういう子のはずです。少なくとも原作では。そしてアニメでも、多少の差異はあったにせよそのように描かれてきたと思っています。

2012-06-17 00:07:31
かおるさとー @kaoru_sato

しかし今回のこれは、さすがに千反田さんらしくない気がします。彼らは編集会議のために集まったはずです。しかし千反田さんの「試写会に行きましょう」という提案一つで、肝心の編集会議がすっ飛ばされて、4人はそのまま試写室へと向かいます。……いやいやいやいや。

2012-06-17 00:08:42