- toshihiro36
- 17215
- 0
- 8
- 33
<ナレーション> プルトニウムをリサイクルして使う核燃料サイクルに国民の期待が集まる中、1977年研究用の高速増殖炉「常陽」が初臨界に成功。茨城県東海村には、使用済み核燃料からプルトニウムを取り出すための再処理施設が建設されました。
2012-06-18 09:52:26<ナレーション> 核燃料サイクルはエネルギーの将来を担う国家プロジェクトとして加速していこうとしていました。 ところが意外なところから、日本の核燃料サイクルの開発に待ったがかかります。きっかけは中国やインドが、相次いでプルトニウムを利用した核実験に成功したことでした。
2012-06-18 09:56:02<ナレーション> アメリカ大統領のジミー・カーターは核の拡散を懸念。アメリカ政府は核不拡散法という国内法をタテに、日本に対して核燃料サイクル計画の中止を求めてきました。当時、アメリカの技術を核政策の立案に携わっていた中心人物の一人シカゴ大学のリチャード・ガーウィン博士です。
2012-06-18 10:01:01ガーウィン:日本で原子力に携わっている人々は、「再処理したプルトニウムから核兵器を作ることなどない」という自分たちが作りだしたプロパガンダを信じ込み、核燃料サイクルを続けてもかまわないとしてきました。でも、それは間違いです。再処理したプルトニウムで核兵器を作ることは十分できます。
2012-06-18 10:05:45ガーウィン:ですからアメリカは、日本が高いコストを顧みずに再処理を続けようとしていることに対し、その目的は核兵器を作るためではないかと疑っていました。私は日本に再処理は行うべきではないと、再三警告してきました。
2012-06-18 10:09:13<ナレーション> 島村研究会のメンバーたちは、ようやく動き出した核燃料サイクルに横槍を入れてきたアメリカに対し、怒りを爆発させました。
2012-06-18 10:13:41元外務省・遠藤哲也:てまあその…有名な勝手きわまりないって言ったらあれですけど、核不拡散法というのをあまりかで作って…お前飲めという、各国に。アメリカは力が強いから勝手なことが言えると思うんですけど、押しつけてきたと。
2012-06-18 10:18:48遠藤:カーターは核不拡散の政策強化の観点から、再処理はダメと。こういうようなことで...こういう状況は非常に困ると。やがて日本は東海再処理から次に商業再処理にもっていくという構想があったわけですから、これをやられたら大変なことだと。
2012-06-18 10:23:08島村:おそらくみんなアメリカと仲良くしなきゃならんと思いながらもね、あんまり勝手なことを言う。内政干渉も甚だしいんじゃないかと。隷属じゃないかと。総理になりゃ何を置いてもすぐアメリカに飛んでいってね、大統領に会いに行くなんてことは属国じゃないかと。
2012-06-18 10:27:27<ナレーション> このころ島村たちとは異なる目的から、日本は核燃料サイクルを進めるべきだと考える人たちが現れました。外務省の官僚たちです。外務省の官僚が作成した極秘報告書です。隣の中国が核保有国になるなか、日本の安全保障の観点からプルトニウムを用いた核燃料サイクルに注目しました。
2012-06-18 10:33:49報告書:中共の向こうを張って発言していく上に、核戦力の保有はおそらく不可欠である。原子力の平和利用、特に原子力発電のための技術開発は、核兵器の製造のための扉を一つ一つ開いていくと言ってよい。
2012-06-18 10:39:20<ナレーション> 報告書を作成したのは、外務省国際局の科学部長だった矢田部厚彦さんです。矢田部さんが報告書を作成したのは、中国の核武装に危機感を覚えた政治家たちの働きかけがあったからだといいます。
2012-06-18 10:44:12<ナレーション> その中心人物が自由民主党の参議院議員・源田実、元海軍大佐で太平洋戦争開戦の真珠湾攻撃にも航空参謀として参加した人物でした。
2012-06-18 10:46:57矢田部:源田先生は信念はお持ちだったんでしょうね。個人的に議員会館に呼び出されて「何やってるんだ」ということで、油をしぼられたということですよ。この先生方は日本が核兵器を持とうということをおっしゃったわけではない。けれども先生方は、将来そういうことがあるかもしれないと。
2012-06-18 10:51:48議事録:核兵器を持つ国が増えれば、核戦争が起こる可能性は多くなる。そうなれば、日本もなんらかの形で被害を受ける可能性が多くなる。高速増殖炉ができるまでの間、プルトニウムは使い道がなくて溜まっていく。ほとんど実験用の用途しかないわけである。
2012-06-18 11:00:17議事録:「それはすぐ爆弾にはならないのか?」「いや、なる。」 爆弾1個作るには、おそらく半年ないし1年半くらいあればいいといわれている。 日本国民は原子力に対して特別な感情を持っており、政府が原爆を作ろうとしても作れない状態にある。
2012-06-18 11:04:23議事録:そうすると高速増殖炉などの面で、すぐ核武装できるポジションをもちながら、平和利用を進めていくということになるが、これは異議のないところだろうと思う。 高速炉を作る技術ができるようになれば、原爆を作る技術もそれと同じだ。
2012-06-18 11:07:58<ナレーション> 外務省の官僚たちは、核燃料サイクルによってプルトニウムを取り出せることに注目。この技術を開発することにより、日本がいつでも核武装できる体勢を整えておこうと考えたのです。
2012-06-18 11:14:03<ナレーション> 核武装という選択肢を持っておくことは、日本の防衛外交上必要だという考えは、同僚の間で共有されていたと矢田部さんはいいます。
2012-06-18 11:15:24矢田部:平和利用の技術を磨いていけば、それに平行して好むと好まざるにかかわらず、意図するかしないかにかかわらず、軍事利用に転用できる技術もできていくと。それは当然そうでしょうね。お天道様のご機嫌によって、天気が変わるかもしれない。天気が変わることはありうる。
2012-06-18 11:19:38<ナレーション> 当時の総理大臣佐藤栄作のもとにも、核武装を検討していた人たちがいました。内閣調査室の調査官たちです。当時、内閣調査室で学術調査を担当していた志垣民郎さん。核武装の研究は志垣さんをリーダーに、極秘で進められたといいます。
2012-06-18 11:25:34