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山本七平bot @yamamoto7hei
①【底流的反米感情】前略~自動車関係の人に会って雑談した。「驚きますなぁ」彼は言った。「…今にも倒産するかのように言われたクライスラーですが今年度の利益はトヨタを追い抜くんじゃないですか。アメリカという国は全く振幅が大きいですなぁ。ちょっと予測がつきません」<『「常識」の非常識』
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②その道の専門家にも予側がつかないのだが、しかし予測していた人がいなかったわけではない。ところがそういう人の予測は少数意見で、日本のマスコミの見方は大体、「レーガノミックスは失敗に終わる」であったように思われる。なぜであろうか。
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③いや、その前にこのクライスラー的現象が全米の全企業に波及していったら、どういう影響を日本に与えるのであろうか。それに対する的確な予測、その予測を踏まえての対策が、現在あるのであろうか。おそらく、ないであろう。なぜか。
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④日本人には、どこかに、アメリカを低く見、アメリカの失敗を期待したがる心理があるらしい。これを大きく「反米感情」と定義すると、面白いことに、これだけは戦前戦後を一貫して存在している。
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⑤さらにもう少し広く「反欧米感情」となると、これは実に、明治以来一種の底流として一貫して流れているように思われる。そこでこの反米感情が充足された時に、心理的には実にはればれとした気待ちになる。
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⑥真珠湾攻撃のときの「暗雲一気に晴れて……」はそれを示しているし、ベトナムからのアメリカの撤退のときの論説にも現われている。そのほかにも、この種の現象はさまざまな面でみることができる。
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⑦たとえば、左から右へと大きく転換したかに見える知識人の、戦前から現在に至る軌跡をたどってみると、さまざまな思想の間を大きく揺れているように見えながら「反米ナショナリズム」という点ではほぼ一貫しているのが見られる。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑧これも正確な定義は「反米感情ナショナリズム」というべきで、なぜその「感情」を抱きつづけて来たかの理由となると、それは明確でない。「感情」がしばしば冷静な予測を妨げ、的確な判断を阻害することは言うまでもない。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑨さらに、その感情に駆られて希望的観測だけを下していれば、自分自身が大きくつまずくであろう。こうなると、アメリカを研究する前に、まず「日本人の内にある反米感情」の実体を探り、それから脱却することが必要になるであろう。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑩いわば前記の知識人の場合、その人の思想的遍歴よりも、その起動力となっている反米感情を起こさせているものが、その人の「思想」だと思えるからである。そしてこれが、この知識人だけでなく日本人全体にある、ある種の底流だとするなら、相当に問題であろう。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑪というのは、われわれはしばしば感情をさか撫でする情報はうけつけないし、感情を充足する情報には飛びつくからである。マスコミが商売である以上、飛びつかれ、歓迎される情報は大量に流しても、反発をうける情報は流さないという状態に不知不識のうちになっていって不思議はない。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑫さらに流し手自身にこの感情が潜在していれば、無意識のうちにそうなるであろう。では一体、この「反米感情」はどのようにして醸成されて来たのであろうか。以前に「反米感情の研究」をはじめて、その余りの複雑さに中断してしまったことがあるが、一言でいえば、根拠はないのである。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑬確かに日米間にはさまざまな摩擦があったし、現在でもあるが、他の国との間にも生じたさまざまな摩擦とは違った反応を示すのである。いわば「アメリカには他と違って強い感情的反発を起こす」ことはわかるが、ではなぜ違った反応を示すのかとなると、それは明らかでない。
山本七平bot @yamamoto7hei
⑭いずれにせよ「底流的反米感情なしにアメリカを見る」という方法を確立しておかないと、今後とも、さまざまな点で予測を誤るであろう。これは政治・経済・外交等にとって相当に重要な問題だと思われるので、そのための研究を各方面で進めてもらいたいと思う。
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