被災地における教育支援について

電通大准教授佐藤賢一さんが被災地の教育支援について連投してくださったのでまとめました。 被災地が抱える問題は多数ありますが 教育支援は短期的にではなく長期に活動する必要があります。
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佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【被災地の教育支援】(1)この1年以上、宮城県沿岸部を中心に資料調査や現地視察で方々を走り回った。この間、被災地の小・中学校生に降りかかった災害の爪痕が甚大であることを痛感した。以下の連投は、地域名や個人名を特定しないよう、津波被災地の教育支援について考えた雑感である。

2012-06-21 17:18:22
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【教育支援】(2)現地のボラの何名かからうかがったことで共通しているのは、子供たちの家庭環境・教育環境・交友関係がともかく不安定で、危機的な状況であるケースが目立つこと。家庭環境では、親御さんの失職、家族に津波犠牲者がいらっしゃる場合、家族がストレスやPTSDを抱える場合が深刻。

2012-06-21 17:19:23
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【教育支援】(3)家庭環境に不安がある場合、子供たちは容易に不登校となり、いじめにさらされる。この方面でのカウンセラーが絶対的に不足していると思う。学校に配属されているカウンセラーも同様に不足。児童虐待にもなりかねない状況を放置しておくわけにはいかず、早急な対応が求められる。

2012-06-21 17:20:06
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【教育支援】(4)登校できる児童・生徒にとっても、教育環境の不備は深刻。仮設校舎による授業は様々な制約を受けざるを得ない。通学バスによる長時間の拘束と部活動の制限、体育設備の不足。中には小中合同の仮設校舎や学年毎にバラバラの場所の仮設校舎もあった。学校運営の困難さが思い遣られる。

2012-06-21 17:21:42
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【教育支援】(5)昨年中、学校教育の再開時期は地域によってまちまち。4月中に再開できたところは少ないのではないか。多くの学校がGW明けに再開し、落ち着いてきたのが6月以降だと思う。それだけに、子供たちの受けた教育内容が非被災地の子供たちと比べて不完全であったことは否定できない。

2012-06-21 17:22:51
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【教育支援】(6)昨年度末の校内期末試験の平均点が30点にも届かなかった学校が、実際に出ている。こうなると、親御さんたちの教育問題に対する心配は極度に先鋭化する。ただでさえ、被災地の様々な問題を抱えている上に教育問題まで降りかかってくると、それがまた家庭内のストレスの要因となる。

2012-06-21 17:23:42
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【教育支援】(7)このような被災地の状況に対して、どのような教育支援が行われるべきか。都会的な進学塾の発想で、生徒に学力を注入し、進学を目指させるというやり方は、根本的に違う。単発的な生徒指導でも効果は薄い。彼ら彼女たちの生活面を思い遣り、長期的に関わりを持てる体制が第一である。

2012-06-21 17:24:53
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【教育支援】(8)昨年、多くの支援団体が教育支援として現地活動したが、かなりの数が既に撤退。このような短期間の関わりではどうしようもない。また進学塾にありがちな発想で、成績の良い生徒だけを選抜して支援授業をするケースも実際にあり、言語道断。地域内に不自然な教育格差を助長するだけ。

2012-06-21 17:29:40
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【教育支援】(9)今年の中学2年生を例にとれば、昨年の授業不足のため、彼らに今必要なのは、数学では文字式を理解し、一次方程式とは何であるかを悟らせるようなこと、英単語を反復的に覚える時間の確保である。できる生徒への支援よりも、基礎を教えられていない子供たちへの総合的な支援が必要。

2012-06-21 17:30:59
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【教育支援】(10)子供たちの学校が終わってから、遊ぶ場所も限られている。かと言って、がれきの山の側で遊ばせることには健康的な不安もある。様々な理由で、家庭で勉強できない子供たちもいる。遊び場と勉強場所を確保し、送り迎えの親御さんたちが気軽に情報交換できる場が是非とも必要。

2012-06-21 17:32:41
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【教育支援】(11)特に親御さんたちは、引っ越しや転校などにより分断され、お互いが持っている学校教育や地域の情報に飢えている。教育支援は親御さんたちの安心の場を提供する役割も果たしている。そういう小さなことの積み重ねでも、家庭内のストレスが和らげば子供たちの負担もかなり軽くなる。

2012-06-21 17:34:17
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【教育支援】(12)自分と同じ学者仲間や大学関係者にも苦言を呈したい。どの分野であれ、被災地支援のために出前授業や公開講座を小中学生にイベント的に提供してくれる場合の注意である。学者は自分の専門分野が面白い、大事であるという思い込みが強いので、ともかくそれを被災地に押しつけがち。

2012-06-21 17:36:15
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【教育支援】(13)小中学生に学問の最先端を語るのは一般的には良いこと。しかし、津波被災地の彼らに必要なものは前述の通り、良好な環境と初歩の初歩である基礎知識。そのイベントのために動員されるボラや先生の負担も考えてほしい。一時間でも多く、通常の勉強時間を確保せねばならない状況を。

2012-06-21 17:38:01
佐藤賢一の中の人 @ke_1sato

【教育支援】(14)自分もほんのわずかではあるが、教育支援には関わってきたのでこのような雑感を述べたけれども、もちろん、一人でこれら全ての問題を抱えて解決をすることなどできない。多くの人たちや行政に関わって頂き、息の長い教育支援・見守り活動の実践が必要なことは言うまでもない。 了

2012-06-21 17:39:42

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