ヨウカイスレイヤー第一話「コウマカン炎上」#1
ネオゲンソウキョウは今年も普通の夏を迎えようとしていた。辺り一面が紅色の妖霧に包まれ、日の光を遮るように辺り一面を覆っている。もちろん、これがネオゲンソウキョウの普通の夏であるはずはない。夏が暑くならないと作物が枯れ果ててしまい、食べる物がなくなってしまう! 1
2012-06-15 20:27:40ハクレイ・シュラインのとある部屋、「お賽銭」「不如帰」「金は命より実際重い」「妖殺」大小さまざまなショドーが飾られたその一室でチャドー呼吸を行う巫女、ハクレイ・レイムとて例外ではない。 2
2012-06-15 20:29:55「フムー……」レイムは思考を巡らせる。レイム、またの名をヨウカイスレイヤー、はこの異変がヨウカイの仕業であることを天性の勘で察知した。「何であろうと構わぬ。飯が食べられなくなるのは実際ヤバイ。ヨウカイ殺すべし。」レイムが立ち上がったその時である。 3
2012-06-15 20:35:03チャリン。賽銭箱に入るお金の音だ。ヨウカイスレイヤーの目にジゴクめいた薄紅の光が灯る!レイムの体が宙に浮き、そのまま本殿を飛び越え賽銭箱の前に着地!音が彼女のニューロンを刺激してからこの間わずか0.5秒である。タツジン! 4
2012-06-15 20:39:29「オイオイ……そんなに急がなくてもいいじゃないか。私は逃げても賽銭は逃げないぜ」声の主はマホウツカイめいた服を着た金髪の少女。タカギ・マリサだ。ヨウカイスレイヤーの数少ない人間の友人である。「何の用だ」「異変だ。気付いていると思うが」 5
2012-06-15 20:42:49ヨウカイスレイヤーは怒りと腹の虫をおさえながら答えた。「ハクレイ・シュラインへの参拝客を遠のけ、私を餓死させようとしているこの異変の主を、惨たらしく殺して、晒す。ヨウカイ殺すべし。慈悲は無い」「ヤンナルネ」彼女は狂っていた。 6
2012-06-15 20:45:35「私はいつものように勘で異変の主を探す。オヌシはどうする」「『水の無いところに家はたたない』ミヤモト・マサシのコトワザだ。私はあの湖にある島が怪しいと思うぜ」「そうと決まれば行動あるのみだ。ヨウカイ、殺すべし」「……ヤレヤレ」 7
2012-06-15 20:48:12「…………=サン、オチャをお持ちしました」「どうもありがとう」いかなるジツか、少女が虚無からチャを持って現れた。礼を告げた声の主が続ける。「私たちのことを探している輩がいるそうね」「ご安心ください、門番を起こしておきました。役に立たないということはないでしょう。」 9
2012-06-15 20:52:25「あなたも私を守るのよ、…………=サン」「ヨロコンデー」少女はまたも虚空へと消え、窓のない部屋に一人が残された。「こんなに、月も紅いから……」 10
2012-06-15 20:54:41「イヤーッ!」「……!!イヤーッ!」アンブッシュめいたレーザー光線がマリサを挟みこむように襲う!しかしその瞬間、身体の周りを飛んでいたチイサイハッケロからレーザー光線が射出!KABOOOOM!互いのレーザー光線は互いに打ち消しあい消滅! 12
2012-06-15 22:04:36「随分とケンカっ早いヨウカイだぜ」「ドーモ、人間=サン。ルーミアです。」「ドーモ、ルーミア=サン。タカギ・マリサです。私は食っても不味いぜ」ルーミアと名乗るそのヨウカイが構えるは、両腕を横に伸ばした奇怪なケンポの構え! 13
2012-06-15 22:10:26「オイオイ……何のまねだ?そりゃあ」「『聖者は十字架に磔られました』そう見えませんか?」「あいにくだが『人類は十進法を採用しました』にしか見えないなァ」「イヤーッ!」 14
2012-06-15 22:17:25ルーミアの周りが闇で包まれ、姿が完全に消滅!「私のヤミ・ジツには勝てまい!イヤーッ!」「イヤーッ!」「グワーッ!」マリサが放ったマホウ・ミサイルがルーミアを直撃!「イヤーッ!」「グワーッ!」マホウ・ミサイルがルーミアを直撃!タツジン! 15
2012-06-15 22:20:13「ハイクを読め。カイシャクしてやる……あいつだったらこういいそうだな」「わ、私のヤミ・ジツが破られるなんて……」「自分の周りだけ暗闇にするなんて、逆にバレバレだぜ。目立ちすぎる」 16
2012-06-15 22:22:51「サヨナラ!」結界が爆発四散!ルーミアはそのままどこかへ消えていった。「あいつが真犯人……んなわけないか。さて、湖に向かうとするかな」マリサは愛用のホウキにまたがり、霧に包まれた夜の闇へと消えていった。 17
2012-06-15 22:26:22