ヨウカイスレイヤー第一話エピローグその一「マドネス・フロム・マジカル・カタストロフィ」#1

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YOUKAISLAYER @YKSLYR

ヨウカイスレイヤーが目を覚ますと、そこは木造の部屋であった。「……?」周囲を見渡す。フスマ越しに照りつける夏の日差し。蒸し返すような暑さ。「お賽銭」「不如帰」「金は命より実際重い」などと書かれたショドー。「ハクレイ・シュライン」ヨウカイスレイヤー、いや、レイムは呟く。1

2012-07-23 20:30:06
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「これは一体……」幾多の戦闘でズタズタとなったはずのミコ装束は無傷だ。「マリサ=サン?」レイムは辺りを見渡す。人影は見当たらない。「終わった……のか」レイムはいつものように、異変が無い時のようにフスマを思い切り開く。清々しい空気と、紅い霧が部屋の中に入り込んでくる。2

2012-07-23 20:32:27
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紅い霧?確かにヨウカイスレイヤーはレミリアの結界を爆散させたはず!「これは!なんだ!」霧はまるで意志を持っているかのような動きでレイムに襲い掛かる!「イヤーッ!」ヨウカイスレイヤーは鋭い突きを繰り出すも、空振り!霧はやがてヒトガタめいた形となり、レイムの体を掴む!3

2012-07-23 20:34:33
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「アナタは……何?」「グワーッ!」「お姉様?」「グワーッ!」「アナタは……もしかシて人間?」「グワーッ!」「違う。……」「グワーッ!」霧から何者かの声!レイムは必死にもがく!「ヤメロー!イヤーッ!」「誰?」「イヤーッ!」「アハハハハハ!」4

2012-07-23 20:40:16
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霧はいつしかレミリアめいた姿に変化している。「お姉様ハ……」「イヤーッ!」「……ワタシも……」「イヤ001ーッ110!」「ワタ101シと0100も遊ん10111で」「0101101イ100ヤ01010101101010」「1001010010100111010 (5)

2012-07-23 20:41:43
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「イヤーッ!」「グワーッ!」ヨウカイスレイヤーのチョップがマリサの眉間に直撃!「マリサ=サン?」「アバッ、ああ……大丈夫、大丈夫だ」「ここは……コウマカンか」ヨウカイスレイヤーは素早く状況判断した。「そうか、あのままか」「実際ヤバイぜ。救護が必要だ」6

2012-07-23 20:44:39
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「レミリア=サンは」一瞬の沈黙。マリサは扉を指さす。くしくも同じワザでやられたメーリンを覆うように、伏すレミリアの姿をヨウカイスレイヤーは捉えた。両者とも死んだように動かない。「……インガオホー」ヨウカイスレイヤーは静かにつぶやく。7

2012-07-23 20:47:52
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「流石に助けてやらないか?せめて館内に入れてやったりとかしないと朝日で死んじまう」「その必要はない。これだけのことをしたのだ、塵に還すのが望ましい」「いや、そうじゃなくてだな……」「何だ」「……サクヤ=サンは、人間だろ?ヨウカイじゃない」「…………成る程」8

2012-07-23 20:53:35
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第一話エピローグその一「マドネス・フロム・マジカル・カタストロフィ」#1 (9)

2012-07-23 20:55:34
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夏の日、いつもの暑さを取り戻したゲンソウキョウ。その一角にあるハクレイ・シュラインでは、いつものようにレイムが境内をホウキガケしていた。「これだけ暑いとヤンナルワネ」レイムの額に汗がにじむ。「そのためでもあったのだがな」ホンデンの方から声。10

2012-07-23 21:01:01
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レミリア・スカーレットだ。あの日から彼女は懺悔と暇つぶしのため、ほぼ毎日ハクレイ・シュラインに通い詰めていた。「日傘があるなら霧を出す必要はなかったであろう」「片手がふさがるじゃない、あと上が見えない」「吸血鬼は吸血鬼らしく昼間は寝ておればよいのだ」11

2012-07-23 21:05:31
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「駄目よ!サクヤ=サンの睡眠時間が無くなるわ」「人間は夜は眠るものだ」レイムは掃除の片手間でレミリアに鋭いツッコミを入れてゆく。「夜行性のメイドを雇えばよい」「そんな!サクヤ=サンがいなくなったらワタシは……!」12

2012-07-23 21:07:42
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「ドーモ、二人とも。」そこへ、マリサが酒樽を担ぎながら現れた。「またやってるのか。あまり調子に乗ってると、レイムの晩御飯がアンタの灰になっちまうぜ」「ウヌーッ……」「いい加減にしないと……アン?」「む」「……!?」3人は湖の方向を見やる。13

2012-07-23 21:11:02
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ドザアアアア、ドザアアアア。「何だありゃあ、ゲリラ・雨か」湖の湖畔部分、その一角のみ重点に重金属酸性雨が降りしきっているのを、彼女たちのヨウカイ視力は捉えた。もちろん、雨の中央にある紅の館も。14

2012-07-23 21:16:18
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「これではワタシが帰れないではないか!」レミリアは涙目で叫んだ。「サクヤ=サンに愛想をつかれたのであろう。インガオホーな」「うぅっ……」「面白い冗談だぜ、だが……」「異変だな」「……」マリサは口を半開きにし、レイムを指差した。そして頷いた。15

2012-07-23 21:19:39
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「動かねばならぬな」レイム、いやヨウカイスレイヤーは立ち上がった。「レミリア=サンは留守番でもしておれ」「ま、待ってよ」「……何だ」「あれはきっとパチェ=サンのジツだわ」「パチェ……?アー、パチュリー=サンのことか。そいつに嫌われたって?」16

2012-07-23 21:24:04
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「違うわ!……おそらくアヤツが動き出したのよ」目に涙を浮かべながらも、真剣な表情を見せるレミリア。「アヤツとは」「行けばわかるわ。ああ、思い出したくもない」「どうでもよい。ヨウカイを倒すのが私の……私達の仕事だ」「ああ。今日もヤバイ凶運が動き出しそうだぜ」17

2012-07-23 21:27:52
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ドザアアアア。ドザアアアア。重金属酸性雨は、城壁めいてコウマカンの周りのみに降りしきっている。実際の城壁の中のみを雨が降り注ぎ、侵入者はもちろん館内から外へ出るのも難しい状況だ。ヨウカイスレイヤーとタカギ・マリサが到着しても、そのマッポーめいた状況は変わらない。19

2012-07-23 21:32:42
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城壁の外はいつもと変わらない。向こうではダイヨウセイが古代ローマダンマクを駆使して、巨大カエルの腹の中からチルノを引き出しているのが見える。門のそばでは門番のホン・メーリンが立ちながらイビキをかいている。その横には「居眠り厳禁」「ほむほむ」などの看板。平和な光景である。20

2012-07-23 21:34:14
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「まるでハイテク・セキュリティだぜ、濡れるだけでダメージ重点だな」マリサが館方向を見ながらつぶやく。一方ヨウカイスレイヤーは真っ直ぐに門へと歩き、「イヤーッ!」「グワーッ!」寝ているメーリンに無慈悲なカラテチョップ!「寝てない!起きてます!」目覚めたメーリンが慌てる。21

2012-07-23 21:36:33
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「メーリン=サン、早速インタビューだ」「アイエッ、サクヤ=サンじゃない!?」「イヤーッ!」「グワーッ!」脳天への手加減されたカラテチョップ!「寝ぼけるな。濡れずに中に入る方法を教えろ」「レミリア=サンが外出中は館に誰も入れるなとサクヤ=サンの命令」「イヤーッ!」「グワーッ!」22

2012-07-23 21:38:18
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「ドーモ、メーリン=サン、タカギ・マリサです。あいにくだがこれはレミリア=サンの命令だぜ」「ドーモ、マリサ=サン、ホン・メーリンです。それは本当ですか!?タイヘン・シツレイしました」メーリンの深いオジギ。「すぐに案内します。こちらのバイオ傘をお使いください」23

2012-07-23 21:41:38
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館内部は先日の戦闘とそれに伴う小規模の火災のせいか、がらんとしていた。「チガッテンダオラー!」「アバーッ!」「アッコラー!」「ダマラッシェー!」大勢のメイドヨウセイ達が、ヤクザ・スラングとナイフが飛び交う中作業をしている。当然、メイド長、イザヨイ・サクヤはその中心だ。25

2012-07-23 21:48:56