山本七平botまとめ/「一方的断定を事実としてしまう」興奮性・雷同性人間が起こす無用の流血騒ぎ~真の勇者から程遠い憲法絶対平和主義者たち~
- yamamoto7hei
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26】七万人までは例の「ジュネーヴ条約」の…通りだったが、私はこの四万余のロだったので、半裸で裸足で空カンをぶら下げ、土の上に寝るという生活が、無事収容所についた後も続いたわけである。
2012-06-20 14:58:1727】そして私の捕虜生活の第一歩、仮設収容所から船倉への段階で「糧食なし」という状態に陥れられたのも、いわば四万余の余波で仮設収容所が「てんやわんや」の状態だったのが、最大の原因であったらしい。これは確かに事実である。私はそう思う。
2012-06-20 15:21:0528】しかし前述のように、こういう事実をいかに探索しても、こういった事件の原因は明らかにならない。では、真暗な船倉の我々、暗黒の揚子江岸の中国兵、この両者が恐らく共に陥っていたと思われるある種の心理的状態、そこへ彼らを導いて行った根本の原因の一つは何であっただろう。
2012-06-20 15:58:2729】それは、武装を解除されたということなのである。そして無抵抗のまま一歩一歩と着実に餓死に近づいて行く――乃至は近づいて行くことを、自分の力でどうしてもとめられないと錯覚した者の本能的ともいえる異常な恐怖なのである。
2012-06-20 16:21:0830】「武装」という問題は、うっかりこれにふれると「再軍備論者」などという罵声を浴びるから、皆これに触れたがらない。
2012-06-20 16:58:2331】しかし人間には「武器を保持すると平和でいられる」という、実に矛盾した、そして非常に困った要素がある事は事実なのだから、本気で平和を追究するなら、この「武装」というものがもつ不思議な要素は徹底的に追究すべきであって、これを避けて通ってはならないと私は思う。
2012-06-20 17:21:0332】これを避けた平和論は虚構にすぎない。~略~確かに戦場には異常な恐怖がある。しかし武装を解除された者には、それとは異質の、もっと鋭い恐怖があり、それと飢えとが結びつくと、その恐怖は確かに気の弱い者を狂わして、発作的に行動に走らすのに十分である。
2012-06-20 17:58:2633】この二つの恐怖の差は、一方は、いわば斬り合いの恐怖であり、もう一方は、丸腰で白刃をつきつけられた時の恐怖とでも言ったらよいかも知れない。私は中国人捕虜の暴動は、恐らくこの恐怖からする発作的行動が発端であったろうと思う。
2012-06-20 18:21:2734】武装を解除され、一方的に銃器をつきつけられ、飢えに瀕し、前途は全く不明という状態にあってなお冷静を失わず、事態を正確に把握し、正確な判断を下せる人は真の勇者だと思う。
2012-06-20 18:58:1535】そして新憲法は我々にこの「真の勇者」である事を要請していると私は思っているのだが、私から見ると「平和憲法を絶対守れ!」と叫んでいる人々は、逆に「判断」と「事実」との区別すらつかず、この「真の勇者」のタイプからは最も縁遠い人に見える。
2012-06-20 19:21:2136】一方、威勢のいい再軍備論者は、黄害賛美論者と同じに見えてしまう。勿論これは「偏見」であろうが、私自身は、残念ながらそういう勇者ではなかったので、こういう場合、私のような「非勇者」は何を仕出かしそうになるかを証し、次に真の勇者が何をしたかを証そうと思う。
2012-06-20 19:58:32